イラク派兵基本計画の再々延長を弾劾する
   やめろ!首都圏からの派兵

 小泉連立政権は十二月八日、イラク特別措置法に基づくイラク派兵基本計画の十二月十四日期限切れを前に、それを再々延長する閣議決定を強行した。当日、国会と首相官邸の前では、ワールドピースナウなどの人々によって抗議の声があげられた。
 〇三年三月二十日、米英がデッチ上げの口実によってイラク全面侵攻を開始し、フセイン政権側との降伏文書調印も何もないままイラクの暴力占拠に入るという異常な不法事態が生じた。これだけでも大変なことであり、日本は少なくともこの不法事態から距離を置くべきであったが、あろうことか小泉連立政権は、全野党・国民多数の反対を一切無視し、この事態の中に自衛隊をその年末から突っ込ませた。
 こうして自衛隊イラク派兵は、「復興支援」を名目に丸二年も続けられているが、陸上自衛隊のサマワ駐屯は地元の一部支配層の利害を刺激した以外、ブッシュ支援・日米同盟誇示の政治的意味合いしかなかったことが誰の目にも明らかとなっている。派兵部隊のいわゆる治安維持活動など武力行使は、かろうじて憲法九条の存在によって歯止めが掛けられているが(報道統制によって確かなところは不明)、航空自衛隊派兵部隊の活動は軍需物資・兵員の空輸であり、占領軍事作戦そのものではないか。
 十二月閣議決定でも、向う一年の延長期間内での陸自部隊の撤退の可能性はにじませているが、空自の輸送支援は続行が前提となっている。小泉としては、陸自については「任務完了」の花道的撤退へ持っていきたいところであろうが、それもブッシュの判断に左右されている。
 十二月十五日にはイラクで、暫定政府を正式政府に移行するとされる国民議会選挙が、今度はスンニ派の多くも参加して行なわれた。成立する政府は、これまで以上に占領軍撤退のプロセスの明確化を求めるだろう。場合によっては、内戦の危険性も高まる。こうした中、米国内では撤退論がかってなく大きくなっている。「勝利の達成まで撤退しない」とするブッシュの支持率は最低となっている。一方、帝国主義者としても外交戦略がデタラメな小泉政権は、ブッシュ同様「出口戦略」を明示できないまま、今回の閣議決定によって没主体的な様子見で派兵を続けるとしてしまった。イラク民衆の自衛隊撤退要求も高まっている。何度も迫撃弾を撃ち込まれ、十二月三日にはサマワで、デモ隊からの投石で自衛隊車両が破損した。このままでは重大な事態に入りかねない。
 ずるずると憲法違反の戦地派兵を続けている日本政治の異常さ。この異常さは、十二月九日、東京高裁による「立川自衛隊官舎ビラ入れ弾圧」裁判での逆転有罪判決としても露骨に示されてしまった。地裁無罪判決は、共有通路への立入が住居侵入罪を構成するという問題のある判断をなしつつも、政治的な言論の自由の優越性を認め、「科罰的違法性」はないとするものであった。高裁有罪判決は、官舎管理権者の意思をすべてに優先させる反動判決である。
 葛飾、世田谷、沖縄・嘉手納基地前と政治的ビラまきへの弾圧が強まっている。立川自衛隊監視テント村への弾圧も、自衛隊員への反戦の働きかけの広がりを抑止せんとする政治的狙いがあった。高裁不当判決の脅しに屈することなく、様々な活動方法を展開しよう。
 このままでは新年早々、第九次イラク派兵がついに首都圏に、陸自の東部方面隊に回ってくる。練馬基地(第1師団司令部)・朝霞基地(東部方面隊総監部)からの出兵を止めよう。
 一月十五日には、「練馬から自衛隊はイラクに行くな!1・15集会」(東武練馬北口の徳丸第2公園、午後二時)が東京北部の諸団体の呼びかけで行なわれる。
 派兵延長に抗議し、東京では十二月十一日、「WORLD PEACE NOW12・11 終わらせようイラク 占領すぐもどれ自衛隊」の集会・デモが行なわれ、上野水上音楽堂に、各市民団体や平和フォーラム参加の労働組合など約一千名が参加した。主催は、ワールドピースナウ実行委員会。
 集会は、富山洋子さん(日本消費者連盟)の主催者挨拶のあと、金子豊貴男さん(神奈川平和運動センター)が米陸軍第一軍団司令部の座間基地移転反対運動などを報告し、相澤恭平さん(ピース・オン)がイラクの現地情勢を語り、川崎哲さん(ピースボート)が運動方向を発言。
 川崎さんは、「政府の閣議決定で、英豪軍の動向を見極めつつと明記されたことによって、日本のメディアでは、もうそろそろ自衛隊も撤退するのではという安心感を与える報道になっている。しかしオーストラリアでは、豪軍が撤退するとの報道はない。英豪の動向を見てではなく、日本から始めるべきだ。また自民党の新憲法案は『自衛軍』と言っているが、米軍と一体となって海外で戦う軍隊を合憲化しようとしているのが真実だ。米軍と一体となって戦争をする日本なのか、アジア・世界と平和に平等に生きる日本なのか、それが問われている」と訴えた。
 参加者は、喜納昌吉さんらのピースコンサートの後、ピースパレードに出発。人出で賑わう御徒町方面まで、派兵延長に抗議して「すぐもどれ自衛隊」の声を広げた。(東京W通信員)
 
 
アスベスト対策基本法を制定せよ
   「100万人署名」が展開中

 小泉連立政権は十一月二九日、「アスベスト新法」の法案要綱を確認した。通常国会に提出し、今年四月からの施行をめざすという。
 政府による石綿新法案作りの背後では、このかん、被災労働者およびその遺族、被災住民、石綿対策全国連絡会議など運動団体によるさまざまな行動、政府や国会議員に対する要求闘争がすすめられてきている。
 政府による新法作りはその基本姿勢として、現行労災補償制度の欠陥(死亡労災の五年時効など)をそのままにしたうえで、その現行制度では対応できない問題の広がりに小手先で対処するという性格をもっている。そして、長年に渡ってアスベスト被災を放置・拡大してきた行政・資本の責任(謝罪と補償)を真に取ろうとせず、低水準の弔慰金でごまかし、事態の沈静化を図ろうとする狙いがある。また、アジアへの輸出を含めたアスベスト全面禁止も回避しようとしている。つまり、闘いなくして評価に値する「アスベスト新法」は望めないのである。
 十月二十二日から開始され現在全国で展開中の運動が、アスベスト全面禁止・アスベスト対策基本法の制定を求める「100万人署名運動」である。各地の労働安全センターなどの連携で一九八七年に設立された石綿対策全国連絡会議が、署名運動の中心となり、労働組合では全建総連、自治労などを主力に署名拡大を進めている。
 この「100万人署名運動」、衆参議長宛の「アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償を求める請願」署名の請願事項は、以下の通り。
 1、 アスベスト及びアスベスト含有製品の製造・販売・新たな使用等を速やかに全面禁止すること。
 2、 アスベスト及びアスベスト含有製品の把握・管理・除去・廃棄などを含めた総合的対策を一元的に推進するための基本となる法律(仮称・アスベスト対策基本法)を制定すること。
 3、 アスベストにばく露した者に対する健康管理制度を確立すること。
 4、 アスベスト被害に関わる労災補償については、時効を適用しないこと。
 5、 労災補償が適用されないアスベスト被害について、労災補償に準じた療養・所得・遺族補償などの制度を確立すること。
 6、 中皮腫は原則としてすべて補償の対象とするとともに、中皮腫の数倍と言われるアスベスト肺がんなど中皮腫以外のアスベスト関連疾患も確実に補償を受けられるようにすること。
 今年からの国会審議に対しては、これらの要求を大きく突きつけるために全国集会が行なわれる。署名運動をはじめ各地域・職場で世論喚起の行動を積み重ねつつ、アスベスト基本法要求全国集会に合流しよう。(A)
 ★署名用紙の請求先。東京都江東区亀戸7−10−1Zビル5F 石綿対策全国連絡会議 TEL03―3636―3882 FAX03−3636−3881
 

11・27静岡空港建設中止!土地収用反対!
           県民大集会に県内外から500名

  強制収用阻止の大運動へ


 十一月二七日、「空港はいらない静岡県民の会」「静岡空港・建設中止の会」など諸団体で作られた「県民大集会」実行委員会の主催で、「静岡空港中止・土地収用反対県民大集会」が静岡空港建設地の島田側展望台駐車場を会場に開かれ、約五〇〇名が県内外より集まった。
 県民の多くの空港反対の声を無視し、石川県政は、生活と環境を破壊する空港建設をゴリ押しし、〇四年十一月に国に事業認定を申請し、反対派の土地の強制収用を打ち出した。国は七月に、水増しの需要予測が明白であるのに、公的利益があるとして事業認定を行なったのである。
 県当局は、土地収用法に基づく土地物件調書作成を口実に、八月と九月に立入調査・強制測量を強行した。地権者と県民の会を中心とする仲間は、強制測量に対決し、オオタカの森の家を守り抜いた。しかし県は、十一月二九日より十二月十二日にかけて、空港本体西側の反対地権者の土地やトラスト共有地を強制測量することを通知してきた。
 今集会は、「県民の会」の強制測量に対する体を張った闘いの上に、さらに十二月への連続闘争を構える中で、「中止の会」との共闘をねばり強く追求し、その共闘が実現し、「ムダづかいの静岡空港は建設中止を!自然破壊を止め、オオタカを守ろう!土地の強制収用は許しません!」のスローガンの下に実現されたものである。
 集会は、「県民の会」「中止の会」の二名の司会で行なわれた。主催者を代表して「中止の会」の静岡県評議長・萩原さんが挨拶した。「二月に中部国際空港が開港し、新幹線品川駅も開設している。この中で、どれだけの人々が空港を利用するのか。水増し需要予測で経済効果があるというが、県の財政は破綻している。将来展望のない赤字必至の空港は認められない。県民投票を始め共同の闘いをやってきた団体が本日共闘している。十月二十日には事業認定取消し訴訟も始まった。皆さんと共に今後も闘いを推進していきたい」と述べた。
 続いて、熊本県・川辺川ダム収用反対の闘いからの連帯アピールとして松野信夫弁護士が、「〇二年十二月、国が事業認定したが、地元の地権者を先頭にした反対運動で、今年の収用委員会は国に対して取り下げを勧告し、九月十五日に全ての収用申請を取り下げる決定が行なわれ、闘いに勝利した。しっかり闘っていけば勝利することができる。ムダな公共事業を見直す会の一員として静岡とともに闘ってきた」と述べた。
 来賓として佐々木憲昭衆院議員(共産党)、阿部知子衆院議員(社民党)、松谷清県議、梶野完治県議(共産党)から、また空港反対訴訟の渡辺正臣弁護士から挨拶があった。
 続いて、四人の空港反対地権者が壇上にあがり決意を述べた。
 檜山耕作さんは、「八七年十二月十六日に空港建設がこの地に決定した。以降十八年間闘ってきた。皆さんの支援があって闘ってきた。この変わりはてた土地の姿を悲しく思います。三五〇名共有地権者、一七〇〇名のトラスト者もいます。強制収用という厳しい段階ですが最後まで共に闘っていきたい」と発言。松本吉彦さんは、「闘いは十八年になるが、当初の気持ちから変わっていません。人間が人間らしく生きる正義の闘いと確信しています」。村田利広さんは、「無口だった私ですが、テレビでおなじみになり、闘いが体にしみついてきました。十八年ですが皆さんと楽しくやってこれたので短く感じています。大変な時も皆さんがいてくれて大きな力となっています。私たちが育てた大地がぶざまになって寂しい思いです。強制測量の時のように、これからも闘っていく気持ちです」。大井寿生さんは、「二九日から二週間、自分の土地にも役人が測量に来ます。できることを精一杯して抗議します。立地も険しい所で、気候も厳しくなりますが参加できる人は来てください」。四人の力強い発言に会場から大きな拍手が寄せられた。
 再び連帯アピールに移り、反空港全国連絡会の面々が壇上に立った。泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会の根本博さんが皆を紹介し、「先日、第五回の全国集会を福岡で開いた。全国の仲間が静岡空港反対の決議をあげた」と述べた。神戸空港、関西新空港、羽田空港、成田空港、石垣島・白保新空港に反対する仲間がそれぞれ闘いを報告した。
 続いて、沼津鉄道高架橋反対の闘いが報告されたあと、「県民の会」事務局長の桜井建男さんが現状報告と今後の方針提案を行なった。「まず現地の闘いがはじまる。ついで裁判闘争がある。さらに民主主義の闘いがある。地権者とひとつになった闘いを進めよう。すべての反対勢力が団結して闘っていこう。強制収用反対の大きな世論を作り出そう。民主主義を闘ううねりを創っていこう」と訴えた。
 最後に「県民の会」共同代表の島野房巳さんの閉会挨拶の後、参加者はデモに出発、二九日からの強制測量用の大テントを横に睨みながら、「静岡空港建設を中止せよ!土地の強制収用反対!」とアピールして行進した。
 二九日からは、西側建設予定地への測量調査が強行された。地権者の四名を先頭に県民の会を中心として四十名が、県職員百五十名を含む五百名態勢の測量隊にぶつかっていった。地権者が「土地への侵入を許さない、調査員の身分証明提示を求める」と抗議したが、県側は開き直って提示しない。二班を押し戻すも、他の四班が斜面などから侵入、測量を強行していった。さらに地権者に同意を問わず障害物伐採許可の申請を行なっており、十二月六日、一方的に測量調査の終了宣言が行なわれた。
 事業認定取消訴訟は、一月十二日に第二回の口頭弁論が行なわれる。包括外部監査の結果では、静岡空港事業で鹿島、大成の二大ゼネコンが過去五年間で95%という高率の落札率で独占しており、談合の疑いが指摘されている。談合の静岡空港はいらない。
 十月〜十二月の一連の各地での闘いに続き、今年も空港反対の闘いを全国で押し広げていこう。(東峰団結小屋維持会・渡邊)
 

12・4三里塚東峰現地行動
  やめろ新誘導路・北側延伸

 十二月四日、「新誘導路建設やめろ!住民追い出しの北側延伸許すな、空港の軍事利用反対! 12・4三里塚・東峰現地行動」が、三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会の主催で闘い取られた。
 雨の中、東峰共同出荷場での集会には、首都圏を中心に、関西からの仲間も含め百名の仲間が結集した。
 連絡会の大原さんの司会で始まった集会では、当日ワンパック総会で参加できなかった石井紀子さんからのメッセージが紹介された。その後、「らっきょう工場」の平野さんから、この間の暫定滑走路の北側延伸をめぐっての成田国際空港会社(旧空港公団)と東峰住民との間のやりとりについての報告がなされた。
 この中で、空港会社社長黒野から、「一方的に二期工事を進めていることはシンポジウムの精神にも反している」、「問題は解決したとは考えていない。飛行機が飛ぶ直下に人が住んでおり、正常ではない」という一定の謝罪の発言を引き出しつつも、北側延伸を一方的に決定し、更には、東峰部落を完全に囲い込む新誘導路の建設と、東峰住民への追い出し攻撃が強まっていることが明らかにされ、東峰部落の住民はこれからもこうした攻撃に屈せず生活していくことが報告された。
 その後、管制塔元被告の中川さんからカンパ運動の報告、現地の山崎さんから、現地、とりわけ横堀の報告の後、福岡、泉州からのメッセージの紹介、泉南市議の小山さん、関西連帯する会の渡邊さんからのアピール、山下さんから静岡の現地闘争の報告、11・12〜13の反空港全国連絡会の報告等を受けた後、開拓組合道路までのデモを闘った。
 仲間の皆さん! 
 北側への延伸を決定し、新誘導路建設を強行し、住民追い出し攻撃を強める政府―空港会社に対して、この攻撃に屈せず生活―営農活動を続ける三理塚農民との連帯を強めよう!
更には、「11・27静岡空港建設中止!土地の強制収用反対!県民大集会」を闘い取り、11・29以降、県による強制測量阻止闘争を実力闘争で闘い抜いている静岡の仲間との連帯を強めよう!
全国の反空港を闘う仲間との連帯を強めよう!(東京S通信員)


福岡11・12〜13
  反空港全国連絡会「第五回全国交流会」
    全国から静岡空港反対に連帯し

 十一月十二〜十三日、反空港全国連絡会第五回全国交流集会が福岡市にて開催された。十二日には交流報告集会などが行なわれ、十三日には、新福岡空港の候補地とされる「海の中道」雁の巣地区の視察を行なった。
 一日目の交流報告集会は福岡ガーデンパレスで開催され、以下の報告・討議が行われた。
 「三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会」からは、今回の道路を横断しての滑走路の北延伸は「過去の空港建設のやり方を反省・謝罪し、話し合いで解決する」という約束を自ら反故にするものであり、国出資の空港会社の完全民営化を睨んで強行したもので航空機と空港周辺に危険をもたらすものでしかないことが指摘され、十二月四日の現地反対闘争への呼びかけが行われた。管制塔占拠闘争の元被告達への一億三百万円の賠償金徴収攻撃に対しては全国からカンパが集まり、昨日国に叩きつけてやったことが報告された。
 「羽田空港を監視する会」からは、「羽田は地元と摩擦がないように思われがちであるが、昔から騒音のため反対運動が絶えることはなく、沖側に拡張された。ところが、拡張されたとたん過密な離発着となり、管制ミスが起きたり、住宅地上空飛行が生じたりしている。当初は住民も条件付で容認していたが、改善されないため大田区議会で自民党の抵抗を押し切って上空飛行即時廃止の陳情が採択されるなど住民の運動が続いている」ことが報告された。
 「空港はいらない静岡県民の会」からは、今年七月の事業認定後、県は九月から土地収用のための測量調査に入ったが、県民の会は地権者を含めて阻止行動を展開し、オオタカの森や茶畑などでは測量を中止させたこと、また十月には静岡地裁で事業認定取消訴訟の第一回口頭弁論が行われたことが報告され、今後も予想される測量調査に抗して十一月二十七日に開催する土地収用反対県民大集会への結集が訴えられた。
 「中部空港見直しネット」からは、「中部国際空港は別名『トヨタ空港』と呼ばれており、トヨタは愛知万博を契機に国際的展開の基点にこの空港を利用しようとしている。しかし航空運輸の収入は全体の四割で、航空運輸外収入が六割を占めるという厳しい空港運営を迫られている。一方、立地条件からして航空機事故が起きる可能性が高く、しかも空港は常滑沖の優れた漁場を破壊して造成されており、赤潮発生や海底生物の減少・消滅など環境の悪化が起きている」と、一企業のために公共事業が利用され、環境が破壊されている実態を告発した。
 「泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会」からは、大阪府の第三セクターが関西空港対岸に六五〇億円で建てた五十六階のビルが赤字運営の末に四十五億円で売却される羽目になり、大阪府は借金を抱え、地元の泉佐野市は赤字再建団体の瀬戸際まで来ており、「開発」に踊らされて破綻した周辺地域の惨状の報告があった。
 「八重山・白保の海を守る会」からは、新石垣空港候補地が住民の反対運動や自然保護の国際世論で二転三転した経過が報告され、海上案と陸上案の折衷的な現在の案はコウモリなどの絶滅危惧種の危機をもたらす恐れがあるのだが、沖縄県が今年九月に国に空港設置の申請を強行したため、今後早急に反対の取り組みを広げていく必要があることが訴えられた。
 「新福岡空港ストップ連絡会」からは、県知事が玄海沖の新空港を打ち出すも知事選で反対を訴える候補者が善戦したためトーンダウンを余儀なくされたこと、しかし福岡市長が独自の海上案を打ち上げ、国・県・市からなる調査会が意見募集をはじめたものの利便性のみを問う内容であり、「新空港はあった方が便利」という結論を引き出すための空港建設を前提にしたものでしかないことが報告された。そして我々の運動のスタンスは「新空港はもういらない」「航空需要は抑制し、むしろ運輸の抜本的見直しが必要」との立場であることが訴えられた。
 集会は最後に「静岡空港の土地収用阻止」と「新石垣空港案の撤回」の二つの決議を採択し、「住民の生活を脅かし、環境を破壊し、資源と税金の浪費でしかない空港建設を拒否する」という集会アピールを発した。(九州M通信員)


教育基本法・憲法の改悪をとめよう!12・3全国集会に3500名
  全国「1000ヶ所」行動で提出阻止を

 教育基本法・憲法改悪をもくろんだ「教育基本法『改正』法案」が二〇〇六年の通常国会に上程されようとしている。これを阻止し、「戦争する国家」づくりを許さないために十二月三日、『教育基本法・憲法の改悪をとめよう!12・3全国集会』が、東京・日比谷の野外音楽堂で開催され、三千五百名の労働者・市民が参加した。
政府・自民党は、九月十一日の衆議院総選挙で圧勝したことによって、教育基本法・憲法改悪の足取りを速め、なりふりかまわぬ攻撃を仕掛けている。周知のように教育基本法改悪は、「伝統文化」や「愛国心」を強制し、国家主義的教育を行なおうとするものである。そして同時に、新自由主義的攻撃として、大競争時代の差別選別教育を目指したものであり、子ども達の幸せとは無縁の代物である。にもかかわらず、政府・自民党は、教育基本法の改悪をテコに憲法の改悪をねらい、「戦争のできる国家」づくりにまい進している。
12・3集会は、これら戦争勢力の策動に対決し、子ども一人ひとりを大切にした教育を守り続けることを宣言して、総選挙後の状況をふまえた新たな闘いの第一歩とした。
集会は開会を受け、呼びかけ人の小森陽一さん(九条の会事務局長)のあいさつから始まった。そしてそれに続いて、呼びかけ人の高橋哲哉さん、三宅昌子さん、大内裕和さん、また特別発言の今井紀明さん(ジャーナリスト、イラク人質事件)らが次々に発言し、荒馬座の演奏が会場の雰囲気をもりあげた。
高橋哲哉さんは、「世界に誇るべき日本国憲法が改悪されようとしているのに、国民の反応が弱く、盛り上がりに欠けている。それは、日本では民主主義を民衆が権力から奪い取った歴史がないからである。民主憲法は、終戦によってもたらされた。この優れた憲法を簡単に手離して良いのだろうか。教育基本法改悪阻止、そして憲法改悪反対の闘いは、民主主義を闘い取る歴史的運動であり、民主主義を今一度自分達のものにする闘いである。全力で取り組もう」と呼びかけた。
また、三宅昌子さんは、「日本は今、暗い時代へと入り込もうとしている。私達は、暗闇の時代の中で、地下水脈のように人とつながり、運動を広げていこう。そうすることによって、憲法改悪を許さない運動が拡大する。今は、運動を大きく広げるチャンスなのだ」と訴えた。
これらの発言を受け、四人目の呼びかけ人の大内裕和さんが登壇した。彼は、「小泉政権は、財政再建と称して公務員の首切り・合理化を推し進めようとしている。それは、教育基本法改悪に反対する教育労働者の運動をつぶそうとしているからだ。そして自治体労働者等、憲法改悪に反対する勢力を抹殺しようとしているからに他ならない。労働者と市民は、公務員への攻撃を許さず、ともに手をつながなければならない。そして、多くの人々と団結して、教育基本法改悪、憲法改悪を阻止していこう」と、力強くあいさつした。
その後、「全国の仲間達から」として各地のアピールを受け、集会宣言に入った。宣言は、「二〇〇六年三月三十一日の国会デモと、それに向けて全国に呼び掛けた一〇〇〇ヶ所行動による連帯の力で、再び『戦争する国家』づくりを目指す教育基本法と憲法の改悪を全力で阻止する」と結ばれ、会場から割れんばかりの拍手が沸き起こった。
参加者は、憲法改悪阻止の闘いに決起することを確認しあい、師走の街へとパレードが行なわれた。「子どもは、お国のためにあるんじゃない」「憲法改悪反対」「教育基本法改悪阻止」の掛け声が夜の銀座にこだまし、たくさんの道行く人々に民主主義の危機を訴えかけた。踊りながら訴える若者、ラッセラ、ラッセラの掛け声ではね子のように行進する人々、それぞれが工夫して作った旗の波、参加者の熱気にみちたパレードが、いつまでも続いていた。(東京O通信員)


12・10東京
石原・都教委の教育破壊ストップ!都民集会
   中村教育長は12・8答弁を撤回せよ

 十二月十日、「石原・都教委の教育破壊ストップ!12・10都民集会」が千代田区・星陵会館で開かれ、教育労働者・市民など約三五〇名が参加した。
 東京都教育委員会はこのかん、〇四年の卒業・入学式等での「日の丸・君が代」強制によって教員の三百余名に及ぶ大量処分を強行したこと、また〇五年七月には「つくる会」反動教科書を採択したことによって、その異常な教育行政が都知事石原の極右ぶりと共に、全国に広く知られるようになった。これら以外にも、東京都の教育行政は「暴走」と言うべきレベルで多くの問題を引き起こしている。
 この12・10都民集会は、「憲法・教育基本法の改悪を先取りし、子どもの学習権を奪う東京の教育行政を変えるために力をあわせよう!」を主旨として、「日の丸・君が代」不当処分の撤回を求める当該諸団体をはじめ、都教委とさまざまな領域で闘う諸団体(十四団体)が実行委員会を作って主催したもの。
 集会前半では、都の小学校から大学までの現状として、石原による都立の大学の強引な解体、設置条例が提案されている「都立学校経営支援センター」など、教育への不当な支配・介入が各現場から報告された。
 また、都立七生養護学校での性教育攻撃、「つくる会」教科書採択(都立と杉並区立の中学)、都の土地明渡提訴と闘っている枝川裁判支援、定時制統廃合(その結果存続する定時制では入学希望が集中し、多くの不合格者を出す事態になっている)など各分野の闘いが報告された。
 続いて、金子勝さん(慶応大学)が「暴走をくい止めるために」と題して講演。現在の支配のやり方は、石原都知事のような古いファッショもいるのでその変化が見えにくいが、「自由と民主主義」を掲げたタカ派市場原理主義による新手法である。もっと広く情報を発信し、かれらのメディア・コントロールを打破しようと熱弁した。
 集会後半では、「日の丸・君が代」強制に抗する諸団体が報告。現在、処分不服審査請求の人事委員会審理とともに、嘱託不採用撤回裁判、再発防止研修取消裁判、国歌斉唱義務等不存在確認訴訟いわゆる予防訴訟、解雇裁判、の四つの裁判闘争が行なわれている。
 これら人事委員会審理・各裁判の原因は、〇三年の都教委「10・23通達」にあるが、最近都教委は、更に「日の丸・君が代」強制をつよめる通達を出す意思を表明した。十二月八日の都議会で中村教育長が、「卒業式等において、学級の生徒の多くが起立しないという事態が起こった場合には、その後、他の学校の卒業式等において同様の事態が発生するのを防止するため、生徒を適正に指導する旨の通達を速やかに発出する」と答弁している。生徒に強制することを教員に強制するという、二重三重に教育を破壊する暴論である。生徒の主体的な意思表明が広がることを恐れている、これが「教育」か!
 集会は最後に、「生徒への『日の丸・君が代』強制を新たに強化することを表明した中村教育長答弁の撤回を求める特別アピール」と、「東京の教育破壊を許さない都民集会アピール」とを採択して終了した。
 なお、今年の卒業式の前には、日の丸・君が代の強制を許さない「2・5総決起集会」が都教委包囲ネットワークなどの主催で開催される(神田の日本教育会館、午後一時)。(東京W通信員)


東京12・11 大阪12・3
  レイバーフェスタ2005
    たたかいと文化のむすびつき

 「労働」を観よう、聴こう、話そうをテーマに今回四回目となったレイバーフェスタ2005が、十二月十一日、都内飯田橋の東京しごとセンターで開催された。
 フェスタは、第1部がケン・ローチ監督の『ナビゲーター・ある鉄道員の物語』の上映から始まった。英国鉄道の民営化によって、日雇労働者になって保線の仕事を続ける現場には、利益が優先し安全対策はなくなっていた。JR尼崎事故を思い出させる。会場からは、事故がいつあってもおかしくないと言うJRの現役保線労働者の発言があった。
 第2部は、レイバーソングDJ。大熊ワタルさんらが、労働歌、差別の中で生まれた歌、海外の解放歌などを紹介した。第3部は、韓国社会派音楽グループ・コッタジのミニ・コンサート。韓国のたたかいや生活の中から作られた労働歌謡、民衆歌謡の力強く美しいハーモニーに参加者は魅了された。第4部は、恒例となった「3分ビデオ」の上映。二十二作品が上映され、製作者からのコメントが披露された。
 今回、コッタジとともに韓国の労働文化運動の担い手が来日した。その活動を紹介したビデオが流されたが、「集会は見るものではなく、体を動かして創りだすもの」、「たたかいは文化であり、文化はたたかいである」という言葉が印象に残った。
 なお東京に先立つ十二月三日には大阪市でも、レイバーフェスタ2005大阪がエルおおさかにて開催されている。
 大阪では二回目の開催であるが、マイケル・ムーアの『ロジャー&ミー』と海外ドキュメンタリー諸作品の上映、公募3分ビデオ、「ユニオン座」による創作劇などが行なわれた。(東京K通信員)