東京都は「日の丸・君が代」大量処分を撤回せよ!
  広範な包囲で横山・石原打倒へ

 三月十二日を中心に行なわれた都立の全日制高校、定時制、養護学校の卒業式で、都教育委員会の異常極まる「日の丸・君が代」強制に反対し、不起立などの良心的抗議を行なった教職員労働者が約二〇〇名に上った。
 この大量の静かな抵抗の出現は、都教委も、また都立高校の組合である都高教の執行部も、予想できなかったことと言われている。それは個人個人の抵抗であった。(教職員組合としては、職務命令が出れば処分覚悟では闘えないという傾向が強く、都高教も抵抗の指示を出さなかった。犠救金の財政問題を建前としたようである。)
 これに対し、都教委は三月三十一日、一七一名の教職員の戒告処分を強行し、四月以降さらに処分を拡大するとしている。大慌てで、入学式などでの抵抗の拡大を止めようとしているのである。戒告処分は昇給延期につながり、生涯賃金では百万円の減給となるといわれるが、三回の戒告で分限免職処分にするという脅しもかけられている。また嘱託教員の被処分者五名に対しては、四月からの雇用継続を打ち切り不当解雇を強行した。まさに言語同断である。すでに二月の創立記念式での不起立で十名が戒告処分されており、合わせて二百名を越えるかってない大量処分になろうとしている。処分の多くは、弁護人の同席を嫌悪して「聴聞」手続きを欠いたまま強行しており、地方公務員法違反である。
 教育現場にこうした「混乱」をもたらした一切の責任は、都教委にあり、その「10・23通達」にある。国旗国家法制定時の政府答弁でも「日の丸・君が代」の強制はあってはならないとしているにも関わらず、都教委は昨年の10・23通達とその「実施指針」で、演壇正面の「日の丸」への敬礼や「君が代」の起立斉唱・ピアノ伴奏などを具体的に強制し、通達にもとづく校長の職務命令に従わない教職員は処分するとした。全校の卒業式に都教育庁職員を監視役として派遣し、教頭に不起立者などを現認させた。
 10・23通達は、憲法が保障する思想・信条の自由を蹂躙し、教育への「不当な支配」を禁ずる教育基本法に違反するものであり、違憲・違法な通達と職務命令は無効である。
 被処分者の七割近くは、「日の丸・君が代」強制に従う義務の不存在確認訴訟(一月三十日に二百三十八人で提訴)の参加者とみられ、このいわゆる「予防訴訟」が今回の抵抗の支えとなったと考えられる。「予防訴訟」は五月に第二次提訴が予定されている。
 また、式の主人公である高校生も、板橋、江戸川の全日制、足立、葛飾、江戸川、文京の定時制を始め多くの学校で不起立やボイコットで抗議した。(九割の生徒が着席したままだった都立板橋高校では、強制反対の週刊誌記事コピーを配布するなどした来賓の元教員が会場外へ連れ出され、校長が威力業務妨害で告訴するという異例の事態となった。)
 これに対し、三月十六日の都議会で横山教育長は、「学習指導要領に基づき国歌の指導が行なわれていれば、歌えない、歌わない児童・生徒が多数いるということは考えられません。その場合、指導力が不足しているか、指導要領に反する恣意的な指導があった、と考えざるをえません」と答弁し、担任教員を処分あるいは「指導力不足教員」として研修所送りにする意図を表明した。
 これほど生徒の主体性を冒涜した発言は「考えられません」。石原都知事も三月二六日の会見で、「小・中学校ってのは詰め込み、強制的な詰め込み。それでいいんだ」と発言しており、石原も横山も東京都のでたらめな「教育観」、ロボット教育を露呈している。教育基本法の改悪で実現できるのは、こうした「教育」でしかない。
 今後の都人事委員会提訴などの反処分闘争をはじめ、東京での闘いが一気に、全国の「日の丸・君が代」強制反対や教育基本法改悪反対での重要な環になってきた。個人個人の抵抗だけでは、節は守れても限界がある。すべての労働者・市民と民主的勢力に働きかけ、横山や石原を孤立させ打倒できる大きな社会的包囲の陣形をめざす闘い方が必要だ。
 おりしも教育労働者の間では、組合枠を越えた共同を実現した12・23教育基本法改悪反対全国集会のように、各地で広い連帯を実現しようという声が高まっている。日教組などが主催者の「教育基本法改悪ストップ4・24中央集会」(有楽町・よみうりホール、午前十時〜午後一時)に結集し、東京の「日の丸・君が代」処分撤回闘争への連帯を確約させ、広範な共同集会に塗り替えていこう。(S)