米日軍事再編は決定的時期−7月安保協を包囲しよう
  辺野古の勝利から反転攻勢へ

 六月以降、このかん水面下で進められてきた在日米軍再編と安保見直しについての日米両政府の合意形成が、具体的にその形を現そうとしている。今夏が決定的時期であり、辺野古の海上新基地建設を完全に断念させることを始めとする反基地闘争とともに、日米安保のグローバル化を阻止する闘いを今こそ強め、日米両政府のもくろみを打破しよう。
 六月四日には、シンガポールで日米防衛首脳会談が行なわれようとしている。このラムズフェルド国防長官と大野防衛庁官との謀議では、去る二月十九日の日米安全保障協議委員会(2プラス2協議)で確認した段取りを再調整しつつ、次の日米安保協の日程と内容が決められようとしている。
 その七月〜八月に想定されている「2プラス2」協議では、在日米軍再編の日米合意が中間報告的に発表されようとしている。普天間基地と辺野古移設をどうするのか、日米両政府の態度はこの時点でほぼ確定されるということである。
 これらの日米合意は、九月の国連総会時に日米首脳会談が行われ、そこで最終的に確定されようとしている。基地再編合意の確認とともに、ブッシュと小泉とによって新・日米安保共同宣言すなわち(九六年宣言の再定義に続く)安保再々義が発表され、「世界の中の日米同盟」路線が確認されようとしているのである。これは在沖・在日米軍再編をテコに米軍と自衛隊の一体化をすすめ、米軍の後方支援作戦を世界中で戦うために、自衛隊のグローバルな海外派兵を可能にせんとするものである。
 そして、この安保体制見直しの数年後にその強行がもくろまれているのが、日本国憲法の改悪である。九条改憲が強行されてしまったら、派兵自衛隊は後方支援どころか戦場の最前線で、武力行使を堂々と行なえることになってしまう。
 日米両帝国主義の反動的スケジュールは以上のようなものであるが、これを打破するためには、沖縄と「本土」の労働者人民の今夏の闘いによって、まず沖縄基地再編における具体的な勝利をかちとることが決定的に重要である。これを突破口に反戦平和勢力が攻勢に立ち、安保再編から憲法改悪へ向う敵の動き全体に総反撃を開始するのでなければならない。
 したがって当面第一に問われている課題は、辺野古の新基地建設の断念を日米両政府に正式に表明させること、かつ普天間基地の沖縄「県内移設」が不可能であることを確認させることである。
 今年の5・15普天間基地包囲行動は、辺野古現地阻止闘争の堅持に突き動かされ、昨年の包囲行動とは打って変わって「県内移設反対」「辺野古断念」が鮮明なものとなった。沖縄では、辺野古見直しは勿論、それに代わる新たな「県内移設」の日米合意なども絶対に認められないとする政治状況が進んでいる。追いつめられた小泉連立政権は、防衛施設庁の現地での強硬姿勢を放置する一方で、現在では、いかに辺野古見直しを図れるかに腐心しているのである。つまり、「辺野古沖以外の県内移設は反対」などと言っている稲嶺県政・与党を、いかに崩壊させずに事態をのりきるかである。
 また、すでに辺野古に関心をなくしているブッシュ政権側の意図は、辺野古見直し・SACO合意見直しをいかに高く売りつけるか、それを現在の世界的軍事再編に有利なようにいかに転ずるかという点にあるといえる。新たな移設先をどこにもってくるにせよ、自衛隊・米軍の一体化、新・安保体制という新たなステージでそれは策謀されているのである。辺野古の闘いの勝利は、次の闘いの幕開けとならざるをえない。
 第二に見ておくべきは、日米軍事再編と安保の再々定義が、現在の東アジア情勢にどのような影響を与えるかという点である。この日米同盟再編・強化は、今年三月以降急速に進んだ日本と中国・韓国との衝突、日本の東アジアからの孤立を取り返しのつかない形で一層進行させることになる。二月の安保協共同宣言では「共通戦略目標」で事実上、台湾海峡有事での安保第五条・日米共同対処を初めて確認し、中国側の強い反発を呼んだばかりである。(六十年安保でもその「極東条項」の範囲に台湾は入れられていたが、これは第六条・基地供与に関わる在日米軍の出動範囲のことであった)。またそれは、韓国ノ・ムヒョン政権が絶対に避けなければならない朝鮮半島の戦場化に、自衛隊派兵を構えるものとなっている。
 したがって課題は、小泉外交の破産を憂慮し、東アジア・北東アジアとの連携の願いを強めている広範な日本の諸勢力に対し、現在の安保再編がその願いにきわめて有害なものであることを訴えることである。日米安保新合意が強行されれば、ポスト小泉においては、東アジアからの孤立を反動的に居直り、日米同盟だけでもやっていけるとする最悪の右翼ナショナリスト政権が出てくる危険性すらある。
 ブッシュ政権の戦争路線に追随する日米安保再編は、安保堅持を前提としている体制側の諸勢力にも動揺と分岐をもたらさざるをえない。労働者人民の反戦平和勢力は自身を強化しつつ、広範な政治的攻勢をかける必要がある。 


【沖縄からの通信】

  5・15普天間包囲行動24000名の大結集
         「普天間即時閉鎖」「辺野古断念」を迫る
    夜間作業強行は破綻した

 辺野古の海の単管足場は、四〇〇日を越えるボーリング阻止によって味のある風貌になった。波しぶきと風をよけるムシロやテントに阻止の人々の思いが書き込まれている。呪文をまとって美ら海を守らんとするシンボルのように。
 四月二六日からの夜間作業強行に対し、単管足場では24時間態勢の監視行動が行われ、陸上では「辺野古新基地建設を許さない市民共同行動」(平和市民連絡会など六団体)が、防衛施設局とそれに許可を与える県当局とに対して何度も団交を行ない、作業中止を求めてきた。ついに五月三十日の交渉で、施設局側にその非を認めさせた。
 このかん平和市民連絡会は、四〜六月を重要な時期として方針を立て、県と施設局の追及に力を注いできた。日本政府は、小泉自身も「辺野古見直し」を口にし、稲嶺や沖縄自民党に打撃を与えないような「解決策」を探ろうと、いろいろなアドバルーンの上げ降ろしているが、辺野古現場は全然ちがう。夜間攻勢、危険な綱の放置等、問答無用である。「末端の那覇防衛施設局が『作業強行』とは、戦前の日本陸軍の『暴走』を想起させる行動です」(市民共同行動の五月二十日要請書)と糾弾された。
 5・15普天間基地包囲行動は、前回を大きく上回る二万四〇〇〇名の参加で大成功を収めた。日本政府に打撃を与える絶妙なタイミングだった。昨年の普天間包囲は、連合の参加条件として「辺野古移設を断念せよ」を降ろしたが、今年はそれを認めて連合も参加した。
 民主党と共産党の両党首がタッチしたのも例年にないことであった。このことは、日本政府に対して政権問題として圧力になったと同時に、沖縄の民衆運動が政党の選挙運動に収束されていく危険性をはらんだ両刃のやいばである。
 連合の心中は昨年も今年も変わらないが、辺野古ノーと言わなければ選挙が不可能であるからだ。名護市と辺野古を含む衆院沖縄3区で、沖縄市で売れっ子のスター、デーニー氏が民主党から出馬する。そうなれば、かっては共産党によって演じられていた分裂選挙が、今度は民主党によって演じられることになる。
 沖縄民衆は、幾度かの失敗ののち参院選での糸数慶子の勝利パターンを手にしている。このパターンは沖縄の運動方法の核心点として磨き上げられる可能性をもっている。しかし民主党とデーニー氏の出方いかんによっては、またもや沖縄民衆は泣きをみる。連合と民主党は、このデーニー・カードを行使するため、あえて辺野古断念を認めて包囲行動に参加しているのである。
 白紙撤回させられたとは言え、伊良部町議会が「下地島空港への自衛隊誘致決議」を一旦は通過させたことは重大である。また大浜長照・石垣市長が「当市の尖閣列島」を視察したいと表明したことも重大である。「尖閣列島の石油共同開発」を公約に掲げる者もいる。「沖縄に属する日本固有の領土」なるプロパガンダが地元紙にのぼり、同時並行的に日本政府は、「領海侵犯」「ガス田の連結」等の声明を繰り返している。
 三月二五日の下地島での「白紙撤回」に小泉内閣は首をうなだれていたと言われるが、その背景には、「離島侵攻の危機」を叫ぶ「南西諸島防衛論」など、大掛かりに沖縄におけるナショナリズム運動を台頭させるシナリオがあったのではないかと言われている。
 「尖閣列島石油開発・沖縄経済自立論」は、「復帰」前後にも起こったことがある。復帰協主流もこれに巻き込まれ、危うく復帰運動のエネルギーが右翼化するところであった。これは失敗に終わっているが、また現在も日本政府にとっては、沖縄の侵略的国民統合を図る魅力的なテーマであろう。「領土は両国民衆のもの」、「領土争奪は民衆に無縁」などの態度は沖縄の一部にもあるが、そのような超現実的な観念論でファシズムの成長と闘えるのか。
 五月三十日、二年に及んだ収用委員会公開審理が結審の日を迎えた。中村文子さん(元教師、皇民化教育によって多くの教え子を戦死で失った。現一坪反戦地主会顧問)ほか十三名が意見陳述を行なった。
 各氏は、普天間米軍基地の軍用地強制使用を却下するよう県収用委員会に求めた。米軍ヘリ墜落後の却下要求は、これまでにないリアル感を持っていた。その裁決は七月八日。
 日本政府・那覇防衛施設局が、閉鎖が迫っている普天間基地であるにも関わらず、今後もその土地を供与し続けるために強制使用を繰り返すなどということは許すことのできない愚行である。普天間即時閉鎖・辺野古新基地建設阻止をかちとろう。(沖縄T)
 

東京東部
  辺野古地質調査工事請負のサンコーコンサルタント本社を追及
     工事契約解除せよ

 東京東部地域では一九九五年以降、沖縄の反基地の闘いと連帯する運動が、東部六区の労働組合や市民団体などの地域共闘によって粘り強く進められてきている。この「沖縄の闘いと連帯する東京東部集会実行委員会」の仲間たちは、辺野古で米軍海上新基地建設を強行せんとする日本政府・防衛施設庁の横暴に抗議し、このかん工事の即時中止を掲げてデモやビラまきを地域で繰り返し行ない、今春には沖縄現地へ派遣団も送ってきた。
 今年四月下旬、地質調査ボーリング工事が現地反対運動によって阻止されていることに対抗して、防衛施設庁と地質調査会社は夜間作業を強行しようとしてきた。現地での二十四時間の闘いに連帯し、東京東部で何ができるかが問われた。
 とりわけ江東区・亀戸地区には、海洋地質調査を防衛施設庁から請け負っている「サンコーコンサルタント」という会社の本社がある。サンコーコンサルタントは、辺野古現地で支援の仲間たちを海に突き落としたり、海で抗議する人に建築資材を投げ入れたり、妨害や嫌がらせを繰り返している悪質な元請会社だ。東部の仲間たちは再三サンコーコンサルタントに面会と交渉を求めてきたが、会社は誠意ある態度をとらず、はぐらかしてきた。
 これに抗議する数十名の仲間たちは亀戸駅頭で五月十八日、横断幕と看板を掲げて抗議行動を展開した。
 これらの行動に驚いたサンコーコンサルタントは五月二十日、しぶしぶ面会に応じることとなった。東部の仲間の代表たちは、本社会議室で会社の代表と二時間近くの交渉を行ない、暴行を加えたことを謝罪せよ、工事契約を解除すべきだ、とりわけ夜間作業を直ちに中止せよ、と強く申し入れた。
 会社は面会には応じたものの、発注者(防衛施設庁)に言ってくれ等話し合うという姿勢を欠き、謝罪など誠意ある対応を取らなかった為、仲間たちは引き続き夜間作業の即時中止、暴行への謝罪、地質調査から手を引くことを要求して闘っている。(東京H通信員)