編集部だより

▼ 八月末に、専従の竹中同志が心筋梗塞で倒れ、心臓の冠動脈バイパス手術を受けた。心臓の筋肉に血液を供給する冠動脈の三本が劣化し、局所的に詰まって、一本は一〇〇%近くも、一本は九〇%も、一本は七〇%も血流が途絶えていたのである。手術が成功し、術後の経過も良好であることを、読者諸氏にこの場を借りて報告しておきたい。▼手術は六時間半に及んだ。その一部始終が訴訟対策の意味もあるといわれるモニターに映し出された。海中での作業を思わせるような静かでゆっくりとした中断のない切開と縫合の作業が進行した。▼本人の足から持って来た血管をつかって血流のバイパスが作られていった。先に針の着いた釣り糸のような感じのとても細い糸で、血管が縫い合わされていく。ピンセットによる二人の共同作業だが、一瞬の滞りもないみごとな職人芸だった。▼心臓を露出させるのに身体の分厚い外郭を切り、金具で強引に押し開け、閉じる際には金属の太い針金で締め上げる。これは、バイパス手術の細かい作業とは対照的な力仕事という感じだった。大量の出血を予想していたのだ、意外と少なかったのにも驚いた。▼術後、後遺症も現れず、すでに普通に会話し病院内だが歩行もできる状態にあり、一安心というところである。とはいえ一歩間違えばどうなっていたかわからないところであった。多くの仲間が、決して高齢ではないが若くもなくなり、健康上の曲がり角に当面していると思われる。気を付けたいものである。(深山)