「九条の会」発足記念講演会
9・18大阪4千名、9・25京都二千名の大結集

  九条改悪反対を全国へ


 六月に奥平康弘、大江健三郎氏等著名氏九人が呼びかけ人となって「九条の会」が発足し、その発足記念の集会が七月二四日の東京講演会を皮切りに全国展開されつつある。
 九月十八日に大阪で、さらに翌週二五日には京都で発足記念講演会が開かれ、大きな成功を収めた。
 大阪は中之島公会堂で開かれたが、開会前より多数が押し寄せ、会場内を千五百名が埋め尽くし、入りきれない約二千五百名が、会場周辺でスピーカーを通して講演を聞くという大結集となった。京都でも会場のミルクホール(京都産業会館8F)は、八百名の定員に立ち見も出る参加者であふれ、急きょ1Fの展示場を開放しそこに千名が参加したが、まだ二百名以上が入り切れない結集をみせた。憲法改悪とりわけ「九条」をめぐる改憲策動と、自衛隊のイラク派兵に見られる実質的な「軍隊」の戦地派兵の既成事実化、これらへの大衆の危機感が大結集を呼んだものである。
 大阪講演会は、「『九条の会』発足記念大阪講演会を成功させる会」が主催した。同会は、吉田英司さん(関西大法学部教授)や天木直人さん(外交評論家)、鬼迫明夫さん(元日弁連会長)、澤野義一さん(大阪経済法科大法学部教授)に松浦悟郎さん(日本キリスト教正義と平和協議会会長)の五名が世話人となる形で作られたが、これまで大阪で憲法問題に取り組んできた諸団体が潮流を越え、具体的には日共系から社民党、市民団体がつながって形成されたものである。
 京都は、すでにこの五月三日にそのような潮流を越えた共同で憲法集会を成功させ、さらに「憲法署名実行委員会」として引き続き運動を展開してきた部分が、講演会の受け皿となったものである。
 大阪の講師は、井上ひろし、小田実、澤地久枝の三氏であった。講演の一部を紹介すると、澤地さんは、集会と同日の一九三一年九月十八日に始まった「満州事変」の経過と実態について述べ、「現在も既成事実が積み上げられている」と指摘し、「日本人だけでも三百万人の犠牲によって戦争が終わったとき、生まれてくるのが当然のものとして日本国憲法は生まれ、当時の国民に浸透した唯一のものであった。小泉政権は反対の方向に、米国の傭兵のような立場になろうと疾走しているが、引き帰さなくてはならない。未来の世代のために責任がある」と訴えた。
 京都では、大江健三郎、奥平康弘、鶴見俊輔の三氏が講演に立った。大江さんは、今の憲法が自分の人生と文学の根本を作っていることを述べたあと、「世界の紛争が続く現実に憲法を合わせるのではなく、現実こそを変えようとする努力、想像力が必要な時期である」と訴えた。
 「九条の会」発足記念講演会は引き続き今後、仙台、那覇、札幌でも行われる予定である。全国各地で「九条の会」発足と連動し、大衆自身が各地で九条改悪反対の運動をおし進めることが必要になっている。(関西Do通信員・Si通信員)