2004新春アピール
  新時代の政治布陣を
     
ブルジョア二大政党制に抗し、左翼の一大勢力を構築しよう!
                      労働者共産党 中央常任委員会

 (1)
 すぐる二〇〇三年は、米帝がイラク侵略戦争にのめりこみ、フセイン政権を電撃的に倒しはしたがイラク人民の反撃に足を取られ泥沼にはまった年であった。いまや二十万人ちかい米軍およびその指揮下の諸国軍がイラクで身動きがとれなくなってしまっている。
 「アフガン」につづく「イラク」のこの事態は、はじめの一歩に過ぎないだろう。
なんとなれば、これは何よりもまず、傲慢にも世界の支配者として振舞う米帝が仕掛けた、全世界の諸民族・人民に対する統治行為であり、世界各地で民衆の間に高まる反米の芽を暴力的に押し潰していく行為としてあるからである。いうまでもなく「反米」の背後には、多国籍企業のグローバルな搾取・収奪体系の発達によって飛躍的に加速した世界的規模の貧富の差の拡大、すでに10億人を超えた飢餓人口の急膨張という現実がある。「反米」の芽を押し潰すための軍事行動は、民衆に対する戦争であり、民衆の反乱を燃え上がらせてゆかずにいないものである。
 また「イラク」のこの事態は、副次的に暴力的な市場再分割の側面を含んでいる。国際反革命同盟体制の主柱たる米帝が、「大量破壊兵器」を口実としたイラクへの侵略と軍事占領をテコに、イラクにおける利権を好き勝手に再配分しだしているのである。世界市場再分割が現代的在り方であれ暴力的形態にまで至ったこと、帝国主義諸国間において盟主の地位にある超大国が勝手に振舞い出した事態は、支配秩序を維持する立場からすれば深刻である。
 こうして諸国家は国の大小を問わず、唯一の超大国の新たな政治戦略への対応と秩序崩壊への対処とを厳しく求められているのである。

(2)

 すぐる二〇〇三年、わが国では、この間「改革」の対象とされてきた戦後政治―米帝の庇護の下での平和を前提としたケインズ主義・利益誘導型政治が、依然それなりに力を保ちながらもヘゲモニーを喪失した。九月の自民党総裁選における「抵抗勢力」の分裂と小泉・青木連合の勝利は、そのことを象徴する事件であった。また十一月の総選挙における社民党、共産党の凋落も、戦後政治を構成してきたその反対派の無力化であった。
 支配階級は、総選挙をテコに、危機の時代に対処するための二大政党体制を浮上させた。とはいえわが国の支配階級が対処を迫られる内外の矛盾は深刻なものである。
 小泉政権は、わが国の支配階級が危機の時代に対処する際の一つの選択肢たる路線を鮮明に押し出してきた。
国際関係では、対米追随一辺倒の軍事貢献路線である。米帝の求めに従ってイラクの戦場に派兵することを決定し、国家の在り方を侵略国家へと大きく舵を切った。しかしこの対米追随一辺倒の路線は、勃興する東アジア市場に活路を求めるわが国ブルジョアジーの大きな部分の不満を醸成しつつあり、また何よりも世界、とりわけ中東・アジアの諸民族・人民の怒りを巻き起こさずにはいない。また内政では、グローバルな産業再編成の波と国家財政の破綻とに促迫された「市場万能主義」の構造改革路線である。しかしそれは、旧来の労働行政、学校制度、年金制度、生活保護制度などブルジョア的社会システムの崩壊を右から加速し、生存の必要に発して新たな社会システムを求める社会革命の萌芽的諸運動を民衆の間に引き起こしている。小泉政権は、民衆に対する監視の体制を強化した。また与党の自民党・公明党は年末に、税制改正大綱をを決定し、消費税を含む大増税への道筋を鮮明にした。
 支配階級は、当然にも危機の時代に対処する際の政治選択の幅を手にしようとする。だがかかる選択肢の幅は広くない。米帝の覇権は基本的に受け入れざるを得ないし、新自由主義経済政策を推進する以外ない。とはいえ自国の多国籍企業の利益を確保し、自国の支配秩序を保たなければならない。そのためには国際関係では、東アジアとの一体性を高めることで対米自主性をある程度確保する選択肢が、内政では、民衆運動に対してある程度懐柔・包摂する選択肢が、時と共に一層切実になっていく。機能するかどうかは別として、二大政党体制を創り出した所以である。
 支配階級は、侵略国家への転換を強行し、新時代の政治布陣を浮上させた。労働者階級・人民に新時代の政治布陣の構築が問われている。

 (3)

 迎えた二〇〇四年、われわれはこの年を反撃の転回点としていかねばならない。
 新しい社会の在り方を模索してたたかう地域の民衆運動に立脚して、国会内の力関係に目を奪われることなく当面その外部に無視できぬ左翼の一大勢力を浮上させることである。主体的な力量を高め、二大政党間にも、二大政党それぞれの内部にも反映する支配階級の内部矛盾の拡大をしかっり利用して、民衆運動発展の政治空間を押し広げていくことである。
 このような左翼の勢力は、今日では、民衆運動の国際的なネットワークの発達に立脚した国際的勢力として自己を形成してはじめて、まさに敵をして心胆寒からしめる一大勢力へと浮上することになるだろう。なぜならたとえば、多国籍企業の強さの最大の条件の一つとなっている国際的な規模の膨大な失業・半失業労働者の使い捨て構造は、失業・半失業労働者の国際的に連帯た闘いの発展によってのみ、その横暴を統制できるからである。また失業・半失業労働者層の国際的に連帯した運動の発展こそが、世界の膨大な人口部分が生存さえ保障されなくなっている現実と資本主義との不可分の関係を白日の下に晒し、またもう一つの社会の在り方を実践的に提起し、そうすることで資本にとっての最大の強みを最大の弱点に転化しうるものだからである。
 大きく連帯し、左翼の一大勢力を浮上させ、断じて政治の流れを変えていこう。またそのためにも、わが党建設と共産主義者の団結・統合を着実に前進させよう。