編集部だより

★新年早々新自由主義のほころびが噴出し、世の中が騒々しい。マンション・ホテルの耐震データ偽造問題、再開アメリカ牛肉の再輸入禁止問題、そしてライブドアの粉飾決算と堀江の逮捕劇。小泉・竹中路線は「国民の生命、財産」を守らない。★暮れから年明けにかけて懐かしい映画を観ることが出来た。『仁義なき戦い』シリーズ全作品(深作欣二監督)『網走番外地』初期作品(石井輝夫監督)『東京流れ者』(鈴木清順監督)。三、四十年経ったこれらの作品群を見わたすと、深作作品の生真面目さと鈴木作品の洒落た作品構成と質の高さが際立った。時代背景も含め深く考えさせたのが『仁義なき戦い』ではなかっただろうか。東映最大のスター高倉健ではなく、菅原文太が主演なのは作品の意図をはっきりと主張している。高倉健ではあまりにも任侠、仁義が刻印されすぎていたからではなかったろうか。★それ以上にこの『仁義なき戦い』は製作された(74,75年)時代が時代である。合従連合、裏切り、内部抗争、全面戦争の繰り返しが広げられる。どうも当時の左翼にも見られた現象のように思えてならない。広島を中心とした西日本のヤクザの抗争を描いてこの作品が、映画の歴史に刻印したのは時代と政治の背景が在ったことがわかる。一敗地にまみれた我々は、新たな連合を模索する。(日下部)