派兵拠点北海道−−札幌、室蘭、千歳と闘い続く
  既成事実化はね返そう

 本隊派兵で緊迫する北海道では、「イラクへの自衛隊派遣中止を求める国民大会」が二月七日、札幌の地で三〇〇〇名を結集し開催される。そして、二月十七日から十八日にかけて海自輸送艦「おおすみ」、護衛艦「むらさめ」によるイラクへの輸送物資積載寄港に反対し、抗議する集会が現地室蘭港で六〇〇名を結集し開催される。そして、陸自本体派兵の開始に抗議して二月二十二日には、「自衛隊の街」でもある千歳市においてイラク派兵に反対し、日米共同軍事演習に反対しての行動がとられた。
 それぞれ、連合が中心となった国民大会、平和運動フォーラムと全港湾労組が軸となり開催された室蘭行動、平和運動フォーラムと市民団体が共同して開催された千歳集会・デモと、まさしく、全国民的課題として派兵の拠点となった北海道から発信する取り組みでもあった。
 各集会とも、「戦後総決算」の上に立ち軍事大国化を目指す小泉政権の「普通の国家」づくりへの断固とした抗議の集会であり、北海道の二月という厳寒の中で開催され、多数の労働者・市民の参加を得て開催された意義は極めて大きいものと考える。
 しかし、小泉政権が、派兵の既成事実を積み上げ、反対行動を風化させようとしているその狙いは明確でもあり、小泉流政治には絶対騙されてはならない。「おかしい」ことを「おかしい」といえる社会こそが戦争政策を押しとどめる不可欠な条件であることを認識し、今後とも運動を連続的に作り出し、高揚させていくことが大事であると考える。
 それらの闘いが、自衛隊の早期撤収を実現することにつながることに確信を持ちつつ運動を展開したい。
 本紙前号で報告した、元自民党運輸大臣・国防族の箕輪登氏が「自衛隊派遣は憲法違反」であるとして提訴した裁判の第一回公判が、三月二九日に開かれることになった。
 しかしその報道も、新聞の片隅に掲載されるだけであり、マスメディアの翼賛ぶりが際立って来ている。戦前にマスメディアが侵略戦争を美化し、国家総動員体制を作り出した犯罪的役割を反省することなく、今また、翼賛新聞になろうとしている。批判的視点を持ちつつ、大衆的に訴えて行くことが必要である。(北海道M通信員)

室蘭2・17〜20
 輸送艦「おおすみ」は行くな!
  港湾労働者先頭に連日の抗議

 イラクに派兵される陸上自衛隊の車両、装備などの輸送が北海道から始まった。
 一月十六日の陸上自衛隊先遣隊の派兵にともない、航空自衛隊千歳基地よりロシアの民間機アントノフを六機チャーターして車両、兵員輸送車、無反動砲、軽装甲機動車、機関銃を輸送した。さらに二月十七日からアントノフ十数機が重機、建設資材、テントなどを運んだ。
 二月十六日には民間チャーター船が車両、仮設トイレ、テント、プレハブ、食品などを積み込んで、室蘭港からクウェートに向かっている。
 二月二十日、呉基地から回航してきた空母型の貫通甲板をもつ海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」(八九〇〇トン)が軽装甲機動車、給水車、テントなどを室蘭で積み込み、また横須賀基地から来た護衛艦「むらさめ」(四五五〇トン)をともなって、室蘭港からクウェートに向かった。陸海空揃い踏みで海外に行くのは、自衛隊創設以来初めてのことである。
 これに対し、「自衛隊を戦場に送るな!港の軍事利用反対!室蘭行動」が、北海道平和運動フォーラム、平和運動フォーラム日胆地域協議会、全国港湾(全港湾など)の三者による実行委員会の主催で、二月十七日、十八日に雪の降る室蘭で繰り広げられた。
 「おおすみ」入港直前の十七日夜、絵鞆臨海公園で開かれた集会には、雪のため峠越えができず参加できない人も出る中で、六〇〇名が結集した。
 集会で北海道平和運動フォーラムの小林代表は、「室蘭港からの海上自衛隊の出港により、陸海空のイラク派兵が行なわれることになる。室蘭市は一九九九年に『平和都市宣言』を採択しているし、昨年十二月議会では『イラク派遣中止を求める決議』を採択している。にもかかわらず、自衛艦の入港を認めたことは許せない。平和憲法を踏みにじるイラク派兵に抗議しよう」と訴えた。全国港湾の鈴木事務局長は、「有事法制による国民動員体制がつくられつつある。港の軍事利用に反対する。港湾労働者は戦争の加害者にも被害者にもならない」と挨拶した。集会後、自衛艦が停泊する祝津埠頭までデモ行進を行なった。
 さらに十八日の朝八時からは二〇〇名が埠頭で、入港を迎え撃つ集会を行なった。また白鳥大橋展望公園では地元市民団体など一五〇人が、自衛隊をイラクへ送るな!室蘭市民集会を開き抗議した。海上デモの抗議船も出て、「自衛隊は戦場に行くな」「室蘭港を軍港にするな」などと抗議のシュプレヒコールが繰り返される中、八時四十分に輸送艦「おおすみ」が接岸した。
 二十日の「おおすみ」などの出港に対しても、市民団体一二〇人が抗議行動を続けた。(北海道A通信員)

福岡
 2・15派兵反対九州ブロック集会に五千名
  近郊では超党派の行動拡大

 福岡では一月に引き続き二月もイラクへの自衛隊派兵反対の様々な取り組みが行われた。
 二月一日、「日本の出兵反対!2・1労働者・学生・市民連帯集会」(石村善治福岡大名誉教授らが呼びかけた集会実行委主催)が福岡市で開催され、二百五十人が参加。イラクやパレスチナの取材に長年携わっているフリージャーナリスト平田伊都子さんが講演。「イラクに入る軍隊はどこも同じとみなされる」「アメリカは非を認めて、破壊したイラクの国土を修繕し、死者にも賠償すべき」と語り、「イラク人による直接選挙を早期に実施すべきだ」と訴えた。 同日、近郊の古賀市では主婦らでつくる「自衛隊のイラク派遣に黙っていられない仲間たち」(西山いずみ代表ら四十六人が呼びかけ)が呼びけて二百人がピースウオーク。福岡市内中心部で白いリボンを着けて抗議活動をしている脇坂武士さん(七十五歳)に連帯して、参加者全員が派兵反対を示す白いリボンを着けて行進した。
 十一日、仏教徒やキリスト教徒などでつくる「反ヤスクニ福岡連絡会」が主催となって「反ヤスクニ福岡集会」が開催され百二十人が参加。元外務省専門調査員で九州大の泉助教授が講演し、小泉首相の自衛隊のイラク派兵理由の矛盾を指摘。「自衛の名前のもとに先制攻撃がまかりとおるようなアメリカと同様の発想になってはいけない」と批判した。集会参加者はその後デモ行進し、イラク派兵反対を訴えた。
 同日、近郊の大野城市では、部落解放教育の最先端で奮闘している陶山高度さんが代表となり、四市一町の筑紫地区の労働組合などでつくる実行委の主催で「平和といのちを守る筑紫地区住民集会」が開催され、五百人が参加し、イラク派兵反対のデモ行進を行った。
 十五日、旧総評系の労組や市民団体でつくる「平和・人権・環境福岡県フォーラム」(代表中村元気福教組委員長)などが共催してイラク派兵に反対する九州ブロック総決起集会が福岡市で開催され、九州・沖縄から五千人が結集した。部落解放同盟も組坂中央本部委員長が参加するとあって、多くの同盟員が参加した。社民党からは沖縄の照屋衆議員が連帯の挨拶をしたが、民主党は議員秘書が代理出席するなどやる気のなさを露呈してしまっている。
 同日、近郊の春日市では、九州・山口靖国神社参拝違憲訴訟団の原告団長の郡島恒昭さんが代表となる「平和をつくる筑紫住民の会」と「アメリ カのイラク攻撃を許さない実行委員会」(カトリック正義と平和協議会の青柳行信さん代表)の共催による「ピース・ウオークin春日」が行われ、百五十名が参加。ギター演奏に合わせて平和ソングを歌いながら航空自衛隊春日基地と陸上自衛隊第四師団を取り巻いてデモ行進し、門前でイラク派兵中止を求める申入書を読み上げ、自衛隊に手渡した。
 二十九日、「アメリ カのイラク攻撃を許さない実行委員会」による集会とデモが福岡市で行われ、百五十人が参加した。
 福岡での運動の特徴は、民主党から社民党、共産党、無党派までが一堂に会する幅広い共同の取り組みまでに至ってないことであるが、一方、市民団体が中心となった超党派の取り組みが、ベッドタウンといわれる住宅都市に広がりを見せており、イラク派兵反対の共同行動をさらに広げていくことが求められている。(九州M通信員)


関西各地でも3・20行動準備すすむ
  大阪国際行動統一集会へ

 関西でも、東京でのワールドピースナウによる十万人全国集会の呼びかけに応じつつ、関西各地において3・20の行動を設定し、自衛隊イラク派兵の強行に反対し即時撤退を求める運動が進められている。
 大阪では、しないさせない戦争協力関西ネットワーク、おおさかユニオンネットワーク、全港湾大阪支部を連絡先とする広範な部分が、「イラク侵略から一年、自衛隊・占領軍の即時撤退を求める3・20大阪実行委員会」を二月十三日に結成し、平和人権センター近畿ブロックとの共催によって、3・20国際行動統一集会を午後二時より扇町公園にて行なうこととなった。三時より、コースを分けてピースウォークが行なわれる。昨年は二回、同様の共闘が実現されているが、今回は、大阪でも一万名の結集を目標に準備がすすんでいる。
 三月九日には、新倉裕史さん(非核市民宣言運動ヨコスカ)を講師に、事前学習会が行なわれる。
 なお、この三月二十日は、しないさせない戦争協力ネットなどの大阪集会実行委員会が、午後一時より扇町公園近くの野崎公園で前段の市民集会を予定しており、一方、扇町公園では自治労近畿ブロックが前段集会を行なう予定である。
 他方、日本共産党系との間では、一日共闘集会の折衝もあったが実現せず、日共系を主力とする諸団体は大阪城公園・太陽の広場で午前十一時に人文字を作ることを中心とする集会を開催する。
 3・20行動は神戸では、KOBEピースネット呼びかけにより、神戸市役所南側の東遊園地で十一時半より「おまつり」、三時より「一万人ピースウォーク」が予定されている。尼崎では正午から阪神尼崎駅前で反戦イベントを行ない、三時よりピースウォークが準備されている。
 京都では、一〜二月に連続した取り組みが行なわれたが(1・17に千名、2・14に五百、2・28〜29には米国ANSWERのタニー・ステアさんを招いた行動)、これら広範な共闘を実現してきた「STOP!イラク派兵・京都」(代表・黒木順子、服部待)により、「ピースアクションin京都」が午後二時より鴨川三条河川敷で行なわれ、三時より円山公園までのピースウォークを予定している。
 その他の地域でも独自な集会・デモが予定されており、東京での集会にも代表を送りながら、関西各地で、イラク占領反対、自衛隊の派兵反対・即時撤収を求める盛り上がりを追求している。われわれも各職場・各地域から広範な層の決起をうながし、大きなうねりを創り出していく決意である。(関西Si)