外交破綻・対米一辺倒の小泉連立政権打倒しよう
  東アジアと共に生きる日本を

 最近の北東アジアの諸政府の外交活動では、対照的な動きが広がっている。
 日本政府は、北東アジア・東アジアでの孤立化を深めている。六月二十日にソウルの韓国大統領府・青瓦台で行われた日韓首脳会談は事態を好転させる機会であったが、ここにおいても小泉首相は何の新しい対応も用意しなかった。ノ・ムヒョン大統領が3・1独立運動記念日等で表明してきた「独島」「靖国」「つくる会歴史教科書」など日本の過去清算問題に対して真摯に対応せず、小泉連立政権の外交的行き詰まりを露呈しただけに終わった。
 対中国関係においても、中国人民の対日批判行動の圧力を背景とした、中国政府の「歴史認識」と「台湾問題」を二大原則とする対日政策に対し、小泉政権は何ら建設的に対応できていない。「親日」的ともみられる台湾当局との間ですら、釣魚諸島問題で台湾漁民の対日抗議行動とフリゲート艦出動にまで直面することとなっている。
 いっぽう韓国ノ・ムヒョン政権は今春以降、「北東アジアのバランサー」としての外交活動を活発化している。六月十日の韓米首脳会談を始め「六者協議」関係諸政府と相次いで会談し、その再開に向けた韓国政府の主導性が強められている。
 特筆すべきは、ピョンヤンで開かれた「6・15南北共同声明5周年」の記念行事に、ノ・ムヒョン大統領の側近中の側近であるチョン・ドンヨン韓国統一省長官と韓国政府代表団が参加し、十七日にはキム・ジョンイル総書記との首脳級会談を実現したことである。これは、南北間における一層の政治的・経済的交流の深まりと、朝鮮半島の戦場化を阻止する民族同士の力を見せつけ、自主的平和統一の希望を膨らませるものとなっている。
 かたや小泉外交が破綻したままとなっている要因は、安倍や中川など札付きの自民党右翼分子ばかりではなく、政権内でも、いぜん「歴史認識」に関する極右発言が相次ぎ、小泉首相の靖国参拝が既定路線であるかのように内外に発信を続けているからである。
 中山文科相は六月十一日、「従軍慰安婦という言葉は当時なかった。間違ったことが教科書にのった。それがなくなってよかった」などと語り、用語と事実を混同させて事実を否定した。この暴言は、九三年の軍隊慰安婦制度謝罪の河野官房長官談話や八二年の教科書検定「近隣諸国条項」などを否定する、極右反動派の路線の下にある。また森岡厚労省政務官による、極東国際軍事裁判を全面否定する極右発言も飛びだし、アメリカ頼みの小泉をあわてさせた。
 こうした「歴史認識」のままでは、韓国、中国など近隣諸国から、世界有数の装備を持って米軍と一体化を深める自衛隊のイラク派兵が懸念の目で見られるばかりではなく、憲法改悪や国連常任理事国入りを狙う日本が、アジア再侵略のために帝国主義的ナショナリズムで国民統合を図っているととらえられるのは当然といえる。
 しかしながら、新自由主義のノ・ムヒョン政権や中国政府から小泉政権に出されている批判は、日本帝国主義を打倒せよ、などというものでは全然ない。それは、資本主義の友好的なパートナーシップの回復を、というのが基本性格である。北東アジアの経済交流の進展には、韓国・朝鮮、中国の政府にとって、日本が過去を反省した「平和国家」であることの確証が必要である。それを韓国、中国政府は、日本政府から引き出したいにもかかわらず、小泉政権は自民党右翼分子と一体となり、米帝一辺倒の政策に固執しているのである。
 今年の八月十五日に、もし小泉が靖国参拝を強行するならば、日韓、日中関係は破局となるが、そこまで愚かでなくても現在の東アジア外交の行き詰まりを打開できないままでは、小泉の早期退陣も予測される政局となっている。自民党にはこの場合、後任に安倍を押す反動傾向が強まっている反面、しかしながら自民党や日本資本家階級内部でも、日韓、日中関係重視の部分は少なからず存在し、小泉内閣の対応に批判を強めている。
 われわれ労働者民衆は、小泉政権を打倒する主体的力量を前進させながら、支配層内部の亀裂を利用しつつ、当面の日本政治の転換をかちとらねばならない。韓国・朝鮮民衆、中国人民と連帯し、東アジアと共に生きる日本をかちとろう。

6・18東京
  北東アジアの平和と”歴史認識”を問う
    米軍再編と闘う日韓民衆

 六月十八日、日韓民衆連帯全国ネットワークなど諸団体呼びかけの「朝鮮侵略100年、朝鮮解放・分断60年、日韓条約から40年を問う2005年運動」が主催した「東北アジアの平和と歴史認識を問う6・18集会」が東京・池袋の豊島区民センターで、韓国からのゲストを招いて行なわれ、一八〇名が参加した。
 集会に先立ち、南池袋公園から会場前までのデモが行なわれ、土曜日の繁華街の人々に日韓民衆連帯をシュプレヒコールで訴えた。
 集会は、日韓ネットの渡辺健樹共同代表の主催あいさつに続き、琉球大学教授の高嶋伸欣さんから「歴史認識と教科書問題」の演題で、おもに「つくる会」歴史・公民教科書の批判を中心に講演が行なわれた。
 韓国のピョンテク(平澤)駐韓米軍基地拡張反対の闘いから、現地のチョン・テファさん、シン・ジョンウォンさんを迎え発言を受けた。お二人からは、日本帝国主義からの解放後、米軍が入って来ると農地も住民も蹂躙され続けてきたことが語られた。そして今米軍と韓国政府は、米軍の再編にともない、ピョンテクの大規模な基地拡張を計画していることが報告された。
 米軍再編に関連し日本側からは、沖縄・辺野古の闘いを沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの木村事務局長が、また神奈川県座間の闘いを相模原市議の岩木香苗さんが報告した。
 またVAWW−NETジャパンの西野さん、脱WTO草の根キャンペーンの大野さん、在日韓国民主統一連合の朴組織局長からアピールを受けた。
 最後に、集会基調報告が拍手で確認された。それは「日本と朝鮮半島の100年に及ぶ不正常な関係の清算を!」「日本の戦争国家化阻止・核も米軍基地もない東北アジアを!」とするもの。日米帝による北東アジアでの侵略と戦争の策動に対決することは、平和の実現と自己解放への道を切り拓く一歩となるだろう。(東京Ku通信員)


7・1大阪
  対話で平和を!「経済制裁」に反対し
  日朝国交正常化交渉の早期開催を!

    東アジアの真の友情を

 七月一日、大阪市の北区民センターで「対話で平和を!『経済制裁』に反対し日朝国交正常化交渉の早期開催を求める大阪の集い」が実行委員会主催で開かれ、労働組合、韓統連、朝鮮総連など約五〇〇名が参加した。半数が在日の人々であった。
 講演を、小林正人さん(映画プロデューサー)、朴一さん(大阪市立大学教員)の二名が行なった。
 小林正人さんは、最近の朝鮮関係のテレビ報道は感情的・一面的・政治的な内容が多い、スポンサーの関係で視聴率を気にし、ニュース報道がショーになっている、報道は公正・中立を守り視聴率の対象になってはいけない、キャスターが放送で「あの国は何を言ってもわからない」「あのならず者国家」と発言した、「北朝鮮の脅威」のイメージを作っていると、おもにメディアの問題を述べた。
 朴一さんは、日朝関係の現状と課題を次のように述べた。日本政府は、北朝鮮に対して二つの経済制裁法、「改正外為法」「特定船舶入港禁止法」を成立させた。経済制裁が北朝鮮に及ぼす効果はどの程度か。日本政府が貿易保険の対象から北朝鮮を除外したので、日朝貿易は減少している。逆に北朝鮮は、中国、韓国との貿易額を大幅に増加させており、今や対外貿易の七割が中国、韓国で占められ、日本とは二割にも満たない。日本単独での経済制裁は効果はないと思う。それよりも経済援助を提供し、東アジアの平和と安定を追求すべきだ。
 最後に集会アピールを確認し、経済制裁反対、日朝国交正常化、九月十七日の日朝ピョンヤン宣言三周年の集会への結集を訴えた。
 なお、七月十六日には「日韓関係の過去と未来をつなぐために戦後60年・日韓条約40周年記念大阪集会」が、市民団体や労組の広い参加で行なわれる(大阪国際交流センター大ホール、午後二時より)。
 在日韓国・朝鮮人が多く、アジアとの交流も深い大阪では、今こそ東アジアとの真の友情を作っていこうという動きが強まっている。(大阪N通信員)