「郵政民営化国会」の裏で、憲法改悪着手を策す
 小泉打倒しイラク撤退・改憲阻止を

 一月二十一日、通常国会が開会し、小泉首相は郵政民営化を強調した施政方針演説を行なった。通常国会は六月までとみられるが、当面の政局と労働者人民の闘争方向について検討してみよう。
 小泉連立内閣は〇七年四月の民営化開始を目標として、三月中に郵政民営化関連法案を取りまとめ提出するとしているが、この法案は自民党との調整自体が必要なことから、先送りも考えられる。小泉は「四分社化・非公務員化」を掲げ一見強気の姿勢を見せているが、来年秋までの総裁期限を意識しての、「小泉改革」の無難な着地点を探っていると考えられる。小泉政権が「戦争をする国家」作りで突出した「実績」を遺した以外は、その新自由主義的「改革」が、中央官僚・族議員との妥協に終始したことは明かである。
 郵政民営化関連法案によって自民党が混乱し、小泉政権が窮地に陥ることはほとんど想定できない。「イラク国会」から「郵政民営化国会」といっても、与野党対決法案にもなりえないだろう。当面の時期、労働者人民は、大衆の預金三五〇兆円を金融資本の支配下に置くことをおもな狙いとする郵政民営化に反対しつつ、郵政公社・郵政族とも決別した、郵政公共サービスの新たな確立をめざす独自の立場を強化していくのでなければならない。
 郵政民営化以外では、自衛隊のイラクからの撤退、自衛隊海外派兵の「本務」化および国会報告なしでミサイル迎撃を可能とするための自衛隊法改定案、憲法調査会を改憲のための委員会へ変質させるための国会法改定案、そして増税路線へ転じた今年度予算案などが対決点となっている。改憲国民投票法案の提出が強行されれば、重大な対決法案となる。
 しかし、民主、日共、社民の議会野党には、今国会で小泉政権打倒あるいは解散総選挙へ追いやるという構えが全くなく、小泉以降の国政選挙への力量強化という構えであり、現況はこれまでの「イラク国会」に比べて極めて弛緩した雰囲気になっている。そればかりか民主の鳩山などは二月二日の国会で、小泉と「自衛軍の明記が必要」とのエールを交換し合い、憲法改悪着手をあおっている始末である。
 選挙の日程が入っていなければ、ブルジョア野党や議会主義者は動かない以上、労働者人民の運動によって情勢を切り開かねばならない。
 当面、イラク全面攻撃二周年の3・19〜20世界一斉反戦行動を始めとして、イラク派兵反対・自衛隊即時撤退の闘いを広範な共同行動として盛り上げることが第一に必要だ。
 イラク情勢では、一月三〇日に「選挙」が強行された。これは昨年六月の国連安保理決議を建前にしているが、実質は米英占領軍が仕組んだプログラムに基づくものであり、何の正当性もないものである。シーア派の多くは政治的復権に有利とみて「選挙」に参加したが、「占領軍の撤退期限の明確化」はその公約として前提となっている。スンニ派を含めた真の国民選挙の実施が、占領軍の全面撤退なくしてありえないことが明らかとなった。
 この「選挙」後は、内外のイラク反戦の世論において、本紙のように「選挙」結果を承認せず占領軍の即時撤退をひきつづき求める傾向だけでなく、「移行政府」を認めつつ占領軍撤退プロセスを重視する傾向も強まるだろう。しかしこの違いは、日本のイラク反戦運動においては、さほど支障のあるものではない。なぜなら自衛隊イラク派兵の維持が有害無益であることは、もはや誰の目にも明らかであるからだ。むしろ、小泉に自衛隊撤収命令の花道を与えてはならないのである。小泉は施政方針演説で撤退期限を明確にせず、「出口戦略」を描ききれなかった。これは彼の大きな失敗となるだろう。小泉を打倒し、自衛隊を引き戻せ。
 第二に重視すべきは、敵にとって憲法改悪の着手一年目になろうとしている今年における、それを許さない憲法闘争の態勢づくりである。
 全国各地において「九条の会」を始め、憲法改悪を許さない運動体がつぎつぎと作られつつある。あらゆる社会団体、すべての人々に、憲法問題にどのような態度を取るのかが突きつけられる情勢になってきた。われわれ労働者共産党はすでに、「憲法闘争決議」(〇二年七月)で態度を確認している。わが党は改憲阻止の最も広範な共同戦線を、現憲法に対する共産主義者の独自の態度を堅持しながら、全力で支援していく。
 改憲国民投票法案を前にして、各地での今年の5・3憲法集会などは非常に重要だ。新しい人々、若い人々の参加を大きく前進させ、改憲阻止の高揚を実現しよう。