日比谷野音
5・3憲法集会  改悪阻止へ5000の熱気
  イラク撤兵し九条実現へ
 
五月三日、東京・日比谷野外大音楽堂で、「とめよう憲法改悪 立ち上がろう9条の実現のために イラク派兵を許さない 二〇〇四年5・3憲法集会」が、実行委員会の主催により開催された。うたごえ合唱団のコンサートとともに、五千人をこえる参加者が会場を埋めた。
 午後二時、許すな憲法改悪・市民連絡会の高田健さんが「絶対に改憲を許さない」と力強く開会の挨拶をおこなった。
集会は、シンガー・ソングライターの横井久美子さんによる歌と語りに聞き入り、「THE NEWS PAPER」の小泉そっくりに扮したコントで爆笑し、一気に盛り上がった。
各界からの発言では、中学生が「たとえテロにあっても、やった人に怒りを向ける気になれません。なによりもブッシュ、小泉に向けるべきだと思います。彼らを止められなかった私たちにも責任があると思います」と発言し、共感と励ましの大きな拍手をうけた。つづいて東京地域婦人団体連盟の水野英子さん、日本キリスト教協議会の鈴木伶子さん、航空労組連絡会の内田妙子さん、杉並の教育を考えるみんなの会の丸浜江里子さん、許すな!憲法改悪・北部市民連絡会の中尾こずえさんが発言した。
リレートークで最初にイタリアの市民団体「平和テーブル」のマオリティオ・グッビオッティさんが立ち「憲法九条のような条項を、EUの憲法にもぜひ入れるように頑張っていきます」と発言。韓国の「平和を創る女性の会」のチョン・ギュンランさんは、侵略の歴史に対する反省の無い日本の政治動向、そしてアメリカの不法な戦争の為に韓国と日本の青年たちが血を流さなければならない現実を厳しく批判し、「平和に尽力されている皆様方は、私たちの希望です」と訴えた。つづいて社民党党首の福島みずほさん、日本共産党の志位和夫さんが改憲阻止へたたかう姿勢をアピールした。各発言に会場は、連帯の大きな拍手で応えた。
最後に、集会アピールが「憲法」を愛する女性ネットの白崎順子さんから提案されて満場の拍手で採択され、全国労働組合総連合の熊谷金道さんが閉会の挨拶を行い、集会は成功裏に終了。
 参加者は、東京駅近くの常盤橋公園までのパレードに出発、沿道の人々に改憲阻止を訴えた。(東京M通信員)


テント村弾圧
 反戦ビラ入れへの起訴を許さない!4・25全国集会
   即時保釈・裁判勝利を

 東京・立川の「自衛隊官舎反戦ビラ入れ弾圧」で二月二七日に令状逮捕、三月十九日に「住居不法侵入」で不当起訴された市民団体・立川自衛隊監視テント村の三名の仲間たちは、接見禁止が付いたまま、いまだに獄中にある。五月六日の初公判を前にして、四月末に二回目の保釈申請が東京地裁八王子支部に行なわれたが、このままでは「人質裁判」になろうとしている。
 また、権力が2・27弾圧で容疑としたのは一月十七日のビラ入れであるが、三名の内二名に対しては、二月二二日のビラ入れについても三月三十一日に追起訴をやっている。
 郵便受けへのチラシ入れで令状逮捕自体が異常であるが、さらに起訴と長期拘留という異常な政治弾圧となっている。立川署員が、不当逮捕翌日の抗議電話に対し、「ピザ屋や寿司屋のチラシとは訳が違う。自衛隊のイラク派遣に関する内容であり、士気が下がるとかいろんな問題がある」と応答しており、まさに警視庁主導の政治弾圧であることが暴露されている。
 こうしたなか四月二五日、国立市の一橋大学構内において、「反戦ビラ入れへの起訴を許さない!4・25全国集会・デモ」が立川・反戦ビラ弾圧救援会の主催で開かれた。全国各地からの参加を含め、大教室を埋める約三五〇人が結集し、身柄奪還と裁判完全勝利、自衛隊のイラク即時撤退など確認して気勢を上げた。
 集会では最初に、立川・反戦ビラ救援会から大沢豊さん(立川市議)が挨拶、「立川では以前から自衛隊官舎へのビラ入れが行なわれていた。また弾圧後、イラク派兵反対で全国各地でも自衛隊官舎へのビラ入れが行なわれていることが分かった。今回、権力は政治的意図を持って立川を選んで弾圧してきたとおもわれる」と分析し、この政治弾圧に必ず勝利しようと訴えた。
 弁護団の虎頭弁護士は、「被害届けは官舎住民からではなく、基地司令から出ている。住民の平穏がどう侵害されたのか、明らかにできていない。派兵反対のビラによって、精神の平穏が乱され、家庭不安が起きたりするとも述べているが、自衛隊員と市民の接触を断つという弾圧の本質が示されている」と報告した。
 続いて、3・3法学者声明を出した法学界、浜松市のNO!AWACSの会やフアィト神奈川など反基地運動団体、三多摩労働者法律センターや救援連絡センター、各種の反戦団体やアムネスティなど市民団体が次々とアピールを行ない、反弾圧の輪の広がりを実感させた。
 なおロンドンのアムネスティ・インターナショナル本部は、逮捕・起訴された三人を「良心の囚人」に認定した。日本での認定はこれが初めてである。
 集会は最後に、三人の獄中アピール、大洞俊之さん、大西一平さん、「さっちゃん」からの、「今後の公判において、イラク派兵反対運動への攻撃として行なわれた不当なねらいを暴いていく」などの力強いアピールを確認し、集会決議を採択して終了した。
 その後のデモは、自衛隊東立川駐屯地(自衛隊官舎が隣接)まで行なわれ、沿道の人々に不当弾圧糾弾・派兵反対を強く印象づけた。
 なお、この「反戦ビラ入れ裁判」の公判日程は、第一回の五月六日に続き、六月三日、六月十七日、七月八日、いずれも午後二時から、八王子地裁305号法廷となっている。
八王子地裁は裁判闘争妨害の不当拘留をただちに止め、三人をただちに保釈せよ!(東京W通信員)
 

「10・23通達」以降、206人の「日の丸・君が代」大量処分
  反処分・都教委包囲の闘い始まる

 東京都の「日の丸・君が代」大量処分は、教育労働者の権利問題を超えて、教育と民主主義の根幹に関わる問題として大きな社会的注目を集めている。
 したがって、その処分撤回の闘いを通じて、都知事・石原と都教育長・横山を包囲・糾弾する大きな社会的陣形をつくることが客観的には可能な情勢となっている。都の教育行政を転換させ、ひいては教育基本法改悪策動などをすすめる政府の動きにストップをかけていくための、全国的な意義をもった重要な闘いである。「首をすくめて眺めている地方は、全部東京のまねをする。東京から日本を変える」(石原・四月八日)と豪語する連中に、負けるわけにはいかない。
 今春卒業式での処分は、以下のとおりであった。
 都立高校等では三月三十日、教員171人を戒告処分。内三人は定年退職後の嘱託再雇用を取り消し。そして嘱託教員5人に対しては、翌日の今年度からの雇用契約更新を取り消した。
 公立小・中と都立障害児学校では、四月五日に教員19人を戒告処分、四月六日に教員1名を減給処分(この人は一昨年戒告処分を受けている)。
 以上、196人の大量処分となった(「10・23通達」以降では206人)。処分対象行為は、「不起立」が189人で、他が「式場に入場せず」「式場から退場」「ピアノ伴奏拒否」「指揮拒否」となっている。しかし、これら対象行為は、「日の丸・君が代」強制という違憲・不法な職務命令に対する穏当な不服従であり、式の進行を妨害・破壊する行為ではない。四月初旬の入学式でも多くの不起立者が出たが、今のところ処分は出ていない。
 被処分者の反処分闘争が直ちに始まった。四月五日に七十五名が、三十日に四十五名が処分を不当として都人事委員会に不服審査請求を行なった。十七日には、「『日の丸・君が代』不当処分の撤回を求める被処分者の会」が結成された。
 「予防訴訟」の運動も拡大しつつある。「10・23通達」が出されるなか、卒・入学式を前に都高教が不起立などの闘争方針を取らなかったことから、組合員有志などによって取り組まれ一月三十日に提訴されたのが、「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟(国家斉唱義務不存在確認等請求裁判)であった。予防訴訟は、第一次原告が二百二十八名で、第二次原告も二百名を越える見込みである。訴訟に参加して、今後の「日の丸・君が代」強制への抵抗の支えにしようとする教育労働者が多いということである。
 都高教と日教組は、大量処分に抗議の意志は表しているものの、救援はしないとしている。処分後の最初の大きな集会で、日教組が実質的主催者となって開かれた「教育基本法改悪ストップ!4・24中央集会」(東京・読売ホール)でも、処分抗議の決議ひとつ上げていない。集会では、講演者の佐藤学氏(東大)などが、今回の大量処分について「教育基本法改悪を学校内部で実態化するもの」として強く批判したが、主催者は何事もなかったかのようにしている。これでは、教育基本法改悪と実際に闘っていることにならないし、結集した二千名近くの組合員の関心に応えていない集会である。しかし、被処分者を含む「教育基本法の改悪に反対する教職員と市民の会」などは、集会参加者へ「石原・横山都教委の暴走をとめよう!」と宣伝活動を行なった。
 広範な社会的包囲の運動も始まっている。五月二十二日には、「教職員と市民の会」を始めとする労働者・市民によって、「5・22都教委包囲ネットワーク結成集会」が開かれる(午後一時半、千代田区・星陵会館ホール)。広範な包囲で、東京を突破口とした反動攻撃を東京でつぶそう。(東京S通信員)
 

関西新空港
 4・18泉州現地集会 二期即時中止を迫る
   「泉州をアジア侵略の拠点にするな」

 四月十八日、大阪府泉南市の岡田浦浜で「二期・陸上飛行・軍事空港を許すな!関西新空港反対闘争泉州現地集会」が開かれ、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会の主催で釜ヶ崎日雇労組を中心に八十名余が結集した。
 最初に、住民連絡会の新しい代表・若野正太郎さんが挨拶、「関空は米軍の拠点にされる可能性が大きく、原点に返って『あかんもんはあかん』と言い続けよう」と訴えた。東京の立川・自衛隊監視テント村への救援が呼びかけられた。連帯アピールは、釜日労・釜反失連の山田さん、関西共同行動の星川さん、泉大津市議の高橋さん、元泉南市議の小山さんなどから行なわれた。
 基調提起と、空港会社への「二期即時中止」要請書が読み上げられた後、岡田浦地区のデモを行ない、バス「勝利」号などで空港島に乗り込んだ。参加者は空港ビルに入り込み、関西国際空港株式会社・村山敦社長宛の要請書を手渡した。
 関西新空港は強行開港して十年だが、経営は大赤字であり、利用者は国内線だけの伊丹空港にも追い抜かれている現状である。地盤沈下も止まらず、止水壁工事に多額の予算が上っている。「お荷物」となった関空は、関西に伊丹・関西・神戸の三空港もいるのか、の関西三空港論議に発展し、〇二年末、塩川財務相(大阪)と扇国交相(兵庫)の手打ちで、二期滑走路着工決定の先送りとなったのである。国の政治判断で左右される局面にある。
 見直し論が当然の関空が、にも関わらず手厚くされている要因は、日米安保の新ガイドラインにおいて、朝鮮半島に近い福岡や長崎と合わせ有事利用が要求された全国八空港の中、「二十四時間使用可能な海上空港」としての軍事的意義にある。「泉州をアジア侵略の拠点にさせるな!」のスローガンは現実味を増しているのである。
 また、このかんの地方空港見直しの流れに逆行し、デタラメな性格が暴露されている静岡空港の建設計画においては三月二九日、国土交通省が事業継続・補助金交付を決定するという暴挙を行なった。
 国交省は「社会資本評価システム検討委員会航空部会」での「再評価審議」を経たとして、住民団体が三月二五日に提出した百五十三名国会議員の建設見直しを求める署名をも無視し、一方的官僚的に決定したのである。二九日、「空港はいらない静岡県民の会」は抗議声明を発し、「検討委員会は『密室の審議』をもって、過大な需要予測や路線開設の不確実性、事業進捗の不可能性、世論の批判等を無視し、静岡県とのなれあいのもとに、無責任な結論を導き出した」と糾弾し、「税金無駄使いの象徴であるこの空港建設をあくまで阻止する」決意を改めて表明した。
 「県民の会」は、来たる参院選静岡選挙区で、空港中止をかかげ脱官僚政治をめざして闘う候補者を全力で支援する準備に入っている。他方、石川県知事は四月記者会見で、事業認定申請・土地収用に十一月頃踏み切ることを表明した。全国で最も無駄な公共事業、静岡空港建設を阻止しよう。
 また、沖縄県石垣市の新石垣島空港の建設計画では沖縄県が、建設への手続きの重大な節目となる「環境影響評価準備書」の公告・縦覧を三月三十日から強行した。
 新石垣空港のネックとなると県が考えているのが、「用地確保の見極め」と「環境影響の見通し」である。今回この後者を、「海域への濁水流入はない」という前提ありきの分厚い準備書でゴリ押ししているのである。前者についても、五百名にもなる共有地主の反対と、形は少数派になったが地元の絶対反対の地主が存在し続けている。
 六月には三年ぶりに、東京の会と大阪の会の共催で、現地住民との交流ツアーが予定されている。(関西F、S通信員)


靖国訴訟
  小泉の参拝は憲法違反
   憲法判断下した画期的な4・7福岡地裁判決

 〇一年八月の小泉首相の靖国神社参拝を憲法違反だと問うてきた、東京・大阪・松山など全国六地裁での靖国裁判の中、九州各地と山口県の二百十一人を原告とする福岡靖国訴訟で、四月七日、福岡地裁(亀川清長裁判長)で判決が下された。
 判決は、「参拝は公的なもので、憲法で禁止された宗教的活動にあたる」と述べ、違憲と断じた。一方、「損害賠償」は「参拝で原告らの信教の自由を侵害したとはいえない」として、慰謝料請求は棄却した。原告は裁判上は「敗訴」したが、小泉の靖国参拝はきわめて明確に「憲法違反」とされ、事実上の「勝訴」となった。国は、原告側の請求そのものが棄却されたため首相側の控訴は認められず、原告団も控訴しなかったため、靖国違憲判断は確定したこととなった。
 去る二月二十七日の大阪地裁は、小泉靖国参拝は公的参拝と認めながらも、違憲判断はさけた。続いた三月十六日の四国・松山訴訟は、全て却下とする判決だった。これ等今までの靖国訴訟で憲法判断を避けたり、原告適格を否定して、「門前払い」をする判決が相次いだ中で、本判決は「裁判所が判断を回避すれば、今後も同様の行為がなされる可能性が高く、違法性を判断する事は自らの責務」とし、憲法判断に取組む姿勢のものであった。
 また判決は、「宗教的活動」に当たるかどうかについて、津地鎮祭訴訟をめぐって七七年に最高裁大法廷判決が示した「目的効果基準」を踏襲して検討したとし、「本件参拝は、このように靖国神社本殿で、一礼して祭神である英霊に対して畏敬崇拝の心情を示すことにより行われた行為で‥‥宗教とかかわり合いを持つことは否定できない」と性格付け、更に「自民党や内閣からも強い反対意見があり、国民の間でも消極的意見が少なくなかった。一般人の意識では、参拝を単に戦没者の追悼行事と評価しているとはいえない」と指摘し、「小泉首相は将来も継続的に内閣総理大臣として参拝する強い意志を有していることがうかがわれることからすれば、単に社会的儀礼として本件参拝を行ったとは言い難い。‥‥戦没者追悼場所としては必ずしも適切でない靖国神社を四回も参拝したことに照らせば、憲法上の問題があることを承知しつつ、あえて自己の信念か政治的意図に基づいて参拝を行った」と、明確かつ痛烈に批判した。
 先の「目的効果基準」は、従来、政教分離規定を緩やかに解釈するために使われてきたが、今回は同じ基準を使用しながら厳格に適用、違憲と判断する画期的なものとなったのである。
 更に、前述したように、本判決は、いままで裁判が憲法判断を避けてきたことについて、積極的に判断することが責務として、小泉首相の参拝の合憲性について疑いがありながらも意図的・継続的に行われ、更に同様の行為が繰り返されることも把え、真っ正面から批判したものとなったのである。
 形式的には原告敗訴だが、事実上の「完全勝利」となった福岡地裁判決は、今後の東京・千葉・沖縄での靖国参拝訴訟にも大きく影響を与えるだろう。我々は、靖国訴訟勝利を武器に、「靖国参拝」強行を阻止する闘いを発展させなければならない。戦争国家への国作りを急ぐ小泉に対し対決していこう。
      (小泉首相靖国参拝違憲アジア訴訟〔大阪〕 一原告)


4・29反天皇制京都集会
  侵略の歴史検証を

四月二十九日の「昭和天皇」誕生日反対の日、「天皇制の戦争責任を問い続ける4・29京都集会」が今年も開かれ、京都府部落解放センターに百三十名が参加した。
 主催者あいさつで大野昭則解放同盟府連委員長は、イラク人質事件での「自己責任論」で、おまえらがいるから混乱がひろがるんだという部落差別を想起したと指摘した。
 池田浩士さん(京都精華大)が、「戦争と民衆――侵略戦争と満蒙開拓団」の題で講演し、大正デモクラシーの空気の中から十年たらずで侵略のわだちを踏んでいった当時を、今日に重ね合わせて検証する必要を述べた。 (関西I通信員)