三里塚

止めよう!暫定滑走路11・30東峰現地行動
  故石井武さんの闘魂と共に

 十一月三十日、三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会の主催で、「止めよう!暫定滑走路 11・30東峰現地行動―空港反対同盟・石井武さん追悼―」が行なわれ、全国から百二十名余が参加した。
 国土交通省・空港公団は〇四年度からの民営化を控えて、二千五百m滑走路完成を目論み、東峰地区住民の頭上にジャンボ機を飛ばす「北側延伸案」なるものを明らかにし、脅しをかけている。さらに立木伐採を訴えた東峰神社裁判においては「和解」を申し立ててきている。それは「土地は公団のもの。部落が神社として使用する権利は認める」などで、根幹の土地の権利については一歩も譲らず、たんに現状を追認したもので、公団・黒野総裁は「和解が不調なら北側延伸もありうる」と脅しをかけているのである。
 東峰共同出荷場での集会では最初、司会の連絡会・高橋千代司さんが、「本日は、七月九日に亡くなった石井武さんの追悼を兼ねて力強くやっていきたい。二千五百m完成に向けての追い出し攻撃がかけられ、東峰神社裁判では和解というペテン的対応を行なってきているが、あくまで裁判勝利のため支援を強めよう。去る八日の反空港全国連の集会では、とりわけ静岡空港の土地強制収用阻止の課題を確認した。『空港はいらない静岡県民の会』など呼びかけの強制収用反対の署名活動に取り組もう」と開会のあいさつを行なった。
 次いで、多古町農民の加瀬勉さんが、「公団はB滑走路完成のために、子会社を作って九十億円ものカネを計上し、地元にばら撒くとしている。東峰神社裁判での和解案は、話し合いのテーブルを義務化し、移転と神社の土地問題を一括して解決しようとの策動である。また周辺の騒音問題でも住民の個人負担が百万円以上あり、問題となっている。成田用水でも、国の補助事業にはならず、結局住民が被害を受けている」と訴えた。
 続いて、東峰団結小屋の岩村嘉尚さんが、「小屋の前の廃材を撤去することとなり、公団が立会いを求めてきた。これは、大木よねさんの裁判の和解で、小泉さんが畑を公団から用地内に借りて耕作することとなり、その畑の対象地となったため。撤去後、公団より手紙が来て『東峰住民の方々と相談したい』と書いてきた。小屋に住んで以降、『東峰住民』と認定されたことはなかったが、これも、何がなんでも平行滑走路を完成させたい公団の意志の現れだ。これからも闘っていく」と決意を表明した。
 関西三理塚闘争に連帯する会の渡邊充春は、「代表の上坂喜美さんから、緊急課題としての静岡空港の強制収用反対をしっかり確認してほしいとの伝言です。先の反空港全国交流会には、関西から最大限の取り組みを行ないました。泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会のメッセージをよろしく」と発言し、さらに、釜ヶ崎日雇労組として三里塚闘争の先頭に立ってきて、去る六月に亡くなった藤井利明さんの遺影を掲げつつ、「釜日労は仕事よこせの闘いを、一年を越える野営闘争で闘っている。その中で代表派遣ができないが、関空反対闘争を野営の仲間が中心となり担っている」との組合のメッセージを紹介した。
 その後、石井紀子さんからの「ブタ汁を作って待っています。元気でデモをやってきてください」とのあいさつどおり、元気にデモに出発した。
 東峰団結小屋維持会は、久しぶりに「東峰」の字の維持会旗の下に行動に参加した。デモ隊は、平行滑走路の完成を阻んでいる開拓組合道路へのデモを行ない、真上を離発着するジェット機の轟音を跳ね返して抗議行動を行なった。デモ後、全体で東峰の共同墓地に向かい石井武さんの墓参りを行った。お墓の前で全員で黙祷を捧げた。
 共同出荷場にもどり、交流会。石井紀子さんが、「じいちゃんのお墓に行っていただき、ありがとうございます。多くの人々に支えられ最期まで家に居て亡くなった。今、じいちゃんと共にやっていると思ってます。公団の和解案は、強盗がピストルを突きつけながらゴメンナサイと言っているようなものです。公団は、東峰神社裁判で、東峰がまとまっていく材料を提供してしまったと思います。みんなで営農を続けています。不安だった気持ちから、何年でも大丈夫だという自信が生まれてきた気がします」と力強いあいさつを行なった。
 続いて、「成田空港の暫定滑走路の供用中止を訴えます」事務局、宮城電通労組、東水労青年女性部、プロ青同などがあいさつを行なった。
 最後に、一月十一日の〇四年「旗開き」(昼十二時半〜、農業研修センター)での更なる闘いの開始を確認して、行動を終えていった。
 なお、関西では二月一日・尼崎勤労センターにて、関西三里塚闘争に連帯する会・相談会の「旗開き」が行なわれることになっている。さらにスクラムを強め闘いを進めよう。(東峰団結小屋維持会 渡邊)

 東峰神社立ち木伐採裁判が12・5和解
   反対農民が事実上の完全勝利

十二月五日、新東京国際空港公団と成田市東峰地区の反対農家・住民七名は東峰神社立ち木伐採裁判について、千葉地裁での協議で和解した。
 具体的な和解条項は、以下の通り。一、被告(公団)は、原告(東峰農民住民)らに対し、被告が別紙物件日録記載の土地(以下、「本件土地」という)上の東峰神社境内地内の立木(神社林)を伐採したことについて、心から謝罪する。二、原告らと被告は、本件土地が一九五三年以来、原告らで構成される東峰部落の総有財産であることを相互に確認する。三、被告は、本和解成立後直ちに原告らに対して、本件土地について真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転手続きをする。四、本件土地は、上記東峰部落の総有に属するため、原告ら各自は、登記簿上の表示にかかわらず、持分を有しないことを相互に確認する。五、原告らと被告は、東峰神社の景観を回復するため、別途協議のうえ、東峰神社周辺(神社敷地の外側)に立木を植栽するものとし、その費用は被告の負担とする。六、被告は、東峰部落に対し、損害賠償等として金五〇〇万円の支払い義務があることを認め、本件和解成立後十日以内に同部落を構成する原告らの代理人にこれを送金して支払う。七、東峰神社に関する事項について被告が、一定の現状変更等を望むときは、被告は必ず、原告らによって構成されている東峰部落に対して協議を申し入れるものにすることを、原・被告は確認する。
 以上、原告の主張どおりでなかったのは、謝罪広告の新聞掲載と慰謝料の金額のみである。
 東峰農民の全面勝利である。公団は記者会見で、マスコミに配布した和解内容(骨子)で、二項の一九五三年以降総有であったこと、三項の真正な登記名義への所有権移転の手続をする、の内容を意図的に削除している。これこそ和解内容の本質部分なのだ。
 マスコミ報道では、この和解を、公団が用地交渉のために全面譲歩したから、というような報道をしているが、公団が和解提案をしたのは、土地の取得と立ち木伐採が明確に違法であり、敗訴がはっきりしてきたからである。民営会社への移行を前に負ける裁判を引き継げなかったためである。(S)


12月オルタ・フォーラム
 藤田進氏がパレスチナ問題で講演
  アラブの団結促す侵略拡大

 オルタ・フォーラムQの12月フォーラムが、十二月十三〜十四日の二日間にわたって、東京・お茶の水駅近くの明治大学リバティータワーで行われた。
 第一日目は、以下の四つの分科会が行われた。各分科会のテーマは、第一分科会が、「現代に生きる昌益の思想」(安藤昌益の会と共催)、第二分科会が、「社会の変革と文学」(葦牙と共催)、第三分科会が、「社会主義論の新展開」(社会主義理論学会の協賛)、第四分科会が、「教育基本法改悪策動と教育現場」である。
 第二日目は、オルタ・フォーラムQの総会と講演会が行われた。総会では、この間の経過報告ならびに今後の活動方向、そして会計報告が了承された。今総会では、会則と役員選出細則が初めて提案され、討論のうえ圧倒的多数で原案通り採択された(なお、この会則と役員選出細則は、『QUEST』の28号に掲載されている)。総会は、最後に新役員の選出が行われた。これは役員推薦会議の提案が、採択された。この結果、共同代表には、宇井純氏、岡本磐男氏が選出された。
 講演会は、「パレスチナ問題の歴史的起源」と題して、東京外語大学教授の藤田進氏から熱心な講演がなされ、その後、いくつかの質疑討論がおこなわれた。講演は非常にわかりやすかった。
 筆者の感想は、簡単にいえば次のことである。ユダヤ人問題は、ヨーロッパ・キリスト教の原罪ともいえるが、その問題の帝国主義者による「解決」は、イスラエル国家の建設であった。このことがいわゆる「パレスチナ問題」の起源であるが、そこにはかつての被抑圧者がその教訓を生かさずに、今度はアラブ人、とくに「パレスチナ人」を苦しめる側になるという歴史的パラドックスがある。その主因は、ユダヤ・ブルジョアジーを媒介とするユダヤ人のオリエンタリズムの受容である。だが、藤田氏もいうように、厳しい段階にあるとは言え、「パレスチナ問題」の明るい光りは、アラブ人民と団結したパレスチナ人民の粘り強い抵抗闘争であり、また、イスラエルの若者達の兵役拒否運動などであろう。アメリカ帝国主義のアフガニスタン侵略、イラク侵略はまた、アラブ人民の広範な団結と闘いを促さざるえない構造にもなっている。(東京T通信員)


憲法改悪の流れを打ち破ろう
  12・6全国交流集会シンポジウム

 改憲手続き法案反対の共同声明へ


 十二月六〜七日に全国各地の市民団体による「許すな!憲法改悪・全国交流集会」が東京で行なわれ、その前段に日本青年会館で六日午後、「憲法改悪の流れをうち破ろう・全国交流集会公開シンポジウム」が開かれて、各地から約一五〇名が参加した。
 シンポジウムでは、総選挙結果やイラク派兵問題を改憲情勢に関連させながら、山内敏弘さん(龍谷大学教授)と本田雅和さん(ジャーナリスト)がパネラーとして発言した。
 山内さんは、イラクでの日本人外交官殺害について、「占領当局に出向させた日本政府の責任と謝罪がなされず、逆に『遺志を受け継げ』と情緒的に叫ばれている。小泉首相はナショナリズム強化に賭けているのだろうか、要注意だ」と指摘した。また総選挙結果については「政権選択キャンペーンで二大政党制へ誘導されたが、これでは民主主義の多様な政治表現が否定される。やはり選挙制度を考え直すべきだ」と述べ、憲法問題を争点化していくためには、「改憲されたらどうなるのか、アメリカと一緒に世界中で武力行使をやることになってしまう、そういう訴え方が必要だ」等を提起した。
 本田さんは朝日新聞社会部記者で、十二月四日夕刊の「自衛官の妻、反対運動に参加」の記事を書いた人だが、早版では「あなたは人を殺せるの」という本質を突いた見出しであったのが、東京などの遅版では「相手にも家族」との抽象的な見出しに変えられてしまったという重要なエピソードを紹介してくれた。また「今、左派系の反フセイン派であるリカービ氏が笹川財団系の招きで来日しているが、米政府に嫌われフランスに亡命していた左派系については、日本政府が分担するという捻れが生じている」との、面白い取材の裏面も語ってくれた。(その後もリカービ氏は「あらゆる外国軍の駐留に反対」と明言しており、政府の抱き込み工作は失敗に終わったようである。)
 シンポの討議では、民主党や公明党などへの働きかけをどのように考えるか、働きかけは必要だがどの程度重視するか、そういう点が話題となった。
 シンポ後の全国交流会では、来年5・3へ向け共通の憲法改悪反対署名運動をつうじた共同行動を各地で発展させること、改憲国民投票法案阻止の闘いを強めることなどが確認された。
 なお、共同声明「憲法改悪のための手続き法案(憲法改正国民投票法案)の国会上程に反対します」の発表が一月に予定されており、現在、憲法関係など二十団体の呼びかけによって、この共同声明への団体参加が募られている。(連絡先は、許すな!憲法改悪・市民連絡会 FAX03−3221−2558)
(東京W通信員)