編集部だより

◆「横浜事件」のやり直し裁判で、二月九日横浜地裁は「免訴」判決をくだした。「免訴」とは、余りにも姑息である。◆戦時下、特高警察・検察・裁判所によってつくられた「横浜事件」が冤罪であることは、もはや隠しようも無い歴史的事実である。しかも、司法関係者は敗戦後のドサクサに乗じて当時の裁判記録を焼却し、事件と裁判そのものの歴史的検証をできないようにした。◆にもかかわらず、地裁判決は「免訴」とした。その免訴理由とは、治安維持法の廃止と、これに伴う大赦令だと言う。◆だが、大赦令なるものは、そもそも「犯罪行為は水に流し、有罪をご破算にしてやる」という国家(当時は天皇)の、恩着せがましさから出ているのである。それは、有罪を前提にしているはずである。◆だが、元被告や遺族は、無罪を主張して再審請求してきたのである。これに対して、地裁は有罪・無罪を判断しない「免訴」判決とした。まさに、完全な肩透かしと誤魔化しである。それだけでなく、結果的に国家そのものの有罪を隠蔽しているのである。◆国家による不正や偽妄といえば、遠い昔の事件だけではない。現に沖縄返還協定に日米の密約があったことは、関係者や米政府の情報開示で明白であるが、安倍官房長官は未だに密約は無かったと、シラを切っているのである。(竹中)