2・28大阪地裁
  靖国参拝違憲アジア訴訟 「公的」と判断し一部勝訴
    許すな「新たな戦死者」賛美

 本年一月一日(元旦)、昨年の自民党総裁選で靖国神社への参拝を公約していた小泉首相は、首相になって毎年連続四回目の参拝を行った。会見では、「初詣」と同じだと居直った。
 参拝は「平和を祈る」ためとか、「二度と戦争を起こしてはならないという気持ち」を主張し、正当化している。戦場への自衛隊の派兵を平和実現の理念に沿ったものだと主張した小泉らしく、かつて皇軍が「東洋平和のために」と軍を派遣したのと同じく、小泉のいう「平和」とは「戦争」に他ならない。会見で、小泉は、このような参拝を日本の伝統、文化に基づくものとして、これを批判するアジア諸国に対する非難さえ行っているのである。
 靖国神社は、A級戦犯合祀だけが問題なのではない。かつての侵略戦争で死んだ人を祀り、その死者と戦争を賛美し、更に戦場へ国民を狩り出しているものとしてあったし、今再びそのように機能しつつある。
 昨年十二月二十六日に、空自の先遣隊が「イラク復興支援特別措置法」に基づく第一波派兵が行われている直後の、この「初詣で」といいくるめた公式参拝は、この時期、なんらの正当性ももたない戦争加担での、戦場での「死者」を讃え、「死者」を利用し派兵体制を作り出すものである。「戦争従事者に感謝と敬意をささげる」ことを強調し、新たな戦死者を国が祀り、戦争を正当化し、更に押しすすめるシステムとしての「公式靖国参拝」であった。直ちに、このイラク派兵状況下の首相の靖国神社参拝に対し、抗議が行われた。
 四回目となった小泉首相の靖国神社参拝の始まりとなった〇一年八月十三日の参拝に対しての、「小泉靖国参拝違憲訴訟」判決が、二月二十八日大阪地裁で下された。
 靖国参拝違憲アジア訴訟は、小泉首相の靖国参拝を「憲法の定める政教分離原則に反する」として、旧日本軍人・軍属の遺族等六百三十一名が国と首相を、そして小泉純一郎と、史上初めて靖国神社を被告として訴えていた。同様の訴訟は、大阪以外でも、四国、九州・山口、千葉、東京、沖縄で各地裁へ起こされ取り組まれてきたが、大阪が最初の判決となった。
 訴訟は、一、参拝は政教分離原則の定めに反し違憲であること、一、小泉が首相として靖国神社を参拝することの禁止、一、靖国神社の、首相の参拝受入差止めを求め、民事のため一人あたり一万円の損害賠償を求めていたものである。
 裁判には初めて在韓の韓国人遺族が原告として、百十七名加わっているのが特徴であった。
 裁判では、参拝が「公的」か「私的」か、が争点であった。また、愛媛玉串料違憲大法廷判決後の、初めての靖国参拝の違憲訴訟であった。
 村岡寛裁判長による判決は、小泉首相参拝は「内閣総理大臣の資格で行われた」と指摘し、「公的」なものと判断し、更に「首相の参拝」は「国及びその機関の活動」にあたると記している。
 憲法二十条三項は、国及びその機関による宗教活動を禁止する条文であるから、これは実質上「参拝」が違憲と判断したと考え得るものである。しかし、判決ではこの点の判断を下さなかった。踏みこまず、避けた、と言わざるを得ない。その他、参拝差し止めや損害賠償請求は、却下された。
 判決は違憲訴訟としては判断に踏みこまない事で、責任を回避したが、小泉が「私的参拝」と言いのがれしながら「戦争の時代」の靖国神社への参拝を連続して強行している事に対し、痛打を与えるものになった。明確な違憲判決を求め原告団は控訴を既に決定しているが、四月七日に予定されている九州・山口訴訟判決(福岡地裁)を始め、各地区での訴訟に勝利していこう。
 当日、六時半よりエル・おおさかにおいて、「ころさない、ころされない、ころさせない」判決報告集会が、百名の参加で行われた。
         (小泉首相靖国参拝違憲アジア訴訟・一原告)