労働者共産党第二期第三回中央委員会総会決議
 
  反戦・反帝・反基地運動についての党の当面の政策
 
 03年7月の二中総・反戦決議以降一年間の情勢の発展をふまえ、おもにイラク情勢と北東アジア情勢に関わる労働者人民の反戦・反帝・反基地運動について、労働者共産党は以下の態度と当面の政策を決定する。

@ 自衛隊イラク派兵反対闘争を始めとするイラク反戦闘争の中間総括

 イラク特別措置法案と自衛隊イラク派兵は、イラクでの武力抵抗闘争の発展による「戦場」化、また米と仏独などとの対立の継続という国際情勢を背景として、国会内外で広範な反対に直面したが最終的には押しきられた。しかし、戦後初めての自衛隊戦地派兵は、議会政治的にも国民的合意を欠き、ブルジョア政治勢力の間にも動揺と分岐をもたらすという政治的弱さを示した。小泉連立政権は米英「有志連合」に組する国家戦略を選択したが、その分岐は国家戦略次元の深刻な性質を持っている。
 イラク特措法反対から自衛隊出兵阻止への闘いは、全国的に継続的に闘われたが、小泉連立政権を打倒に追いやるだけの大規模な発展を実現できず、運動が党派的には左翼諸派・日共・社民党など旧来の範囲に基本的には止まり、かえって十一月総選挙では後二者が敗北するという結果となった。派兵反対運動は、ブルジョア勢力の分岐を十分に利用できるだけの主体的力量を獲得できなかった。
 その主体的弱さの一つは、最大ナショナルセンターである連合を全体として派兵反対へ動かせなかったことを含めた、労働運動としての反戦闘争の弱さにある。連合中央は年末に一時的に派兵反対集会を行なったが、民主党とともに闘いから逃亡した。この逃亡は、イラク攻撃・占領を帝国主義の侵略戦争として批判するのではなく、国連合意の欠落を批判するのみというそのブルジョア政治路線に根拠を持っている。
 また日共、社民党は今年の七月参院選でも議席的に惨敗あるいは得票率を低迷させたままとなっているが、このことは、かれらの国連中心主義と護憲の旧来的な政治では、現代の労働者人民の反戦平和要求を十分に引き出し得ないことを示している。
 3・20一周年行動を始め現在の自衛隊撤退要求の闘いでは、派兵反対勢力の基本的構成に発展はみられないものの、各勢力間に連携の動きが強まっていること、ひきつづき青年層の運動参加が持続していること、連合内外で労働組合のイラク反戦への取り組みも持続していることなどがみられ、対峙から攻勢への条件は存在している。

A 当面のイラク情勢についての態度

 イラク人民の米占領軍を主敵とする抵抗闘争は、ここ一年で全国民的規模に大きく発展し、アメリカ帝国主義に日々軍事的打撃を与え、またその政治的後退を一歩一歩勝ち取りつつある。イラク人民の抵抗闘争の支配的性格は、すべての占領軍の完全撤退を求め、独裁政権の復活を許さず、民主主義的な政権を樹立する、という目標をもったところの民族民主的な解放闘争となっている。イラク労働者階級の階級闘争は、この闘争の勝利を通じて前進していくことになるだろう。
 七月「主権移譲」前に発足したイラク暫定政権は、イラク国民多数の意思とは無関係に米帝主導で作られたもので、米英など占領軍の駐留を前提としており、これまでの「イラク統治評議会」と同様、イラク国民の正当な暫定政権とは認められないものである。占領軍の居座りを前提とした政権作りは、イラク国民の主権回復過程ではなく、侵略継続の化粧直しにすぎない。また、六月に採択された国連安保理決議1546は、占領軍の権限や占領期限をめぐる諸大国間の対立を反映しているが、その基本的性格は、占領連合軍を多国籍軍に横滑りさせ、侵略の継続を認めてしまったものであるにすぎない。
 イラクの主権回復過程は、イラク人民の多数が求めているように、占領軍の全面撤退から始められなければならない。その過程を支援する国連関与は、侵略・占領に参加してこなかった諸国によって、イラク国民の要請に基づいて行なうことができる。

B 日本人民の当面のイラク反戦闘争についての政策

 小泉政権はイラク派兵の続行を政権生命としており、情勢変化によって撤兵を選択する可能性は小さく、我々は小泉政権打倒によって自衛隊イラク撤退を勝ち取らねばならない。小泉政権に代わる新政権が、当面の階級闘争の発展段階においては、もう一つの帝国主義ブルジョア政権であることは明らかである。しかし労働者人民の闘いを圧力として政権交代を実現できるならば、その新政権に自衛隊撤退と対イラク政策の転換を強制することは全く可能である。
 自衛隊イラク即時撤退を最大の争点として、七月参院選で弱体化した小泉派兵政権をさらに追いつめ、小泉打倒勢力の国会内外での前進を実現する。新安保理決議に基づくイラク多国籍軍への自衛隊参加は、侵略参加・違憲行為の上塗りであり、それに断固反対して即時撤退の運動と世論を拡大する。小泉政権打倒あるいは解散総選挙を強制して自・公を大敗北させ、派兵基本計画の十二月期限の延長を許さず、年内にイラクからの完全撤退を実現する。
 自治労や日教組、全港湾やJR各労組を始めとする交通運輸労組、全国のユニオン労組などでの活動を重視しつつ、労働者階級の反戦闘争を引き続き強化していく。
 国際的な市民運動に進出を強めている青年層に注目し、あらゆる契機を利用して労働運動と青年運動の連携を強めるように工作する。
 「国連中心主義」に基づく派兵反対論に適切な批判を行ないながら、自衛隊撤退を求めるすべての政治勢力の共同のために誠実に努力する。
 イラク派兵を始めとする自衛隊の海外展開の恒常化は、「国際貢献」を名目とする憲法改悪策動の政治的策源となっており、自衛隊撤退の闘いと憲法改悪反対運動とを固く結びつけて闘っていく。

C 朝鮮半島情勢を始めとする当面の北東アジア情勢についての態度・政策

 韓国では四月総選挙でウリ党が勝利し現政権基盤が強化されたことによって、平和統一政策と対米自主傾向が進むとみられる反面、日本では戦争遂行国家作りと米戦略との一体化が進みつつある。かっての日米韓の反共反北の結託体制が根本的に崩壊しつつある中で、北東アジアにおける日本帝国主義の反動性が突出しつつある。ベトナム侵略戦争に派兵しなかった日本が今回、イラク侵略戦争で戦場へ派兵したことは、東アジア諸国人民にとって重大な脅威である。
 ノ・ムヒョン政権の北東アジア共同体志向と、日本のブルジョア勢力・改良主義勢力の一部による北東アジア共同体論は連携しつつある。これに対して、今回躍進した進歩的政党である民主労働党など韓国の労働者人民と、日本の労働者人民とが連帯を強め、新自由主義のブルジョア的北東アジアに対抗し、労働者・民衆の北東アジアをめざす国際潮流を前進させなければならない。
  朝鮮半島核問題についての「六者協議」は、朝米間での合意と関係正常化の達成に  取って替われるものではなく、関係各国人民は、米帝の戦争放火を制止し朝米正常化の条件を促進するよう、各国政府に圧力をかける必要がある。米帝が攻撃の対象から朝鮮民主主義人民共和国を除外することを先決として、共和国がすべての核兵器開発を放棄することを歓迎する。
 小泉政権によるMD計画参加や特定船舶法の成立など共和国に対する敵対政策、また日本人拉致問題解決を日朝正常化の前提とする態度に断固反対し、日朝正常化交渉の即時再開と、同時並行での懸案諸事項の解決を要求する。朝鮮植民地支配の清算は日本側の歴史的課題であり、日本人拉致問題の進展と関係づけることに断固反対する。

D 沖縄と「本土」の反基地闘争についての態度・政策

 ブッシュ政権は現在、「対テロ」戦略に基づく米軍の世界的再編成の一環として、前政権時のSACO合意を事実上見直し、名護代替基地建設を前提としない普天間基地のより早急な移設策をめざしている。この変化は、県内移設なしの普天間基地即時返還を求めてきた沖縄人民の闘いに有利な情勢変化であると同時に、日本「本土」あるいは他のアジア地域での米軍基地強化の動きに転ずる危険性をもっている。ブッシュ政権は在韓米軍の三分の一削減を表明するとともに、在日米軍基地を「戦略重要拠点」として位置付け直している。
 日本「本土」の労働者人民は、沖縄人民の県内移設反対・普天間即時無条件返還の要求を全面的に支持しつつ、あらゆる「本土」米軍基地強化に反対し、日米安保体制を粉砕して全ての在日米軍を追放するという政治路線を再確認しなければならない。
 直面する課題は、利権と環境破壊のみがその実質になろうとしている名護海上基地建設を必ず阻止することである。SACO合意にしがみつき、何としても在日米軍基地の多くを沖縄に押し付け続けようとしている日本政府の差別的政策を、「本土」の労働者人民は決して許してはならない。
 SACO合意の形骸化という情勢に加え、沖縄では、今参院選の選挙区で全野党統一候補・糸数氏が圧勝したことにより、ここ十年の普天間返還・県内移設反対の闘いに勝利する好機が訪れている。この闘いの勝利は、日本政府と対決する沖縄労働者人民の、独自の統一戦線の形成を大きく促すだろう。

 E有事法制反対についての政策

 有事三法に続く有事法制七法に断固反対し、また「対テロ」でも有事体制を発動できるようにするための「緊急事態対処」法制に断固反対する。
 これら有事法体系が成立させられたとしても、その実体化を阻止する闘い、また有事法体系を発動させず廃止していく闘いを強めていく。労働組合運動においては、戦争協力業務を拒否する労資協定をかちとっていくこと、自治体の市民運動においては、港湾・空港の軍事利用を平時から許さず、有事の代執行にも抵抗できる自治権の強化を準備していくことなどが必要である。

 イラク人民の反米抵抗闘争を熱烈に支持し、韓国・朝鮮人民の統一闘争と固く連帯し、反戦・反帝・反基地の闘争を発展させよう!
                                  (以上)