2005年新年アピール
 広範な左翼の共同した政治布陣を

 05年は、時代の転換方向をめぐる重大な攻防の年となるだろう。
 転換は、アメリカ帝国主義に、また「単独行動主義」「先制攻撃戦略」といったその弱肉強食の行動原理に追随し、イラク占領に一層深くのめりこみ、朝鮮人民民主主義共和国(以下・共和国)などとの戦争へと突進するのか、それとも、イラクから自衛隊を撤退させ、北東アジアの平和と東アジア共同体への流れを促進し、新自由主義グローバリズムに対抗してもう一つの世界を目指す民衆運動が発展する政治空間を押し広げていくのか、この選択として提出されている。前者は、世界が崩壊しても自分さえよければと社会の崩壊を加速してはばからない道であり、後者は、社会の崩壊に抗して新しい社会システムを構築する道である。
 いま日本の政治は、前者の方向へ一層大きく舵を切ろうとしている。昨年末明らかにされた新防衛計画大綱は、「9・11」以降の米軍再編成下で、国土防衛軍から海外派兵軍へと軍制の大転換を画すものであり、その中で共和国などを「新たな脅威」と定めている。国民保護法に基づく国の基本方針も実質的には共和国からの反撃に対する対策として立てられ、本年中に地方自治体段階で実施計画が策定される段取りとなっている。そして、遺骨「別人」で高まる共和国への不信と反感をテコに経済制裁への流れがつくられつつある。共和国との軍事的緊張関係の中で改憲をはじめとした侵略国家体制への国家改造が一気に促進される最悪の環境が創られようとしているのである。
 とはいえ後者の方向も、決して弱いものではない。何よりも大きいのは、隣の朝鮮民族が南北統一の機運を高め、南北の経済交流を活発化させ、北東アジア、東アジア規模での対立から和解への流れの、一つの強力なイニシアティブを形成し始めていることである。日中貿易が日米貿易を凌駕する水準に達して、なお急速に増大している時代である。ASEANは東アジアの経済統合を早くから求めている。日本においても、全ての階級・階層の広範な人々が東アジアとの関係を広げ、深め、そこに未来を見出そうとしている。われわれは、全世界の労働者の団結と解放を目指す立場から、北東アジアの平和と東アジア共同体へのブルジョア階級を含む動向を注視しつつ、米帝を後ろ盾とした侵略戦争勢力、歴史問題に正面切って向き合わない反動勢力を孤立させていかねばならない。最も困難な時にこそ、次の時代への一歩がしるされるのである。
 まずは、広範な左翼の政治布陣の形成である。
 われわれは、「社民主要打撃論」等により左翼勢力の結集をはからず、ナチスに大敗北したコミンテルン−ドイツ共産党と労働運動の失敗を繰り返してはならない。勝利への確信を育てねばならない。
 現代の広範な左翼の政治布陣は、現代の民衆運動に立脚して初めて力強く発展する。新自由主義グローバリズムがうみだす侵略戦争、失業、貧富の差の拡大、地域社会の破壊、環境破壊などに対する抵抗闘争。仕事の創出、職業訓練、育児、教育、介護、環境など地域生活の領域において広がる社会再建の諸活動。失業・半失業労働者、移住労働者の増大と労働者使い捨てシステムとしてある非正規雇用形態の一般化―それらを背景に発展する企業の枠を越えた個人加入の労働運動。こうした民衆運動が、新しい社会の在り方を模索しつつ勃興してきている。前進し発展する政治勢力は、時代の変化が要求する労働者人民のこうした運動に適応できる政治勢力である。
 こうしたことから日本共産党や社民党の内部でも、新しい労働者人民の運動に適応し共同していこうとする流れが広がろうとしている。革命的左翼諸派の間でも、マルクス・レーニン主義の現代的発展のうちに位置づけるにせよ、マルクス主義を相対化する仕方であるにせよ、民衆運動の現代的在り方と結合する意識性が高まってきている。こうして、時代を切り開く左翼の政治的共同布陣の形成へ、潮流の違いを超えたネットワークが発達し始めているのである。われわれは、左翼の現代的共同の着実な発展に貢献していかねばならない。
 同時にわれわれ左翼は、自分たちの共同布陣を形成する共に、アメリカ帝国主義を後ろ盾とした新自由主義的反動の大波を打ち砕くに足る戦略構想を持たねばならない。左翼が、左翼でない広範な人々と共同する戦略は、とりわけ憲法改悪反対闘争などにおいて強く要請されている。05年は、左翼の側の構想と実践力が問われる年になるだろう。
 左翼の共同布陣、また左翼と民主勢力との大きな連携、これらをすすめる我々の足場としての共産主義者の団結・統合の課題をしっかり握り締めつつ、人々がいきいきと活動し闘うことの出来る時代状況を切り開こう。共に奮闘しよう。