小泉戦争内閣打倒!混迷する議会諸野党では闘えない
  共同の力で新しい政治勢力を
    イラク多国籍軍参加反対・自衛隊は即時撤退せよ

 国際情勢では六月八日、イラク問題で国連安全保障理事会が決議1546を採択し、イラク多国籍軍の設置といわゆる「主権移譲」が確認され、六月二八日その「移譲」が前倒しで行なわれた。抵抗勢力の月末一斉蜂起を恐れた、占領者ブレマーと親米傀儡アラウィのみによる、なんとも惨めな儀式であった。このなか日本では、自衛隊イラク派兵と多国籍軍参加についての是非や、年金問題などを争点とした参議院選挙に突入している。
 大枠ではこの参院選挙は、米国ブッシュ政権の世界覇権・侵略政策に追随して「戦争をする国」に変貌しつつある日本政治を、このかんの小泉連立政権の政治を、認めるのかストップさせるのかが問われる選挙戦、政党選択となっている。われわれ労働者共産党を始めとする日本労働者階級の左翼諸勢力は、選挙に直接の候補者を立てて臨んでいるわけではないが、小泉政権と自民・公明与党に最大の打撃を与え、労働者人民の今後の闘いに有利な政治状況・国会状況をかちとるために、自衛隊撤退・年金改悪反対・憲法改悪阻止など基本的な諸課題で一致できる様々な野党候補者・無所属候補者を支援して闘っているのである。
 しかし、それら議会野党、民主党、社民党、日本共産党自身には何ら期待を持つことはできない。それら諸党の路線や政策自身に誤まりや限界があるだけではない。いま、日本の労働者人民には戦争への危惧や将来の生活設計についての不安がかってなく広がっているが、これら諸党は労働者人民の多くから、すでに本質的に当てにされていないからだ。利益誘導政治が限界に来たあと、言わば政党一般を当てにせず、自分たちで地域社会などを何とかしようという社会動向になっている。これら民衆の動きと連帯し、日本の根本的転換をめざす新しい政治勢力の登場が必要である。参院選の結果はおそらく、そのことを裏付けるだろう。
 また、参院選での野党の不甲斐なさによって、自公連立与党が延命することとなったとしても、労働者人民の大衆運動を背景とした共同戦線が各地で(沖縄選挙区に典型的にしめされるように)前進するならば、闘いは一歩前進したことになる。その成果は、各地で不均等ではあるが、勝ち取られるだろう。われわれは、選挙後に予想される議会野党の混迷と再編をみすえながら、諸勢力の広範な政治的共同について、また、われわれ左翼自身の共同について意識的な方針を持たなければならないのである。
 さて、参院選の最大の争点は、自衛隊の多国籍軍参加に反対し、イラクからの即時撤退を実現することである。
 小泉は六月八日、米国シーアイランドでのサミット首脳会議で、自衛隊のイラク多国籍軍への参加を勝手にブッシュに対米公約し、このことがほとんど審議されないまま十六日には国会閉会となるなか、小泉政権は六月十八日に多国籍軍参加の閣議決定を強行した。また同二八日、小泉政権はイラク「暫定政府」の承認を強行した。我々はイラク人民の多数とともに、米英傀儡の「暫定政府」をイラク国民を代表する政府とは認めない。
 小泉政権が多国籍軍参加と「暫定政府」承認の根拠としているのは、国連安保理の新決議である。この新決議は「占領の終結」を謳っているが、違法性が問われてきた占領軍を撤退させるのではなく、まったくデタラメなことに占領軍をそのまま多国籍軍に横滑りさせている。この多国籍軍への自衛隊の参加が、現在のイラク占領への参加の形を変えた継続、不法な侵略行為の上塗りになることは明白である。
 しかし問題はこれだけではない。いままで米英「有志連合」による国連決議の根拠を欠いた侵略連合軍に参加してきているのだから、いまさらそれが国連安保理決議に基づくイラク多国籍軍に参加することになるからといって、一見たいした変化ではないようにもみえる。日本以外の派兵国ならそうだろう。しかし日本にとっては重大問題である。日本では平和憲法があり、集団的自衛権の行使が禁じられ、国連軍あるいは国連決議に基づく多国籍軍には参加できないという歴代政府見解を取ってきたからである。
 六月十八日の政府統一見解は、「自衛隊は多国籍軍の中で、統合された司令部のもとにある」が、「同司令部の指揮下に入るわけではない」として、「中で活動を行なう」が「参加」ではない、などと言葉の遊びに終始している。そして安保理決議では多国籍軍の任務に人道復興支援活動が入っている、「非戦闘地域」で自衛隊はそれをやるのだから「他国の武力行使と一体化するものではない」として、「多国籍軍への参加に関する従来の政府見解を変えるものではない」と結論付けている。憲法改悪がまだ間に合わないので、平和憲法の制約に対し詭弁を弄して突破するというデタラメな政治が繰りかえされている。
 安保理決議では、多国籍軍は「イラクの治安維持と安定のために必要なあらゆる手段を行使する」としている。すなわち、占領軍に対するイラク人民の武力的・平和的抵抗闘争を無制限に武力制圧することを基本的任務としている。日本政府が懇願して決議に入れ込んだとおもわれる「人道復興支援」も、その任務の一部分であることに変わりはない。また小泉は「人道復興支援」しか口にしなくなったが、イラク特措法では「安全確保支援活動」が派兵自衛隊の二大任務の一つとして位置付けられており、派兵航空自衛隊が武装米兵などを空輸し、すでに「武力行使と一体化」している。
 小泉政権はこのかん自衛隊の戦地派兵を強行し、日米の軍事同盟の運用で歴史的一線を越えたが、今回の多国籍軍参加の合法化は同様に歴史的一線を突破するものである。日本は平和憲法があるために、これまで国連の軍事的な安全保障措置に参加する義務を留保したうえで国連に加盟してきたのであった。イラク多国籍軍への自衛隊参加は、国連と日本の関係を変え、国連加盟国の責務と称して(その実際は国連を利用した形での日米両帝国主義の覇権主義である場合がほとんどであろう)の自衛隊の海外派兵を大々的にやれるようになることを意味する。多国籍軍参加は、戦地派兵に続く違憲行為の上塗りであり、国連の安全保障への積極的参加を名目とする憲法第九条の改悪にストレートにつながっている。
 民主党は多国籍軍参加について、その政治的中身を批判せず、「国会で審議せずにかって決めたのはけしからん」と言っているにすぎない。民主党は、小沢・横路合意での「国連待機軍」構想を参院選の公約の中でも掲げており、その基本路線は今回の安保理決議のような国連の名による軍事活動には積極的に乗って行こうという路線である。民主党は、イラク攻撃に反対してきたこれまでの行きがかり上、「いぜん戦闘地域だ」を唯一の根拠に弱々しく自衛隊撤退を口にはしているが、米国と他の安保理諸国との関係しだいでは自衛隊派兵積極論に転ずる政治路線である。
 日本共産党は、自衛隊即時撤退・多国籍軍参加反対を参院選でも掲げている。しかし、今回の安保理決議については、「国連主導の枠組みでのイラク復興支援、そのもとでのイラク国民の意思にもとづく新政府の樹立という、国際社会の願いが反映されている」(六月十日『赤旗』・志位談話)として美化している。
 決議は米英と他の安保理諸国との妥協の産物という一面があるが、しかしブッシュ政権のプログラムが基本的に貫徹している代物である。日共の決議評価は、イラク人民が求めているのは米国主導でもなく国連主導でもない、自分たちによる主権の回復であるという事実をアイマイにする態度にほかならない。志位委員長は、「決議で明記された原則が名実ともに実施されるためには、米国がその軍事行動を強く自制しつつ、すみやかに撤退にむかう措置をとることが必要」だなどと幻想的なことを語り、決議の基本的性格が侵略継続の容認であることを否定して、米軍撤退要求をトーンダウンさせている。
 日共にせよ、民主党にせよ、国連中心主義的発想は理念だけならともかく、現実の政治においてはきわめて危ういものである。平和運動には、「国連中心」ではなく、解放を求める当事者人民を中心にした態度が必要だ。参院選に勝利し、多国籍軍参加阻止・自衛隊即時撤退の闘いを前進させよう。