大阪・釜ヶ崎
  「交付金」打ち切りで強いられる
     輪番就労枠の八割弱への減少

  反失業闘争は新たな段階へ


 釜ヶ崎での「反失業闘争」は、四月一日より新たな段階を迎えた。
 九三年に結成された「釜ヶ崎就労・生活保障制度実現を目指す連絡会」(釜ヶ崎反失連)により、九四年闘い取られた、釜ヶ崎日雇労働者の五十五歳以上の者を対象として始められた大阪府・市の事業の「高齢者特別清掃事業」は、九九年から、国の「緊急地域雇用交付金」の開始により、大幅に拡大された。そして、九九年十一月からは、その受け皿として「NPO釜ヶ崎支援機構」が創建され、〇二年より「緊急地域雇用創出特別交付金」として変更されながらも、〇四年まで延長された経過であった。
 「交付金」は、〇四年は大阪府と大阪市に計四十五億円が交付され、うち約六億二千五百万円が、釜ヶ崎での地区の雇用事業にあてられたものである。五十五歳以上の登録された日雇労働者が、日給五千七百円で、地区内外の道路清掃、草刈り、保育所・公園・バス停などのペンキ塗りなど様々な仕事についてきた。〇四年度で登録は三千百名で、前述「特別清掃事業」の他、「あいりん労働福祉センターのガードマン」(就労斡旋機能向上事業)、「仮設一時避難所の所内外作業」等があり、「特掃」の百八十七名と合わせ、計二百七十名余が仕事に就いていたのだ。輪番で月に就労できるのは三日程度、月に二万円にも満たない収入ではあるが、その他のアルミ缶回収作業などを合わせながら、釜ヶ崎労働者が生命をつないできたのである。
 全事業で、〇四年度で大阪市は四億九千万、うち「交付金」が、四億一千万円がベースだった。大阪府は、三億五千万円、うち「交付金」は、二億八千万円が基礎となっていたのである。昨年より、〇二年に公布された「ホームレス自立支援法」に基づく各地方自治体で策定された「実施計画」の対策、これ等の実行を保障する「ホームレス対策予算確保」を国にせまる請願活動、国との交渉が続けられた。しかし、〇五年度政府予算では、「同交付金」の継続は打ち切られ、わずか、全国で一億円程度の「ホームレス就業支援事業」の新規事業が、就業対策に計上されただけだった。国が「支援法」の「施策を推進させるための財政上の措置に努めなければならない」(第十条)とする事に、何等財政的責任を負わない姿勢が露わになったのである。
 反失連は、一月四日の「御礼まいりデモ」にて、府・市に対し要求書を提出した。要求内容は、一、国に対し雇用対策予算の確保、特別就労事業の創設を働きかけること、一、輪番就労を最低現状維持の予算を計上すること、一、「あいりん職安南分庁跡地」を「職業訓練や職場適応訓練事業の実施場所として活用すること等」であり、府・市に対し、たとえ国の予算化がなくなった場合でも、現状の「特別清掃事業」の縮小はせず、府・市が責任を持つ事を求めることであった。
 一、二月と交渉が、三月から府・市議会が始まると傍聴活動が、「勝利号」に労働者を乗せ、続けられた。府・市は、「府・市共同し民間も協力してホームレス就労支援センターを設置する。特別清掃事業は、それが確立するまで、一定の間、支援を継続する」との答えで、現在の規模での継続は困難、とする態度を崩さなかった。
 今年度は、現実的に、国の「交付金」が打ち切られる中で、大阪府・市による「特別清掃事業」枠は、二百七十名が二百十五名となる事になったのである(府百名、市百十五名)。約八割弱の就労枠に減少する結果となった。今年度三千百名の登録が来年度も同程度とすれば(三月二十四日より新年度登録受け付けが開始されている)、今までの月三回の就労が維持できるのは無理という厳しい結果であった。
 一方、「特別清掃事業」枠の減少に伴い、必然的に、現在の事業を担っている中心の「指導員」枠も、同じ減少率や、就労の性格変更も考えると、現在の五十名体制を?二十九名体制にしなければ現状維持(指導員の就労日数等)は図れないという厳しい現実が、つきつけられた。
 NPO指導員会議での激論が、この間続けられた。ワークシェアリングの面からの提起もあり、他方で事業の継続を自ら作り上げるための質的向上を図る提起も行われた。仕事に責任を負うこと、労働者とのつきあいをしっかり図っていけるかの点、縮小の現実ではあるが、あくまで「特別清掃」が反失連の運動の成果の中から生まれ、継続されている事を理解し、さらに推し進める事などを軸に指導員会議での討論が行われ、結果、?三十九名体制で新年度は出発することとなった。事業費、輪番就労枠、指導員体制枠もいずれも約八割弱への縮小という厳しい結果で出発する事になったのである。
 反失連としては、国に対する予算確保、府・市に対する現状維持が果たされなかった事において、厳しい運動の再構築が論議されることになるだろう。他方でまた、「就労支援センター」の確立と社会的な就労、仕事作りといった様々な闘いも求められてくるだろう。   
 公的就労の軸に、仕事作りも含め、野宿労働者の仕事確保の闘いを更に進めていこう。
(関西Si通信員)


大阪・高槻
  3・27「ピースフェスタ2005」に三千名
    釜ヶ崎講座、出店で反失業をアピール

  
好評の「竹細工」仕事作り企画

 三月二十七日午前十一時から午後三時まで、大阪府高槻市の高槻城跡公園にて、「ピースフェスタ2005in高槻」が行われ、「釜ヶ崎講座」も参加した。「ピースフェスタ高槻」は、「おとなも子どもも、障害者も健常者も、国籍をこえて、みんなが手がつながる平和な高槻、環境、共生の高槻を作りましょう」を目指した取り組みで、今回で四回目を数える。   
フェスタは、地域の市民運動、労働組合、作業所など多数の団体による実行委員会によって、数ヶ月の準備を経て取り組まれ、三千名近くの来場者で盛況であった。
 「釜ヶ崎講座」は、一昨年十一月の第三回目に続いての参加で、前回は高槻のフェスタ実行委に係わる「講座会員」からの呼びかけが契機であったが、「釜ヶ崎講座」でも、釜ヶ埼地区内での取り組みや、大阪市内での「講座の集い」以外に、大阪府下の各地での場で、積極的に「釜ヶ崎」の問題をアピールしようと、今回は積極的に取り組んだものである。
 「講座事務局」を中心に、釜ヶ崎反失連やNPO釜ヶ崎、ビックイシュー販売員の方々の全面的参加を得て、今回は、出店として「チヂミ」の販売、「ホームレス問題」のパネル展示、ビックイシューの販売とリーフ類の配布の企画と、更に今回は、反失連仕事づくりの取り組みで実践されている「竹細工」グループの労働者による「竹とんぼを作ってみませんか」という企画を持って参加した。
 チヂミは三百食近くを売る好評さであり、他方、「竹とんぼ」のコーナーは、子ども達がつぎつぎと集まり、竹とんぼの絵づけ、ストローと牛乳パックで作る「竹とんぼ」作りなどに、目をかがやかして参加してきた。
 地域で「ホームレス問題」「仕事作り」の課題を、この様なフェスティバルへの参加などを通して訴えていく活動を、NPOや反失連と共に、「釜ヶ崎講座」は、今後も取り組んでいく予定である。  (関西I通信員)