12・16立川反戦ビラ弾圧「無罪判決」報告集会
  検察は控訴を断念せよ

 十二月十六日の午後六時半から、八王子労政会館において、立川反戦ビラ弾圧救援会主催の無罪判決・報告集会が開催された。「無罪勝ち取ったぞ!」の横断幕を掲げた会場は、二百名の参加者でいっぱいとなった。
 弁護団一人ひとりが判決についての論評と感想を述べた後、被告の三名が発言した。
 大西章寛さんは、裁判官が反戦ビラの投函について「憲法の保障する政治的表現の一態様であり、民主主義社会の根幹を成すもの」と述べた所では「グッときた」と。高田幸美さんは、この判決で「安易に弾圧するな、の勢いができればいいなと思う」と。大洞俊之さんは、「全国の人々に支えられたからこそ無罪を勝ち取れたと思います」と。
 この無罪判決は、海外派兵を推進するため表現の自由をあからさまに踏みにじってはばからない支配者の側の動向とたたかう全国の人々に勇気を与えるものとなった。検察側に控訴を断念させ、無罪判決を確定させていかねばならない。(東京M通信員)
 

   立川・反戦ビラ弾圧救援会
       声 明                 2004年12月16日

 本日の公判で無罪判決が下された。これは当然の判決であり、検察側には自ら敗北を見とめ、控訴をあきらめることを要求したい。
 本裁判では弁護側は被告側の行動が「犯罪」にはあたらず、正当な表現活動であったことを緻密に立証してきた。一方、検察側の立証は極めてずさんなものであり、結局のところ「反戦ビラ」が問題なのか、ビラ一般の投函が問題なのか最後まで明らかにすることができなかった。量的にはむしろ反戦ビラより多い商業ビラに対する被害届はない。その明確な理由付けの不在は、反戦ビラへのねらい打ち的な弾圧であったことを明らかにしている。
 また、捜査において調書のモデルを警察側が作成しておくなど、公安警察主導のもとに行われた弾圧であることもはっきりしている。
 次ぎに、「テロ行為」が心配だと言いながら、立川自衛隊監視テント村の日常的な活動については出廷した証人はほとんど知らないことが明らかになっている。C−1ジェット輸送機の訓練に反対している運動を行なっていると答えたのが唯一具体的な例である。ビラ入れの延長上に「テロ行為」なるものがあり得るとするのはあまりにも荒唐無稽である。テント村の活動について具体的な知識もなく、そうした推測を行なうのは暴論である。
 検察側はテント村に対する心証を何とか悪くすべく日常的な活動や、被告人が個人的に関わっている運動を、あたかも危険なものであるかのように装う質問を法廷内で行ない、裁判官にも制止されている。これは反戦ピラの投函の「犯罪性」をこのままではまともに立証できないと考えた検察側の焦りの現われである。
 このようにあらゆる面でこの裁判における被告側の正当性は立証されていたと言える。裁判所は慎重に本件を審理し、賢明な判断を下したのである。
 救援会は本件は憲法でも定められた表現の自由、思想信条の自由と言った点に絡む大きな弾圧であると考えている。本弾圧の背景にはイラク戦争と自衛隊イラク派兵の問題があり、反戦運動そのものへの牽制がそもそものねらいであったことは明らかだ。各国の軍隊が撤退し、あるいは早期撤退を次々に表明しているなかで小泉内閣は国会でのまともな説明もないまま、イラク派兵の延長を閣議決定した。これに対し内閣への支持率は低下し、民衆の不信もますます高まっている。
 救援会はこうした情勢の中、表現の自由を守り、被告の主張を正当と認めた本判決を高く評価するものである。この判決を勝ち得た力は全国の本裁判闘争を様々な形で支えた人々によりもたらされた。このことには深く感謝したい。
 最後に検察側には控訴を断念することを強く要求するものである。
二〇〇四年十二月十六日
立川・反戦ビラ弾圧救援会