3・27
 「劣化ウラン兵器禁止・市民ネット結成の集い」に320名
 
 イラクの子たちに医療支援を

 三月二十七日夕方から、東京の文京区民センターで、「劣化ウラン兵器禁止・市民ネットワーク結成の集い」が開かれた。集会には、会場一杯の三二〇名の市民、労働者が参加し、熱気のある結成集会となった。
 集会の冒頭で、講演者の一人である豊田直巳さんが帰国できずに欠席し、代わりにイラク現地からのメッセージが読み上げられた。それによると、イラク各地の劣化ウラン弾による汚染状況が報告され、豊田さんは「劣化ウラン汚染が全土と思われる」と言っている。そして、現地は「イラク戦争」が終わるどころか、ますます泥沼の長期戦化し、しかも犠牲者の大半が相変わらず市民であるという。にもかかわらず、「ここで『復興』を口にできるのは、権力者か大金持ちか、アメリカ支配の下でCPAに働く、『アメリカの手先』だけでしょう」と、批判している。
 もう一人の講演者である広瀬隆さんは、いつものようにスライドを使いながら、ウラン弾のもとが原子炉から生み出される過程を説明し、湾岸戦争いらい使われたウラン弾の被害がいかに広範囲であり、反人道的なものであるかを説明した。
 基調報告は、劣化ウラン研究会代表の山崎久隆さんから行われた。そこでは、「劣化」という言葉から、「害がすくない」などの誤解があり、これは間違いであり、天然ウランと劣化ウランに大差はない、と説明された。そして、ウランには、放射性物質としての毒性と、金属毒性(化学毒性)という複合毒性があり、このためヒロシマ、ナガサキとは異なり、約五年という短期間で症状が露となり、被曝者を死に至らしめる恐ろしさがあるという。基調報告は、ネットの二大方針として、劣化ウラン兵器を廃絶すること、イラクへのとくに子どもたちへの医療支援を打ち出している。
 今回のイラク戦争では、およそ二〇〇〇トンの劣化ウラン弾が使用され、九一年湾岸戦争と併せて、イラクは二三〇〇トン以上の劣化ウランにより汚染されている。湾岸戦争いらいイラクでは、十五歳以下の白血病、小児ガンが増えているが、国連はその実態調査もしないで十二年間続けられた経済制裁で事態は悪化し、そのうえにまた今回のイラク戦争で最悪となってている。イラクでの白血病、小児ガンの治癒率は二割りに満たず、日本での八五%の治癒率とは大きく掛け離れている。基調報告は、この差を縮め、イラクの子どもたちの治癒率を当面「せめて5割りに」するための医療支援を目指している。広範な資金カンパとともに、一人でも多くの専門家の協力が緊急に必要とされているのである。
 集会は、その後、さまざまな団体や個人などの発言があった。その中では、アラブの子どもとなかよくする会の西村さん、映画「ヒバクシャ」の監督・鎌仲さん、日本国際ボランティアセンター(JVC)の佐藤さんなどの現地で経験したことの報告、写真家森住卓さんの写真をもとにしたスライド上映は、現地の悲惨でリアルな状況がよく理解でき、大変考えさせられた。
 集会は、最後に、たんぽぽ舎の柳田真さんから、ネットの二大方針にもとづく具体的な行動方針が紹介された。それは、一、写真パネルの貸し出し、二、連続講座(劣化ウラン早わかり講座)の開設、三、第二期署名運動(第一次締め切り八月三十一日、第二次締め切り十二月三十一日)、四、外務省交渉、五、五月のNODU国際会議(ベルギー)への代表派遣(DUとは劣化ウランのことで、これにノーの会議)、六、シンボルマークの募集、七、月刊ニュースの発行、八、会員の勧誘(年会費は、個人二千円、団体三千円)、九、賛同金を募る(個人一口千円、団体一口三千円)、十、市民ネットに参加する団体の各種活動に協力すること、である。なお、この市民ネットの事務所は、東京都千代田区三崎町二−六−二 ダイナミックビル5階 たんぽぽ舎。電話とFAXは、03−3238−0056(電話は午後一時から九時)。
 集会では、当日の会場でのカンパが、二二・六万円余にのぼったこと、市民ネットへの参加団体が当日現在、四十四団体であること(準備段階では二十団体ぐらいであった)なども、報告された。
 核兵器はすでに使用されている。イラクでは、全土が核兵器使用で汚染されている。ブッシュや小泉などの戯言(たわごと)にもかかわらず、犠牲はイラクの民衆とくに未来ある子たちにもっとも集中している。日本は「唯一の被爆国」などとふんどりかえっている事態ではない。「劣化ウラン兵器禁止・市民ネットワーク」の活動を拡大・発展させよう!(T)