年明け国会で野宿者対策予算を
  公的就労求め越冬闘争へ

 十二月三日に閉会した臨時国会に提出してあった「ホームレス対策予算確保に関する請願」(衆参院計五万二千三百十七名)は、残念ながら「審査未了」となった。臨時国会では請願は採択されることなく、予算確保は実現しなかった訳である。
 しかし、一月中旬から始まる国会は来年度予算の審議となるし、今年度補正予算の審議も行なわれる。補正予算は、地震や台風への被害対応や、社会保障費の増加分への対応が主なものとされているが、「ホームレス対策予算」を含める要求もしなければならない。請願は、国会ごとに提出しなければならないため、NPО釜ヶ崎支援機構では再度の緊急署名活動を提起している。署名を集め、再請願を提出し、本国会で、予算確保を是非実現していかなければならないだろう。
 なお、政党の動向としては、国会閉会日に民主党が関係大臣に緊急の申し入れを行なった。民主党は、ネクスト厚生労働大臣・横路幸弘、ネクスト国土交通大臣・菅直人、ホームレス自立支援プロジェクトチーム座長・山本孝史名によるもので、交付金の継続、就労事業への措置を求めているものである。一方、自民党の方は、東京都ホームレス議員連盟、ザ・ホームレスフォーラム(大阪府議会)、自民ホームレス問題研究会(大阪市議会)による、自民党政調会長宛に国への要望を提出したもので、正式に党としての国への要望となるか未定であるが、内容としては就労問題を中心として、交付金の果たした役割を評価し、国として雇用対策の根幹を担う必要がある事を明記している。
 具体的に試算として上げられた都、大阪府・市の要求対策額は、「請願」で要求した額からすれば不足であるとはいえ、主要政党が議員レベルで動き出した事を更に推進させていかなければならないだろう。なお民主党・岡田代表は十一月十五日釜ヶ崎視察を自ら行なうなど取組みを進めており、「緊急雇用対策基金」の雇用創出、あるいは真に公的就労保障の闘いは、再署名活動から再び、釜ヶ崎、新宿、北九州の三者のみならず、全国を巻き込んで発展させていく必要がある。
 なお十二月十三日に、第三十五回釜ヶ崎越冬闘争実行委員会と、釜ヶ崎反失連は、大阪府と市に対し要望書の提出行動を行なった。国への働きかけを更に強めることや、府・市の独自事業を、国の予算の裏付けが万一ない場合でも拡大確保する事等を緊急に求めるもので、国会動向をみながら府・市への要求を強めていくものであった。
 さて、〇四〜〇五年第三十五回釜ヶ崎越冬闘争は、前述の要望書提出を既に行なう形で始まっており、この二十日に「越冬闘争支援連帯集会」を浪速区芦原橋の「大阪府福祉人権推進センター」にて午後六時より開くことで本格的に始まる。今年度は「野垂れ死に攻撃を許すな!仕事を軸に支援策を出せ!戦争への国づくりを許すな!自衛隊はイラクから撤退せよ!」のスローガンの下で闘われる。
 主なスケジュールは、二五日に突入集会、三十日に南港臨泊入所状況報告集会、三十一日から一月三日まで越冬まつり、一月四日に「お礼参り」対行政行動である。

12・19第8回釜ヶ崎講座
  「仕事」軸にシンポ

 さて、この中で「釜ヶ崎講座」の第八回講演の集い、シンポジウム「野宿労働者・ホームレスと仕事」が、十二月十九日(日)午後一時半より、「大阪府福祉人権推進センター」において、百名の参加で開催された。
 釜講座は、「釜ヶ崎一〇〇年」をテーマとした講演会を三回開催したあと、今回は、ホームレス対策予算確保の闘いの経過の中で「仕事」の問題を中心にすえたシンポジウムであった。
 シンポは渡邊講座代表のあいさつのあと、平山徹大阪府立大学社会福祉学部教授がメイン提起として、「ホームレス問題の現状ととりわけ就労、仕事、収入、生活状態」について整理点を出し、この間の交付金を基礎とした雇用対策がいかに野宿労働者の仕事、雇用に効果的だった事かを示した。
 他に、山田実(釜ヶ崎反失業連絡会)、佐野章二(ビッグイシュー日本代表)、穴沢一良し(釜ヶ崎反失業連絡会)、山本憲一(大淀寮施設長)の各氏が発言を行なった。
 そして山田氏による「緊急地域雇用創出基金事業の継続・雇用対策予算措置を求めて」との報告が行なわれ、総合討論を行なって終了した。(関西Si通信員)