05春闘
 中小・非正規の闘いの発展へ
    2・5シンポ「パート・派遣・契約労働者の権利確立を」

 シンポジウム「パート・派遣・契約労働者の権利確立を」が二月五日、東京・上野区民館で開かれた。このシンポジウムは、全国実行委員会(春闘再生、行政改革・規制緩和・労働法制改悪に反対する全国実行委員会)と、けんり春闘(けんり春闘全都連絡協議会)とが統合して〇五けんり春闘全国実行委員会となったが、その発足総会に続いて行なわれたものである。
 シンポジウムでは、『年収1/2時代の再就職』(中公新書)の著者であるルポライター・野口やよいさんが記念講演、「主婦の再就職は子育てが一段落してから少しは家計の足しにという理由でパートとして働くケースが多かったが、いまでは家計を確保するために子どもの就学前から働いている。それは、今まで家計を支えていた男性の賃金が下がっているからであり、子育て支援策が整っていない中での労働である」と講演した。
 講演に続いて、パネルディスカッションが行なわれ、ゆうメイト(郵政非常勤)、パート公務員、委託労働者、パート労働者、外国人労働者それぞれの立場から発言があった。いずれも厳しい労働条件のなかで労働組合を結成して闘ってきた報告があった。
 今や非正規労働者は雇用労働者の三分の一を超え、女性では半数を超えている。非正規労働者抜きに今の労働運動は語れない。大企業はリストラで利益を上げているが、非正規労働者や中小労働者は生活できる賃金の確保が緊急の課題になっていることを、シンポは確認した。
 〇五春闘は、非正規労働者の課題が前面に出た春闘である。
 連合にしても、全労連など国民春闘共闘委員会にしても、パート労働者の均等待遇を要求しているし、リビングウェイジ(生活保障水準)の強化と公契約における公正労働条件の確立を掲げている。連合のパート時間給840円の要求は低すぎるにしても、国民春闘共闘委員会の時間給1000円の要求でも年間1800時間労働で年収180万円にしかならない。年収200万円時代に組織労働者が非正規労働者と連帯し、どう〇五春闘を闘うのかは見えていない。あるスーパーのパート労働者が正社員との均等待遇を求めたら、会社側は均等待遇を確立するためと称して正社員の賃金を下げた。正社員はこれに対し、闘わなかったのである。
 確かに、非正規労働者の課題が取り上げられるようになったのは前進である。しかし、非正規労働者の権利確立とはどのようなことか、もっと真剣に検討しなければならない。職場では非正規労働者が多数派を占めているところがある。36協定や安全衛生委員会に非正規労働者の存在が反映しているかなどを点検し、非正規労働者の団結を促進する取り組みを強めることも課題である。(東京K通信員)


大阪市職「厚遇」キャンペーンに総反撃しよう
  一方的削減を断固阻止し
      合意分は雇用・福祉へ


 昨年末より、大阪市職員の福利厚生や諸手当が「ヤミ・カラだ」「厚遇だ」と決めつけるキャンペーンがマスコミで大規模に開始され、これまでの労使合意を無視して大平光代助役を代表とした改革委員会なるものが動き出し、関大阪市長は一方的に、166億円の人件費削減を盛りこんだ〇五年予算案を出す事態となっている。
 毎年の賃金条例で決められる賃金の以外に、労使合意で成果をかちとったことが「ヤミ・カラ」だとするのは不当な攻撃である。人事委員会勧告と賃金条例を上回る、あるいはマイナス勧告の代償措置としての成果をかちとろうとすることは、自治体の労働組合として当然のことである。
 大阪市の労働組合、市労連(大阪市職・市従・水道労組など)は、この攻撃に対して二月初旬より労使交渉に入り、福利厚生の一部について削減に合意したが、賃金の一構成部分である業務手当などについては妥協せず、厳しい闘いが続いている。
 166億円削減などの一方的実施は、これまでの労使合意の破壊、労働組合の否定であり、断じて許されないことである。一方的実施を許すな!これが第一に問われている。しかし、政府の自治体切り捨て、市財政の破綻の中で、大阪市労連があくまで労使合意を通じて、改革的措置については合意することは大いにありうることである。
 課題の第二は、すでに削減に合意した部分が、何の施策に使われるべきなのかという点だ。市は企業援助に回すとしており、全く許しがたい。生活保護率・失業率が最も高く、野宿労働者が最も多い大阪では、雇用と福祉に回すのが最優先の施策に決まっているではないか。
 すでに釜ヶ崎反失業連絡会は一月四日の対市要望書で、次のように述べ、高齢者特別清掃の維持・拡大等を要求している。
 「要望を出すたびに『予算、財政事情の厳しさ』が持ち出され、十分に答えてもらえませんでした。…しかし、本当にそうだろうかと疑わざるを得ない情報が、多く明かになっています。私たちは、大阪市で働く職員が、労働者として自分たちの生活を守ろう、良くしたいと努力し、成果を挙げていることを非難するつもりは毛頭ありません。同じ自らの労働によって生計を維持するもの同士として共感すら覚えます。その上で言いたい。財政問題、予算の問題じゃないだろう、その気になればできるじゃないかと。」
 大阪市はただちに、特掃等の予算を大幅に拡大せよ。市労連も、優先施策として強く要求してください。
 大阪市を突破口とした、自治体労働者への賃下げ攻撃が一層激化してきた。日本経団連は二月二八日の政府・経済財政諮問会議に、全国の自治体へ「手当の実態公表を迫れ」と求めている。人事院は今夏の国家公務員勧告を五%下げるとし、自治体への波及を狙っている。民間の更なる賃下げにも波及だ。
 自治体労働者は断固反撃しよう。そして勝利するためには、地域の労働者人民に働く者同士としての共感を得られる組合運動が問われているといえるだろう。(大阪A通信員)

 
われわれ自治体労働者は何ら恥じる
ことはない―人勧体制こそ問題

  正々堂々と労使交渉を


 前段に、われわれ自治体労働者のおかれている現状について、正しく認識しておくことが必要だ。
 自治体労働者は、労働基本権の三本の柱のうち労働協約締結権とストライキ権が剥奪されている。代償として人事委員会が賃金を含む労働条件を首長・議長に勧告することができるとなっているが、強制権はない。人事委員会が賃金アップを勧告しても国の指導や財政難を理由に首長が拒否した事例は多々ある。また労使交渉に基づき勧告どおりの、あるいは勧告以上(賃金ダウンが勧告される場合もある)の内容で労使合意したとしても、議会で否決される場合があり、まさに労働協約締結権が剥奪されているのである。人事委員会といっても委員は首長が議会の同意を得て任命することになっており、賃金決定権は全面的に首長・議会に握られ(賃金条例の議決)、一方、その対抗手段としてのストライキ権は剥奪されているのが現状なのである。
 そのため自治体労働者の組合は首長選挙や自治体議会選挙に強い関心を持ち、労働条件の維持向上の観点から選挙闘争を積極的に取り組んできている。大阪市の場合、全国の自治体でもトップクラスの組合の団結力と結集力を誇っており、選挙闘争においてもその力は発揮され、その成果として労使交渉に基づく労使合意と議会承認によってトップクラスの労働条件を勝ち取り、全国の自治体労働者の労働条件向上に貢献してきたのである。
 これに眼を付けたのが国(旧自治省)であり、賃金を国並みに引き下げるよう、地方交付税の削減をもって過去再三にわたって攻撃してきたのであった。
 自治体労働者が求める賃金決定のあり方は、勧告制度は廃止し、ストを含む労働基本権でもって労使交渉で決めるという、労働者の当たり前の当然の要求であり、この線にそってこれまで労使交渉・合意に奮闘してきたのである。したがってトップクラスの労働条件とはいえ、労使合意に基づくものである以上、国の指導に基づく一方的な賃金切り下げは労使合意の破棄に等しいものであり、当局としては代替策を提案することによって労使合意を得ようとしてきたのは当然のことであった。
 この代替策として当局が提案してきたのが福利厚生制度の充実であった。労働者にとっては賃金制度と比較して不利にはなるが、国の地方交付税削減を許さない立場から組合としても同意していったのである。この福利厚生制度について「ヤミ年金・退職金」「共済の過剰負担」などのマスコミの報道がされ、あたかも組合が不当な要求をしてきたかのように攻撃しているが、まったくのお門違いである。当局としても問題はないと判断して公費を支出してきたわけであり、もしそれが適正でないとしたら、その責任は全面的に当局にあるのである。
 今回、当局は財政難であること、また支給理由が希薄になったことを理由として福利厚生公費負担や業務手当の廃止を提案したわけだが、これまでの労使合意の延長線上で当局が新たな提案をしてきただけのことであり、組合側はこれまでどおり労使対等の立場で正々堂々と労使交渉に臨めば良いのであって、まったく恥じることはないのである。
財政難だとしたらいかなる施策ができないのか、また人件費削減によって得られる財源は何の施策に使われるべきなのか、地域の労働者人民全体の利益を代表する立場に立って、組合は強い態度で労使交渉を進めていくべきであろう。(自治労・一組合員)

〔今職場では・・・〕
  小泉改革を糾弾し、未組織・非正規を労働組合へ
    郵政非常勤の組織化に好機

 郵政民営化法案を何としても今国会で成立させようと、小泉総理は気合いが入っているようだが、圧倒的多数の国民の声は、郵政民営化よりも年金問題や政治とカネ、自衛隊派兵のイラク戦争問題、北朝鮮や中国との外交課題である。取り組むべき課題が山積みであるにも関わらず「郵政改革」にこだわる小泉総理に対し、マスコミも「何ゆえ民営化なのか具体的な中身が見えない」と民営化の応援部隊にはなっていない状況と思われる。
 が、仮にも国会で審議される課題であれば、多くの大衆は「民営化決定」と決め込む心理は当然でもあり、現場の郵政労働者はとんだ災難で配達先での人々の質問攻めに大変である。
 一方で、郵政公社がスタートして約二年が過ぎて労働環境も大きく変化し、特に本職員と非常勤職員の人員比率が6対4の状況で、コスト削減を図ると同時にサービスを拡大せよ、との矛盾を抱えながらの労働実態が実情である。
 特に、非常勤職員は低賃金にも関わらず、職員と同じような配達作業内容で営業ノルマもあるため不満が噴出している。加えて非常勤者の交通事故が激増していることも問題となっている。
 私たちとしては、民営化の嵐を受けながらもとりわけて劣悪な労働環境におかれているかれらを同じ働く者として、「組織せよ」「かれらの声を聞け」「こんな社会で良いのか」と訴え、私たちの陣営に加わるチャンスが来たと組織活動に心がときめいている。私たち郵政公社以外にも役所や民間企業でも正規から非正規への入れ替えや、フリーターと呼ばれている非常勤アルバイトが激増している。これら激増する非正規労働者の要求に応えられなければ、労働組合に未来はない。
 本採用になれるのは僅か数人と厳しい労働環境が社会の矛盾を気づかせる特効薬と考えて、私たちは非常勤の仲間たちにJPU労組加入を呼びかけ、かれらから信頼される組織作りのスタートと気合いを入れている。
 全国の未組織労働者・非正規労働者の組織化に向けた活動の手本になれたら、と頑張る決意である。(日本郵政公社労組・一組合員)