釜ヶ崎反失業闘争
 1年4ヶ月余の反失業野営闘争を撤収
   「公的就労」求め闘いは続く


 〇三〜〇四年、第三十四回釜ケ崎越冬闘争が、昨年十二月二十五日〜本年一月十日まで闘い抜かれた。
 今回のメインスローガンは、一、第三十四回釜ケ崎越冬闘争を闘おう 一、野垂れ死に攻撃を許すな 一、市・府・国は仕事を作れ 失業・野宿問題を解決せよ 一、イラク派兵反対 戦争への国づくりを許すな ─である。
 十二月二十日午後二時より、恒例の「釜ケ崎越冬闘争支援連帯集会」が中之島公会堂小集会室で行われた。中之島野営陣地の野宿労働者を中心に、越冬闘争実行委に結集する支援など会場があふれる二百名が参加して行われた。
 釜ケ崎日雇労組・大戸さんの司会で始まり、反失業連絡会共同代表・山田実さんが、一昨年九月末より始めた反失業野営闘争の全過程を再度まとめ、闘いの成果と問題点、闘争陣型の前進面と力不足を否めない反失連の現状の厳しい自己点検、今後の反失業闘争の方向と具体的な闘争体制について、結集した中之島野営陣地の野宿労働者に提起し、意見を求め、次の闘いに向かう意思統一を図る論議を提起した。
 例年では、「越冬闘争基調報告」が読み上げられ、提案・了承されるのが通常であるが、今回は反失業野営闘争の集約討論の場となった。
 一年四ケ月、四百六十日におよんだ、大阪城─市役所前を結んだ野営闘争の成果は、釜ケ崎内部でのシェルター建設(三徳寮横四百四十名規模)と、特別就労十二名(一昨年末に府からは二十名増)等が外に見えるものにすぎない。しかし、現三角公園シェルターも、あいりんセンターに六百余が夜間占拠寝泊まりを始めた夜間開放からシェルター建設までに六年かかっている。闘いの成果は現在、大きな成果はなかったが、中之島野営闘争の中から炊事、アルミ缶回収、『ビックイシュー』取り扱い販売などの新たな取組みが見られ、何よりも四百名余りの仲間の団結、一千食を越える炊き出しへの結集など、前進的な要素も多い。
 山田共同代表は、これ以上野営闘争を継続できない経済的な反失連の力不足も率直に明らかにしながら、十二月末までの撤収・越冬闘争後の新たな反失業闘争への再結集を呼びかけたのである。
 この集会後、年末に大阪府・市の自立支援の実施計画(素案)が提案され、パブリック意見の募集が行われた。中味では、「公的就労」を柱にして「就労自立」を保障する方向は、未だ弱いものがある。
 越冬後は、この素案から「具体策」を更につめさせ、「予算化」まで、府・市に対し求めていく、更なる飛躍した反失業闘争の展開が求められる。それらを実現する反失連の闘争陣型の構築が早急の課題となるだろう。
 越冬闘争は十二月二十五日、三角公園の越冬突入集会で始まった。毎朝の「日刊えっとう」の発刊、炊き出し、フトン敷き、人民パトロール、医療パトなどが続けられた。
 二九日からは南港臨時宿泊所の受付、三十日には臨泊入所状況報告集会。この日、一昨年九月からの野営陣地が撤去作業に入ったことも報告された。
 三十一日から一月三日までは、越冬まつりが盛り上がった。
 五日は、府・市への「お礼まいりデモ」。雇用対策予算の確保、特別就労事業の創出を強く要求した。
 越冬闘争は十三日の情宣ビラで一旦終了したが、三徳寮シェルター開設が二〇日過ぎに遅れたため、フトン敷きは二十二日まで続けられ、キリスト教教友会の夜まわりは張るまで続けられる。
 十八日の日雇全協集会には六十名が山谷に駆けつけた。
 釜ヶ崎の反失業闘争は、「公的就労」「仕事による自立」を求め、四七〇日余の野営闘争の貫徹の上に立ち、更に闘っていく。
 なお「釜ヶ崎講座」は一月三日、昨年同様「釜ヶ崎越冬ツァー」を企画、今年は水野阿修羅氏を案内人に釜内外をみてまわり、越冬闘争に参加した。(大阪S通信員)


山谷
  1・18日雇全協反失業総決起集会

一月十八日、東京・山谷に全国各地から越冬闘争を闘い抜いた日雇労働者、野宿労働者、支援者約三百名が結集し、日雇全協の反失業総決起集会が開催された。
 冒頭、金町一家に虐殺された佐藤さん、山岡さん、朝日建設に殺害された三人の労働者、そして対金町戦とその後の反失業闘争を一貫して先頭で闘い、昨年ガンで亡くなった釜日労の藤井さんに対して黙祷をおこなった。つづいて、韓国民主労総の主催する労働者大会やインドでの世界社会フォーラムに向けた前段行動に参加した仲間の特別報告、全国各地での反失業闘争の報告、支援団体の発言、連帯アピールの紹介があり、最後に参加者は、山谷地域一周のデモを貫徹し、新たな年の闘いへ決意を固めたのだった。
 今年は、野宿労働者の運動における路線の正否が厳しく試される年になるだろう。(東京・M通信員)
 

1・11
 04年・三里空港反対同盟旗開き
  暫定滑走路の北側延伸策動粉砕

 二〇〇四年・三里塚空港反対同盟旗開きが、「暫定滑走路北側延伸策動粉砕」をかかげて、一月十一日日曜日十二時半から、農業研修センター(旧労農合宿所)において、熱田一さん、石井恒司さん・紀子さん、柳川秀夫さんら三里塚芝山の農民を始め、各団結小屋。各支援者ら五〇名の結集で行われた。
 旗開きは、冒頭、柳川さんの挨拶で始まった。「今年も元気でがんばろう!石井さんが亡くなられたのは大変残念だったけれども、石井さんの遺志・生き方を継承していきたい。東峰神社裁判の闘いは、和解という形で、住民の共有物であることが認められ勝利した。三十年前からみれば変わったもので、住民の権利が認められた画期的なものであった。しかし、公団は、南が駄目なら、北側延伸という攻撃をかけてくる。住民は、騒音地獄の下であっても、生きて生活していく。情勢はきびしいと思うが、短期的ではない、長期にわたる百年の、文明論の問題をもった闘いである。長い闘いではあるが闘い抜く」と、二〇〇四年の決意を述べた。
 つづいて熱田さんの音頭で乾杯を行ったあと、石井恒司さんが、「石井武の件では大変世話をかけました。御礼申し上げます」と前置きして、「さて、東峰神社公判で和解勝利しましたが、公団は四月民営化をひかえて、大枠でからめようと思惑をもっているのは明らかです。しっかり見据えていきましょう」と、決意を表明した。
 歓談の中、石井紀子さんが、「明けましておめでとう!今年も健康で、おいしい食事、野菜を食べて、がんばろう!」と力強く決意表明した。
 更に次いで、加瀬勉さんが、「自衛隊派遣を即時やめろ!の闘いを断固やろう。小泉首相は、『日本に左翼、右翼は存在しない、与野党があるだけである!』と、挙国一致をアピールしているが、我々は、闘いによって総保守体制に風穴をあけてやろう。東峰神社裁判や、円卓会議で謝罪する、頭を下げるが、後でピストルをつきつけている。相手はそういう強盗のやり方です。あのロシア革命のレーニンが云っているように、権力というものの本質をみよう!闘おう!」と、方向性を示した。
 全国各地で反空港の闘いが広がり、新たな形で三里塚反対同盟との交流共闘が深まっている。二〇〇四年旗開きは、このような闘いの中で、石井武さんの遺志を継いで、ねばり強く闘う意義あるものとして開かれた。
 支援連帯の決意表明では、上坂喜美さん(関西連帯する会)、静岡空港反対の仲間、じゃがいも運動、たんぼクラブ、横堀団結小屋、反グロバリゼーションの仲間などが挨拶した。
 東峰団結小屋維持会も、関西の仲間(藤井利明さん)の死を乗り越えて、有志が参加し、団結小屋住民との交流を行った。 (東峰団結小屋維持会Y)


  関西でも2・1三里塚旗開き

 二月一日、尼崎市立労働福祉会館にて、関西三里塚相談会と関西三里塚闘争に連帯する会の旗びらきが行われた。関西一円より、四十名が参加した。
 渡邊(東峰維持会)の司会で代表の上坂さんが「反空港全国連が成功した」とあいさつ、三里塚から柳川秀夫さんが、「三里塚に大きな変化が生まれている。東峰神社裁判も、勝利和解となった。世代交代の時期だが、今一度ロートルが決起を」と、呼びかけた。
 関西新空港反対運動より、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会の阿部さんが、「反空港全国連を発展させよう。まず静岡空港強制収用反対署名を」とあいさつ。石垣島・白保に空港をつくらせない大阪の会の栄さんが、「白保に再び空港案が戻り、今年は大きな山場です。土地共有の闘いが前進している」とアピールした。諸団体・個人が、年始めのあいさつを行い、闘いをちかった。 (東峰団結小屋維持会W)

12・23
 教育基本法改悪反対!全国集会に5千
   共同戦線の前進を更に

 昨年十二月二三日、東京・日比谷公会堂で「子どもはお国のためにあるんじゃない!教育基本法改悪反対!12・23全国大集会」が開催され、全国から約五千人の労働者・市民が結集した。
 この集会は、昨年八月名古屋で行なわれた教育基本法改悪反対の合宿で大きな共同の場を作ろうと準備され、大内裕和さん(松山大)、小森陽一さん(東大)、高橋哲也さん(東大)、三宅晶子さん(千葉大)ら四氏が呼びかけ人となって、集会実行委員会の主催で行なわれたもの。
 会場には、開会前から入場制限されるほど多くの人々が集まり、入りきれない人々が外で独自集会を開くなど熱気に包まれた様子だった。
 集会では、呼びかけ四氏の内まず大内裕和さんが発言。教育基本法改悪は、「個性化教育」など新自由主義による差別化・序列化と、偏狭な国家主義という教育「改革」の二つの方向を固定化し、法的に追認するものであると基調的な批判を述べた。
 三宅晶子さんは、子どもの心を操作しようとする文部科学省の『心のノート』を批判。高橋哲也さんは、愛国心教育を実施しようとしているのは、現在の「戦争をする国家」作りの一環と批判した。
 続いて「しゃべり場」として、石原都知事・都教委の国家主義教育押し付けと闘う教員の仲間や、愛国心教育を批判する在日コリアン高校生など、全国のさまざまな人々二十三名がそれぞれの思いを語った。
 最後に小森陽一さんが、通常国会に教育基本法改悪案を上程させないよう全国で共同の輪を広げようと訴え、「教育における国家主義と差別化を推進し、再び戦争のできる『国民』づくりにつながる教育基本法の改悪を全力で阻止しよう」との集会アピールを確認して終了した。その後ただちに、銀座から東京駅へ街頭パレードを行ない、改悪阻止を広く訴えた。
 五千人の労働者・市民・学生が、教育基本法改悪が憲法改悪につながることに強い危機感をもって起ち上がったこと、立場の違いをこえて共同の行動を実現したことが重要である。とくに、日教組傘下の教育労働者と、全教の教育労働者とが一堂に会し、ともに起ち上がったことは画期的な出来事である。
 この大集会のような改悪阻止の広がりも影響して、小泉政権は現在の通常国会では、教育基本法改正案の提出を断念せざるを得なくなっている。教育基本法改悪阻止・憲法改悪阻止の共同戦線を拡大し、闘いのうねりを全国に構築しよう。(東京O通信員)