7・22『石井武の生涯』出版記念会
  三里塚農民の意地を次代へ

七月二十二日、午後六時半より、東京・文京区民センターで、『石井武の生涯』出版記念会が開かれた。主催は、「『石井武の生涯』を刊行する会」で、全国より六十名が参加した。
記念会は、暫定滑走路供用後の東峰の地を伝える『この大地に生きている』のビデオ上映から始まった。司会は、相川陽一さん(編集委員)と高木久仁子さん(高木仁三郎市民科学基金)が務めた。
 まず、大野和興さん(農業ジャーナリスト)が出版経過を述べたあと、「石井さんの生涯は百姓の意地の生涯だった。この本はその意地を表現できのでは……。この本を出版し伝えたかったのは、三里塚の農民の闘いは『世直しの闘い』だった、それをどう次の時代に引き継いでいくのかだった」と述べた。
 柳川秀夫さん(反対同盟)は、「石井さんは病気になっても闘い抜いてきた。あえて見舞いにはいっていない。石井さんは九一年のいわゆる話合いの過程の中で『強制収用をしない』事に固執した。私たちは石井さんのこの固執した闘いの地平を引き継いで闘い抜いていく」と、決意を述べた。
 関西より駆けつけた上坂嘉美さん(関西・三里塚相談会)が、「石井武さんとは、同じ年だった。まだ家に行くと、石井さんが『おうっ』と出てくる気がする。武さんの遺していったものが、伝わっていくと思う」と述べた。
 仕事で遅れて着いた石井紀子さんが、家族の立場からあいさつを行った。「すごい本ができたと思う。とりわけいいのが、相川陽一君のじいちゃんへのインタビューです。とても嬉しそうにしゃべっています。陽一君は息子の同級生です。孫に話す、伝えるような感じで、本人もうれしかったと思います。じいちゃんは、とても運の強い人で、自分のしたいように生きて、死にたいように死ぬということを貫けた稀有な人だと思います。お百度を踏むばかりに親にたのんで一緒になったこうさんと二人で開拓し、そして闘い抜いてきた。最後は、家でばあちゃんに見守られて介護されて家で亡くなった。もう一つは、三里塚空港闘争があったことです。暫定滑走路供用反対集会の時、労学評の山崎さんに『手足になってありがとう』と話しをしていましたが、それは山崎さんや支援全体の人達に伝えたかった事だったでしょう。こんに立派な本が出来て、小川源さんと今会って大いに自慢していると思います」と、感謝を述べた。最後に、山口幸夫さん(原子力資料情報室共同代表)が、石井さんの思い出を語り、会の後半に移った。
 後半は、記念パーティーが行われ、本ですばらしいインタビューを実現した相川陽一さんや、参加者から次々とアピールが続いた。われわれ東峰団結小屋維持会も、追悼と、インタビューの成り立ちを報告した。 (東峰団結小屋維持会 渡邊)
★『石井武の生涯』(「石井武の生涯」を刊行する会)定価二千円+税、七ツ森書館。
 プロローグ・追悼 小川ルミ子、鎌田慧、上坂喜美、加瀬勉 第一章・闘病と最後の闘い 第二章・いま、若者に語る三里塚(聞き手・相川陽一) 第三章・三里塚の心 インタビュー(東峰団結小屋)、石井恒司他 終章・追悼 熱田てる、柳川秀夫他.