編集部だより

▼ 「混沌」を国語辞典で引くと、「宇宙生成の最初期、天地未分でどろどろであった状態」「同程度の力のものが互いにしのぎを削っていて、形勢がどう変わるか、見通しの立たない様子」とある。「天地分化」のような可能性が胚胎している状態、形勢が決まり新しい時代が開かれる過渡期である。▼「混迷」という言葉もある。これは「いろいろなことが入り混じって、何がどうなっているのか、わけが分からなくなること」とある。「混沌」は未来に向かうベクトルを胚胎しているが、「混迷」はそのベクトルを欠いた状態といえるだろう。▼いま日本の圧倒的多数は、自分の将来に期待を持てずに生きている。日本の社会は、「混迷」の淵に沈み始めているのである。だが社会の歴史において「混迷」はそれほど長い時期ではありえない。なぜなら「混迷」は社会の崩壊であり、その状態の中で人は生きて行けないからである。人は「混迷」の打開を求める。われわれは、「混迷」を前進的ベクトルの胚胎する「混沌」へと転化しなければならない。▼「混沌」は、社会にとって可能性が大きく開かれる時代であり、人々がその構想力や創造性を最も大胆に発揮できる時代である。機会を捉える決断力と行動力がそれまでになく求められる時代である。「混沌」の時代を手繰り寄せるには、自らその時代に相応しい主体へと自己を変革していかねばならない。▼社会を変革するのは人である。いま人が変わってきているように思われる。大陸からの風に励まされて・・・・(深山)