有事法制七法案・ACSA改定案等を阻止しよう
  許すな自民・民主の取引

 小泉連立政権は三月九日、有事法制七法案と三条約・協定案の国会提出を強行した。またこれらの四月審議入りを前に、「非常事態基本法」案の提出が与党と民主党の談合で煮詰められている。米軍とともに戦争を遂行し、戦時統制で支配するための、平和憲法を抹殺するこれら諸法案を必ず廃案にさせ、有事法体系の完成策動を押し戻していこう。
 先行して昨年成立させられたのは、有事法体系の基軸となる「武力攻撃事態対処法」、公用令書の規定を百三条に入れるなどした「改正自衛隊法」、および「改正安保会議設置法」であった。
 これを補完する今回の七法案等は、まず戦争遂行そのものに関するものとしては「米軍行動円滑化法案」、「自衛隊法改正案」、「日米物品役務相互提供協定ACSA改定案」で、弾薬提供を明記する等によって共同作戦を実質的なものとし、また「海上輸送規制法案」では、公海での船舶臨検で武力行使を可能とするものである。つぎに戦時統制に関するものとしては「国民保護法案」、「特定公共施設利用法案」で、自治体・民間の戦争協力や強制疎開を義務付け、また港湾・空港などの軍事占有を可能としている。また次に戦争遂行国家同士の戦時国際法対応としては、二つの七七年ジュネーブ追加議定書の締結案と、自衛隊が民間人を殺害したり捕虜を取ったりすることに備える「国際人道法違反処罰法案」「捕虜等取扱法案」となっている。
 これら有事法体系のポイントはどこにあるのか。一つは、何ができるようになるのかである。九九年成立の「周辺事態法」では、自衛隊は基本的には米軍の「後方支援」しかできないし、自治体・民間協力も強制できない。〇一年成立の「対テロ支援法」では米軍に油は提供できたが、弾薬は提供できない。昨年成立のイラク特措法では、同法自身に違反して戦地派兵が行なわれたが、武器使用が制約されている。有事法制はこれら一切の制約を突破し、文字通りの日米共同戦争と戦争動員を可能とする。
 もう一つは、いかなる状況で実際には発動されそうなのかである。小泉政権は「万一の備え」と言っているから、日本がイラクのように侵略される事態なのかというとそうではない。政府答弁でも、周辺事態法でいう「周辺事態」と、有事法制でいう「武力攻撃予測事態」とは重なり合うとしている。海外の自衛隊や日本企業が武力紛争の渦中に入れば、あるいは在日米軍が「周辺」で戦闘状態に入れば、「予測事態」だとして発動される危険がある。
 民主党が強く主張している「緊急事態基本法」は事実上、有事体制の発動をより容易にするものである。日本でテロ攻撃などが起きたら戦時状態だと決め付け、冷静な対応を欠いて、災害以上のとんでもない事態に日本をもっていきかねない。
 自民・公明と民主の有事法案での取り引きを許さず、七月参議院選挙で有事法制推進の与党議員・民主党議員を落選させよう。(F)