日米首脳会談
   対米一辺倒深め中国・アジアへ敵対
     孤立する「世界の中の日米同盟」

 米大統領ブッシュが十一月十五日、伊丹空港に来日し翌十六日、京都で首相小泉との日米首脳会談を行なった。これは、十八日からの釜山APEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会合に合わせた日本、韓国、中国、モンゴル歴訪の一環であるが、日本での会談はきわめてひどい内容であった。
 この日米首脳会談は、十月二九日の米日軍事再編「中間報告」の日米合意を首脳級で再確認すること、また来月十四日期限切れの自衛隊イラク派兵の継続、釜山APEC・香港WTOでの日米の共同歩調の確認などが目的であったが、会談ではとくに「世界の中の日米同盟」路線が対中国同盟の性格をもって強調された。
 小泉は、「日米関係が良ければ良いほど、中国、韓国、アジア諸国と良好な関係が築ける。これが基本的な私の考え方」と開き直り、米国の武力と一体化してアジア諸国に強圧的に臨んでいくという驚くべき暴論を開陳した。また「日米関係をほどほどにしてマイナスが出たら他の諸国との友好関係の強化で補ったらよいとの考えが日本にあるが、そういう考えは全く取らない」と断言した。小泉の対米一辺倒への批判は日本の支配層内からも強まっているが、これを意識し、親米「改革」路線の貫徹を叫んでいる。そして基地再編については、「日米安保による平和と安全の中に日本の発展があり、しかるべき代価を払わないといけない」とし、先の日米合意を沖縄と「本土」の民衆に強要することを当然としている。
 これに対しブッシュは、「首相のリーダーシップ」をほめちぎり、小泉による日米基地再編合意の貫徹に強い期待を表明した。そして「自由」な日米が中国を「自由」にするという冷戦的思考を、小泉と共に謳ったのである。
 これほど明け透けな日米一体化路線は、近年稀に見るものである。中国に大きな利害を抱える日本経団連は、「今回の会談で対中関係が改善される要素は、何も無かった」と不満を表明した。釜山APECでは、小泉の孤立ぶりが明瞭となった。十二月の東アジア・サミットでも、小泉政権の下では日本は「東アジア共同体」へ向けた資本家の意図は達成できないだろう。
 帝国主義支配層内部の抗争は強まり、小泉連立政権の動揺は避けられない。しかし、それを打倒するのは、労働者民衆の東アジアを求める日本の労働者人民でなければならない。