編集部たより

◆連日の報道が、うんざりする程である。日本放送の株取得をめぐる、ライブドアとフジテレビの攻防である。◆でも、連日の報道の所以は、両者の不利有利をめぐっての二分するほどの論争があるからであろう。まず専門家でも、二分するようである。それに日本人の好きな世代間論争が加わる。大雑把にいうと、四十代を境に分かれる傾向のようである。◆今回の大騒動の背景は、従来の企業同士の「株式相互持合い」の下ではほとんど起こりえないことであり、従って法的にも十分な備えが無かったからであろう。◆当事者の論争でしらじらしいのは、ライブドアが「金で買えないものは無い」とマネーゲームむき出しならば、他方のフジテレビは、電波の公共性を云々する所である。「チョット、待ってくれ」と言いたくなる。というのは、民放各局の中でも、フジテレビが最も視聴率至上主義で、視聴者の欲望に迎合しているではないか。◆フジテレビは、結局はフジサンケイグループの権益防衛のために、伝統的な建前と本音を使い分けているだけでしかない。ちなみに、このグループには、例の扶桑社も属している。◆だが今日、より根本的なのは、金融システムそのものである。大手行では一部を除き、昨年三月期決算で、黒字に転換し、不良債権比率も平均五・二%に下がったという。だが、中小ではまだまだ不良債権の山である。しかも金融界全体でも信用創造機能は喪失したままであり、それ自身デフレの要因の一つ
である。(竹中)