04春闘
 見えにくくなる「春闘」、再構築の道は
問われる新しい賃金・諸政策闘争

 二〇〇四年春闘の集中回答が、三月十七日におこなわれた。多くの主要企業で定期昇給実施、一時金の増額の回答であった。連合の笹森会長は、「連合の掲げた目標に沿って、ほぼ一〇〇%に近い形で解決が図られた」と評価した。
 それはそうであろう。ベースアップ要求をやめて、賃金カーブの維持を目標に掲げ、一時金は業績連動という考え方であれば、業績が改善した企業での一時金増額は当然であろう。それは、「春闘」とはいえない。
 日本経団連の奥田会長は、「組合の要求は企業実績や将来見通しに対する理解によるもの」と評価し、「業績が好転した企業は一時金に反映した」と述べた。また、「春討」の色彩が強まったことを望ましいことと述べた。現に、賃金だけでなく、六〇歳以上の雇用、子育て支援、キャリア形成、労働時間管理などの回答を引き出したことを連合も評価している。
 そんな今年の春闘だから、マスコミの取り上げ方も通り一遍の報道で終わっている。以前は、「パート春闘」「派遣春闘」「外国人春闘」「管理職春闘」などと、ものめずらしい春闘を紹介していたが、それも見受けなくなった。もう春闘がニュースにならないのであろう。そのような春闘がなくなったわけではない。行動を行っているが、毎年行えばものめずらしさもなくなるし、同じ行動パターンでは闘争の成果が見えないのである。
 東京では三月十二日に、春闘再生実行委員会と権利春闘実行委員会が共同して、春闘決起集会を厚生労働省前で開いた。「自衛隊のイラク派兵反対」「年金改悪反対」「規制緩和、賃金抑制を撥ね返そう」と気勢をあげ、国会デモをおこなった。
 春闘が消えようとしているわけだが、中小企業労働者のたたかいは萎縮しかかっているいるけれども続いている。しかし、個別課題で同じような行動を繰り返していても、春闘の再構築は難しい。
 有事法制、憲法改悪、社会保障制度の削減、個人・情報管理という社会総体の変革攻撃に対して、全面的に対決できる広範なたたかう労働者の結集をどうつくりあげていくかが問われている。それには、中小企業労働者を軸に、非正規雇用労働者を結集できる、賃金闘争の理論、社会保障制度や税制などの政策が求められている。そして、これらの要求にもとづきながら、平和運動をたたかえる運動のダイナミズムをつくりあげなければならない。
 今までの殻から抜けださないかぎり、いつまでも自己満足的な「たたかう」春闘の縮小再生産に終わってしまう。 (K)