破綻する海上基地・「歓迎されない」座間移転
  在日米軍再編を基地撤去へ

 在日米軍基地の再編について、現在もっとも焦点となっている闘いは、沖縄・辺野古の海上基地建設の阻止と普天間基地の即時返還、神奈川・座間基地への米陸軍第一軍団司令部の移転阻止である。また、〇八年予定の横須賀への原子力空母配備反対、沖縄・金武町での都市型訓練施設建設の中止、沖縄海兵砲撃隊の矢臼別への移転反対などの重要課題がある。
 辺野古の海上基地については、このかんの三百日を超える現地での工事阻止の闘いなどによって、日米両政府は追いつめられつつある。両政府関係者から見直し発言が続出している。
 二月二三日、ローレス米国防次官補は訪米した自民党政調の額賀らに、日本政府が辺野古以外の代替案を示せば見直し協議に入るとの態度を示した。その際、沖縄県内移設という条件を付けたとも報じられているが、反対運動と工期の長さに痺れを切らした米側の態度が明らかとなった。続いて二五日、大野防衛庁長官は、「SACO最終報告と米軍再編との接点がある可能性を完全に否定はしない」と記者会見で述べたが、「米側が言ったから見直し、という軽々しい問題でない」などと居直ってみせた。安保協「共同発表」が「最終報告の着実な実施」としているのは、日本政府の面子を立てたものであろう。
 稲嶺沖縄県知事は在沖米軍基地整理・縮小の県案を持って、三月十二日から訪米する。しかしその県案には、「海兵隊の県外移転」「都市型訓練施設の建設中止」などはあるものの、事態がここまで来ているにも関わらず、肝心の「辺野古移設の中止」がない。稲嶺知事は、自らの利権と面子にこだわることなく、今こそ県民多数の意思に従った上で訪米すべきである。
 辺野古「見直し」を拒否する日本政府と稲嶺のラインは、かってない窮地にある。今こそ海上基地阻止の勝利へ全力をあげよう。他方、普天間基地機能の宮古・下地島や伊江島への移転、嘉手納基地への統合・強化が取り沙汰されているが、これら「県内移設」代替案は決して許されないものである。普天間ヘリ部隊が現在、イラク侵略から三月中にも沖縄に帰還しようとしている。しかし米本国に帰ってしまえば代替基地などなくてすむ。普天間に帰ってくるな、普天間基地を即時返還せよ。
 米陸軍第一軍団司令部の座間移転は、日米安保のグローバル化を端的に示す。小泉政権は当初、アジア太平洋のみならずインド洋・中東まで地球半分を作戦領域とする第一軍団の司令部では、日米安保条約で説明がつかないとして移転に難色を示したという。がすぐに、それではまず「共通戦略」の確認からやり直そうと米側に丸め込まれてしまった。
 座間基地にはかって朝鮮半島を睨んだ第九軍団司令部があったが、九五年にハワイの本隊ごと解散している。(なお、座間基地には今も国連軍後方司令部なるものが存在しており、朝鮮戦争がまだ終わっていないことを示している)。第一軍団が第九軍団の単なる代わりでないことは明らかだ。第一軍団は米本土に本隊を持ち、新型装甲車と兵力を地球規模で緊急投入できる。イラク侵略にも約一万人を投入している。司令部が移転してくれば、座間基地が世界戦争の司令塔になってしまう。
 ラムズフェルドは昨年三月、米軍再編について「歓迎されない所には行かない」と述べた。それで今、地元(座間市、相模原市)の自治体も住民も「歓迎しない」と大きな声を上げている。神奈川県・松沢知事は「移転反対」の明確な態度表明を行なえ。
 横須賀では、〇八年退役予定の空母キティホークの後継として、原子力空母が配備されようとしている。沢田市長もすでに反対としているが、二月二二日の横須賀市議会は原子力空母配備反対の決議を全会一致で採択した。市長の態度も市議会決議も、「後継は通常艦を」としていることに問題が凝縮されているが、原子力空母への反対世論はかってなく大きい。
 沖縄の闘いに連帯しつつ、「本土」の基地強化をはね返そう。
 

米陸軍第一軍団は来るな!
  2・19キャンプ座間司令部包囲行動に2600
   市民も自治体も絶対反対

 在日米軍基地の再編などを議題とする日米安保協議委員会がワシントンで行なわれている二月十九日、その日に神奈川県の米軍座間基地(相模原市・座間市)では、「第一軍団は来るな!2・19キャンプ座間司令部包囲行動」が行なわれた。
 あいにくの冷雨にも関わらず約二六〇〇名の労働者・市民が結集し、在日米陸軍司令部がある基地南側部分や県道沿いのメインゲートを「人間の鎖」行動によって包囲した。主催は、神奈川平和センターや「基地撤去をめざす県央共闘会議」などによる実行委員会。
 前段午後二時からの座間公園での集会では、県央共闘会議および地元の「第一軍団の移転を歓迎しない会」から主催者あいさつ、糸数慶子参院議員からは議員団による訪米要請活動の報告、神奈川生活者ネットワークや地元選出の民主党・大出彰衆院議員、社民党・阿部知子衆院議員などから連帯発言が行なわれた。地元相模原市・小川市長からメッセージ、また沖縄からも宜野湾市・伊波市長、辺野古の「命を守る会」からメッセージが寄せられた。
 アピール(別掲)を確認した後移動し、午後三時に包囲行動を成功させた。(神奈川A通信員)

2・19座間包囲アピール
   みんなの知恵と声を集め、
  第一軍団司令部のキャンプ
  座間移転をやめさせよう!

 
 
今日、私たちは゛人間の鎖゛でキャンプ座間司令部を包囲する。何ヶ月もかけて準備をし、大勢の人々が知恵を集め、参加者が創意工夫を凝らし、基地司令部を取り囲む。
 私たちは、第一軍団司令部を歓迎しない。
 キャンプ座間は旧日本軍によって設置され、一九四五年からは在日米陸軍が駐留し続けている基地だ。実に七十年近くも地元市民を押しのけて、軍隊がこの広大な土地に居座り続けているのである。こんな不合理を、私たちは次ぎの世代に押しつけることはできない。
 第一軍団司令部は、米軍が世界の半分の地域で行なう戦争、軍事行動の作戦指揮を行なう部隊だ。現行の日米安保条約に定める「極東条項」にも違反することは明らかである。だから、私たちは第一軍団司令部の移転を絶対に認めることができない。
 キャンプ座間を抱える相模原、座間の両市も、移転によって基地が強化、恒久化されるとして再三にわたって絶対反対を表明している。市内各所に、横断幕や懸垂幕をかけ、移転反対を呼びかけている。市民も自治体もこぞって第一軍団の移転を歓迎していないのだ。
 おりしも今日、米軍再編問題を協議する日米安全保障協議委員会が行なわれているが、私たちは「歓迎しない」の声をさらに大きくする必要がある。今日の包囲行動の成功をステップに、第一軍団のキャンプ座間移転をやめさせる運動を強めよう。

2005年2月19日
キャンプ座間包囲行動参加者一同