韓国ノ・ムヒョン政権が対日新政策を発表
  小泉アジア外交の総破産
    北東アジア諸国人民と連帯し、日本外交の転換を

 小泉連立政権は現在、内政では郵政民営化法案で守旧派との利害調整が延々としている一方、外交では、対韓国・朝鮮半島外交、対中国外交が重大な破綻に直面し、アジア外交総破産の様相を呈している。
 北東アジア・東アジアに対する日本外交の失敗は、日本のブルジョア支配層の愚かな失策ではあるが、日本の労働者人民を戦争と排外主義の道に引き込む危険を高める、放置できない失策である。我われ日本プロレタリア階級は、日本革命の実現の途上において、日本の外交路線の転換、対米基軸から北東アジア連携への転換という現在的課題を軽視するわけにはいかないのである。
 対朝鮮半島外交では、日朝ピョンヤン宣言による日朝正常化の機会が現在ひどく失われているだけではなく、韓国ノ・ムヒョン政権の先の対日政策転換によって、対韓国外交の破綻が明確となった。
 韓国ノ政権は、三月一日の光復節大統領演説での対日批判に続き、三月十七日に国家安全保障会議が対日関係基本政策を発表した。これは、これまでのノ大統領の任期中は歴史問題を争点化せずの態度から、「世界史の普遍的方式に立脚して歴史問題を解決していく」態度へ転換するものである。
 この十七日発表の対日関係新政策は、「最近、日本が見せている一連の行動は、日本が果たして北東アジアの平和勢力として隣国と共存しようとする意志があるのかどうか根本的疑問を催している」と述べ、独島(日本でいう「竹島」)問題、歴史教科書問題等を例示している。
 そして対日政策の四大原則として、@真実糾明・真正な謝罪と反省、被害側の容赦と和解という普遍的方式で歴史問題を解決し、韓日関係を構築する。A独島問題など過去の植民地侵略を正当化しようとする事案には、断固対処する。B国際社会に我が国の大義を明らかにし、この過程で日本の態度変化を促す。C日本とすでに合意あるいは予定の政治的経済的人的交流を変わらず増進させる、としている。
 また当面の五大方針としては、@独島の領有権を守護する。A日本の良心的勢力と連帯し、歴史歪曲を正すよう対処。B日帝被害者問題では、政府が負担すべきものは直接解決し、六五年韓日協定の範囲外の事案の個人補償については、日本政府が解決するよう促す。C日本は隣国の信頼を得ることが、国連などで指導的国家として尊敬される初歩であることを認識すべき、として対応する。D日本が未来の北東アジアの平和と安定を共に具現していくパートナーであり、運命共同体であるという信頼と希望を放棄せず、既存の交流を進行させ、さらに両国市民社会間のネットワークを強化する、としている。
以上の対日新政策は、日本の進歩的世論から見てもきわめて妥当なものであるが、過去清算を棚に上げた日韓条約や現在の日韓FTA交渉などの見直しについては全く踏み込んでおらず、むしろ、北東アジア連携へ向けた日本支配階級の政策転換を求める意図が示されているとみることができる。
ところが小泉政権は、この隣国のいわば重大な注文に対して、相変わらず「未来志向で」とか「国内向け」とかの反応しか示していない。内政的にはノ政権は、このかん国家保安法問題での野党の抵抗に手を焼き、日本側の「竹島」問題での挑発(島根県の条例採択)を機に、対日批判で政権強化を計ったとみることもできる。しかし、この対日政策転換は、大統領就任以来の一貫した北東アジア共同体志向の基調に根ざしたものであって、政局的にとらえるべきではない。
ノ・ムヒョン大統領は対米政策においても、三月八日の空軍士官学校卒業式演説で、韓米同盟を前提とした上で「十年以内の戦時指揮権」回復に言及し、「我われの意志と無関係に韓国民が北東アジアの紛争にまき込まれることはない」ことを原則として強調した。続いて二十二日の陸士卒業式では、「北東アジアの均衡者」としての韓国の外交路線を強調した。
こうした韓国ノ政権のブルジョア的北東アジア共同体実現の路線に対し、我われ日本の労働者人民も明確な認識と政策をもつことが必要となっている。
また、対中国では、釣魚台(日本でいう「尖閣諸島」)問題がからむ東シナ海の天然ガス開発問題を機に、日中の「政令経熱」のアンバランス状況が一層すすもうとしている。小泉の靖国参拝の無反省の上に、日米軍事再編での南西重視が加わり、対中外交も展望がない。国連改革論議では、日本の常任理事国入りの要求が、中国、韓国から実質的に反対される事態となっている。
ブッシュ米政権との異常な血盟関係を深めているのみで、アジア外交を総破産させている小泉政権――これを一刻も早く打倒し、北東アジア・東アジアの共存と平和の確保へ、日本の当面の転換をかちとることが急務である。