日米安保協
 地球規模の日米共同軍事行動へ、米軍・自衛隊一体化策す
   安保のグローバル化阻止を

 二月十九日ワシントンで、日米安全保障協議委員会いわゆる2プラス2協議が行なわれ、ラムズフェルド国防長官・ライス国務長官と大野防衛庁長官・町村外相との間で、日米安保協「共同発表」なるものが声明された。。
 日米当局によると、安保再編・強化の第一段階が、この「共同発表」による「共通の戦略目標」の意思一致であり、第二段階が、日米両国と自衛隊・米軍の新たな相互関係を規定する新たな「日米安保共同宣言」の決定および「日米防衛協力指針」の改定であり、第三段階が、在日米軍の再編の具体的合意であるとしている。米側の意向としては第三段階まで三ヵ月で行きたいと急いでいるが、このままでは今夏頃までには日米両政府の合意が強行されようとしている。
 日本の労働者人民は、この日米両帝国主義の動向を許さず、かれらの日程を粉砕して、米軍の基地再編を沖縄・「本土」の基地撤去の勝利に転ずるよう全力で闘うべき時となっている。
 さて、安保協「共同発表」の内容は、第一に、日米安保体制を「地域及び世界の平和と安全を高める上で死活的に重要」と位置付け、「新たな安全保障環境」つまり「国際テロや大量破壊兵器の拡散という新たな脅威」が日米共通の課題であるとする基調を確認している。この基調は、策定しようとしている新・日米安保共同宣言が、安保の対象については、「極東」から「アジア太平洋」に安保を実質的に拡大した九六年の日米安保共同宣言からさらに対象を拡大して実質的に世界大とすること、地球的規模で日米共同軍事行動を行なえるようにするものであることを予想させる。それはまた、九六年宣言とはひどく異なったブッシュ流の安全保障観、「対テロ」「自由拡大」の世界戦争論に迎合するものとなるだろう。
 第二に、「地域」と「世界」における「共通の戦略目標」をそれぞれ掲げている。日米同盟が対処する「地域」的課題として、「北朝鮮」のみならず、「台湾海峡」「中国」を明記した。この明記は、米中・日中の国交回復以降では、日米安保の諸協定において始めてのことであり、中国外交部は即座に二十日、台湾問題を入れたことに強い態度で「断固反対」を表明した。東アジアとの連携よりもブッシュとの「有志連合」が優越するという小泉政権の選択が、ここに露骨に示されている。小泉政権は二月初旬、日本の極右分子が勝手に作った釣魚島の灯台を、公有物として認定するという挑発行為をあえて行なっている。
 第三に、「共通の戦略目標を追求する中で、日米の防衛協力を強化」することが掲げられている。そこでは、「国際的安全保障環境の改善」を謳った日本側の新・防衛計画大綱と、米側の世界的軍事態勢見直しGPRとが結びつけられている。自衛隊と米軍の基地共同使用が大きく進められ、米軍基地から自衛隊基地への移管も進められようとしている。在日米軍の兵力構成見直しについては、「沖縄を含む地元の負担を軽減しつつ在日米軍の抑止力を維持する」と繰り返しつつ、「SACO最終報告の着実な実施」としている。
 なお同時に安保協は、「北朝鮮に関する日米外相共同声明」なるものを発表した。これは、二月十日の朝鮮民主主義人民共和国外務省声明を非難しつつ、「六者協議への復帰と、すべての核計画の完全な廃棄」を「無条件で」北に求めるものとなっている。これは状況を悪化させるだけの声明である。核先制攻撃を含め圧倒的武力を持つアメリカが、無条件で相手に武装解除を求めるというのは、交渉ではなく脅迫である。また、六者協議は本来、米朝協議が順調に行なわれるならば不必要なものである。日本の外交としては、米朝協議による妥結のためにピョンヤン宣言を持つ日本は何ができるかと立てるのではなく、北と対決するために米国を味方にするというのでは幼稚かつ危険なものでしかない。
 以上の日米安保協から新・日米安保共同宣言、在日米軍再編への動きは、日米安保を「世界戦争」同盟へ決定的に変質させる。小泉連立政権は、このかんの自衛隊イラク派兵の誤まりを顧みないばかりか、さらに、ブッシュ第二期政権の「対テロ」「自由拡大」を掲げた異常な世界戦争路線に追従し、世界的再編過程にある米軍に自衛隊を一体化させ、日米安保体制の対象を世界大に拡大する危険な道に踏み込んだのである。これまでの自衛隊海外派兵は法的には、日米安保条約とは別枠で行なわれてきた。新・安保共同宣言は自衛隊派兵を自らの内に位置付け直し、地球的規模で強化しようとするだろう。憲法九条改悪とまさに表裏一体である。
 日米安保のグローバル化を阻止しよう!