特定船舶入港禁止法案、改悪外為法の発動に反対する
  日朝ピョンヤン宣言違反の
     有事法体系作りの一環


 
二月九日の参院本会議で、外国為替・外国貿易法(外為法)改定案が提出からあっと言う間もなく成立させられてしまい、またさらに「特定船舶入港禁止法案」など、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を当面の対象とした制裁法案の今国会提出が強行されようとしている。
 外為法改悪は、国連の制裁決議なしに日本独自の判断で、特定の外国への送金や資本取引を停止することができるとする経済制裁法である。特定船舶法案も同様独自の判断で、「特定国の船籍の船舶」「特定国に寄港した船舶」の日本入港を禁止したり、出港を強いることができるとするものである。
 改悪外為法、特定船舶法案は、第一に、具体的には北朝鮮を対象としており、相互に安全を脅かす行為を取らないとした日朝ピョンヤン宣言に違反し、日朝国交正常化という日本政府自身の目標に反するものである。第二に、北朝鮮に家族・親戚を持つ在日朝鮮人の仕送りや往来を妨害し、その基本的人権を蹂躙するものである。また、北と商売している業者の経済的利益を破壊するものでもある。第三に、日本独自で外国に敵対行動を取れるようにすることは、近年の米国同様、国連協調からの逸脱であるとともに、日本の有事法体系作りの一環にほかならない。
 日本人拉致問題の解決には何ら役立たず、悪化させるだけである。自民党など北制裁法の推進者たちは、「対テロ」問題と拉致問題とを意図的に混同させて、北朝鮮への圧力を煽っている。「対テロ」は、冷戦終結後の米国の一極支配という新しい情勢を背景とした問題であるが、北朝鮮による日本人拉致犯罪は、東西冷戦・朝鮮南北敵対の時代を背景として発生した問題である。その対処方法は政府次元においても異なっていてしかるべきである。六者協議後、北朝鮮の金桂寛外務次官が拉致問題について、「残された問題は、朝日ピョンヤン宣言を履行する過程で解決されるものだ」と述べた部分は正しい。
 極右勢力は、先の六者協議で拉致問題の進展がなかったから「外為法を発動せよ、船舶法制定せよ」と騒いでいるが、六者協議にそれを求めるのは筋違いであり、ブッシュ政権に「対テロ」戦争をけしかける愚挙でしかない。六者協議を守りたい小泉政権に対し、自民党や民主党の中の極右が不満をぶつけるという局面になっている。
 こうした中で、核問題や拉致問題について左翼もしっかりとした立場に立つことが必要だ。北制裁推進の民主党にひきずられ、外為法改悪案について衆・参でチグハグな醜態をさらした社民党のようであってはならない。
 改悪外為法を発動させるな!特定船舶禁止法案の国会提出を阻止しよう!(S)