11・6教育基本法の改悪を止めよう!全国集会に5500名
 子どもは『お国』のためにあるんじゃない

 「子どもは『お国』のためにあるんじゃない」、この怒りのスローガンのもとに十一月六日、東京・日比谷野外音楽堂において「教育基本法の改悪をとめよう!11・6全国集会」が開催された。集会は「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の主催で行なわれ、全国から約五五〇〇名の労働者市民が参加した。
 政府・自民党は、教育基本法を改悪してお国のために命を投げ出す子どもを育てあげ、国益のために差別選別教育をおしすすめ、子どもたちを国家や企業に役立てようと画策している。(今年二月の教育基本法改正促進議員連盟の総会では、「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す」との議員発言が飛び出した)。そして、教育基本法の改悪によって憲法九条の改悪を目論んでいる。
 それは、子どもたちの幸せとは全く無縁であり、かれらをより厳しい競争社会に投げ込み、戦争へと動員することを狙ったものである。
 集会には、「我が子を戦場に行かせたくない」、「徴兵制がしかれたら大変」という父親・母親も参加し、会場は満席になった。通路にも座り込む人が増え、会場は熱気に包まれた。教育労働者も組合の上部組織を超えて結集し、各労組の旗や幟が翻った。
 壇上では、各地からの参加者が次々に登壇した。卒業式での「君が代」斉唱強制に起立せず、東京都教育委員会から処分を受けた教育労働者をはじめ、宗教関係者、学生、広島の被爆者らが、それぞれの立場から現状を報告した。
 呼びかけ人からは、小森陽一さん(東大大学院教授、「九条の会」事務局長)が、「情勢、意義、平和、愛国心」と題して報告し、「お国のために命を投げ出そうとする人間を仕立て上げることが、教育基本法を変える狙いだ」と訴えた。また高橋哲哉さん(東大教授)が、「教育基本法が変えられれば、学校からゆとりと自由が奪われ、教育そのものが破壊される。この運動は、子どもたちの自由とともに私たちの自由がかかっている」と報告した。
 次いで集会アピールが参加者全員の拍手で確認され、事務局からは、国会での教育基本法改悪論議に対応して、来年五月、あるいはそれ以前に大集会を開くことが提起された。
 集会後、参加者は常磐橋公園までのパレードに出発した。宣伝カーに続いて元気に踊り回る若者たち、改悪阻止を力強く訴える労働者や市民、活気に満ちたパレードが夕方の銀座を練り歩き、教育基本法改悪反対・憲法九条を守れの声がこだました。
 昨年十二月二十三日の全国集会(日比谷公会堂)が、教育基本法改悪反対の一点で、組織・党派の違いを超えた共同行動として成功した。このことは各方面に刺激を与え、四月の全国連絡会の発足と、各地での共同の取り組みを促した。これを継承する今回の全国集会では、日教組、全教組、独立教組の違いをこえて教育労働者が合流する傾向がより強まったようにおもわれる。このかんの東京都の「日の丸・君が代」強制での大量処分との闘いが集会で確認されたことも、当然とはいえ重要な成果である。
 自民・公明は、六月十六日に「与党教育基本法改正に関する検討会」中間報告を出し、与党間で若干の論議は残っているものの、来春通常国会に教育基本法改悪案を提出せんとしている。この中間報告では、現行法に「教育は、不当な支配に服することなく」とあるのを、「教育行政は、不当な支配に服することなく」とする大転換の書き換えを提起しており、教育権は国家権力にあるとする立場を露骨にしている。
 教育基本法改悪反対の共同戦線を、憲法改悪反対の共同とともに一層拡大していこう。(東京O通信員)