全面破綻する小泉連立政権の弱肉強食路線
  新自由主義に総反撃の時


新年になると、耐震偽装問題では、伊藤公介元国土庁長官のみならず、安部官房長官の秘書もかかわることなどが明らかになり、さらにビジネスホテル大手の「東横イン」の偽装工事という不正が発覚する事態に発展している。そして、ライブドア事件による堀江前社長など幹部四人の逮捕、東京証券取引所の機能麻痺、米国産牛肉の輸入条件違反事件の発覚など、弱肉強食の新自由主義を推進する小泉政権を土台からゆるがす諸事件が頻発している。

 自民党とライブドアの相互利用

昨年の総選挙の直前、民主党前代表の岡田克也代表が会談した際江前社長を公認できなかった理由は、政治は片手間ではできないから、社長をやめるべきだ、とう条件のところで折り合わなかった(金儲けのために選挙を利用しただけなので社長をやめる訳がない)だからといわれる。したがって、自民党としては、堀江前社長の思想と態度(法の網をかいくぐってまで強行する金もうけ主義、露骨な弱肉強食など)にクレームをつけて、公認にしなかった訳ではないのであった。そして、選挙戦では、武部幹事長は、「自民党幹事長として選挙区の自民党支持者に、堀江氏に投票するように……」と、応援演説している。竹中郵政民営化相(当時)も、「小さな政府と郵政民営化相は小泉純一郎、ホリエモンと竹中平蔵でやらせてほしい」と言い、あたかも「小泉構造改革の旗手」のごとく、ホリエモンを天まで持ち上げている。しかも、竹中大臣の応援演説は、明確に自民党の要請でおこなったと、自ら述べている。また自民党は、選挙後も、堀江前社長や、三木谷・楽天社長などを新たな時代の新たな経営者として、持ち上げてきたのである。
他方で、堀江前社長やライブドアが自民党の応援で話題づくりを行い、株価値上がりに利用したのは、前述の通りである。いうならば、自民党とライブドア・堀江前社長の関係は、それぞれの思惑で相互に「広告塔」として利用しあった政治的関係なのである。資本のための「改革」、露骨な弱肉強食という反人民的な風潮を堀江前社長やマスコミなどを利用しながら社会に広めたという点で、自民党や自民党幹部には明確な政治的責任があるのである。

  固定化すすむ「格差社会」

小泉政権は、新自由主義の弱肉強食により、社会の分極化がすさまじい勢いで進展する事態を糊塗しようと、「言われているほど日本社会に格差はない」とうそぶいている。
だが、小泉首相の無責任で事実に反する隠蔽発言とは異なり、社会の分極化は、確実に進行し、階級間の格差拡大はもちろんのことであるが、あらゆる分野で、階級内部でも格差が拡大しているのである。このことは、政府統計などによってでも確認することができる。完全失業率は、〇一年〜〇三年の頃の五%台からやや下がったとはいえ、依然として四%台の高水準を継続しており、完全失業者は、三百万人前後の規模で推移している。失業率は、とりわけ若い世代で高い傾向を示している。就業している労働者でも、賃金・労働条件の劣悪なパート労働者の労働者全体に占める構成比は、一九九八〜二〇〇四年の間に、一九・四%から二五・八%にまで増大し、派遣社員、契約社員などを含めた非正規労働者は、全体の約三三%を占めるようになっている。
親と同居する二〇歳以上三九歳以下の未婚者は、今日およそ一二〇〇万人で、その内、いわゆるフリーターが約二〇〇万人、失業中の若者や未婚の派遣社員も入れればおよそ四〇〇万人を超えるといわれている。若い世代(15〜24歳)の非正規雇用の増加はすさまじく、九〇年代初頭では一割前後に過ぎなかったのが、今日では男性で約三割、女性で約四割にも達しているのである。
分極化は、金融広報中央委員会(事務局・日銀情報サービス局)が調べた貯蓄動向(「家計の金融資産に関する世論調査二〇〇五年版」)にもはっきりとみられる。日本の富裕層は、世界でも二番目に多いと言われるが、一千万円以上の金融資産を持っている世帯は、全体の二七・六%で、約一千万世帯にのぼる(三千万円以上は、八・五%)。これに対し、貯蓄を全くもっていない世帯は、二三・八%(六三年に調査を開始して以来最高)で、約八百万世帯にのぼる。貯蓄を全く持っていない世帯は、九六年以降、継続的に一〇%を超え、〇三年以降は二〇%台に上昇している。世帯間の分極化もまた、歴然としたものである。
生活保護を受けている世帯や人員もまた、急増している。被保護人員は、八〇年代の半ばから減少し九三年度に八八万三千人にまで低下し、その後九六年度頃まで横ばいであった。それが、九六年度後半から増加に転じ、〇三年度には一三四万四千人という急増ぶりである(〇三年度の被保護世帯は、九四万一千世帯)。
今や、問題の焦点は、分極化が進んでいるか否か、どの程度すすんでいるか、というレベルを超えて、世代を超えた格差の固定化という段階にまで突入していることである。

  新自由主義粉砕のための主要課題
  
 資本家階級と小泉政権が一体となって推し進める新自由主義は、階級間格差はもとより、社会のあらゆる分野での分極化を進行させ、社会の存立自身を脅かしている。
このような悲惨な状態を根底から打開するためには、まず第一に、大企業労組に見られるような、労資協調の企業内組合を変革し、個人加入制の地域ユニオンとゼネラルユニオンを拡大して、多数派にすることである。企業の都合により一方的に労働者の利害が無視圧殺されてきたこの間のリストラ、首切り攻撃に対して、既存の企業内組合はなんらの反撃もなさないで、否、大企業労組にいたっては、資本の首切りを手助けし労働者階級に敵対するという始末である。個人加入制の新しい労働組合・ゼネラルユニオンの全国的な建設が切実に求められている。
第二は、弱肉強食を推し進める資本家たちを全面的にバックアップする小泉政権を一日も早く打倒し、やめさせることである。労働法制の新たな改悪を阻止するだけでなく、この間の改悪法制を是正する闘いが必要である。労働者の利益を一顧だにしないで、資本のほしいままの利潤追求を拡大させるための規制緩和をやめ、労働者や多くの市民の生活や自然破壊を許さない社会的規制こそが必要である。そして、金持ちや企業を優遇する所得税・法人税を改革し、消費税など大衆増税を許さない闘いを構築することが要求されている。さらに、官僚の年金資金の蚕食をやめさせ、年金制度の抜本的改革により、将来の生活不安を解消し、公正で公平な社会への変革を推し進めなければならない。
第三に、資本の多国籍的活動を米軍と一体になって軍事的に保障するための自衛隊の海外派兵、これを合法化するための憲法改悪に反対する戦線を全国の職場・地域などに無数に作り上げ、闘いを着実に構築する必要がある。憲法改悪と新自由主義は密接な関係を持つものであり、両者を推進する小泉政権と資本家たちをともに歴史の舞台から退場させる必要が、ますます強まっている。