北海道

  陸上自衛隊は行くな!旭川12・14、札幌12・20と
    派兵反対の声一色に


 米英国のイラク侵略戦争に追随する小泉政権は12月9日、遂に閣議決定をもって自衛隊のイラク派兵を決定した。
 陸上自衛隊の第1陣として派遣される北部方面隊第2師団がある旭川市において12月14日、全国から2,200名を結集し、「イラク派兵に反対する全国集会」が平和運動フォーラムの主催で開催されました。
 会場には、戦争国家へと突き進む日本の政治のあり方への批判と、実際的に派兵されることによって「殺し、殺される」関係がつくりだされることによる事態を憂慮する労働団体、市民団体、一般市民が多数参加した。集会は現実の厳しさを肌で受け止め、それぞれが緊張した面持ちで参加し、発言者の挨拶、アピールを聞き入っていた。
 集会後のデモ行進では、心をひとつにした派兵阻止のシュプレコールが市内をこだまし、大衆的に訴えることが出来た。
 今回の派兵は、ほとんどが北海道に駐屯する陸上自衛隊から選抜され派兵されることから、先の集会主催の平和運動フオーラムをはじめとして、北海道連合も12月に入ってから各地域で連鎖的に派兵反対集会を開催している。また、自衛隊員・家族からの意見、真実の声を集約する「ホットライン」も11月末に設置され、多くの意見が寄せられていることも現実である。
 更には、全道二百十四市町村自治体でも毎日のごとく12月議会の開会中でもあり、意見書、反対決議があげられ、まさしく、自衛隊に依存した自治体も数多くある中、戦争反対の声一色に染められつつある北海道でもある。
 市民団体も札幌を中心にネットワークを結成し、全国に呼びかけた「人間の鎖」を12月20日に取り組みました。全国から400名が参加し、札幌市にある陸上自衛隊北部方面総監部を取り囲み、それぞれ思いを込めた激布を手にもち、要請文も手渡すことが出来た。
 全国的には8割越す反対の声がありながら、「外交官」2名が殺害されると、それさえ派兵のための口実に使う小泉政権、戦前の侵略戦争がそうであったように、まさしく、戦争国家へまっしぐらの反動政権を大衆的行動で打倒していかねばならない。
 北海道は、正月返上で「反戦・反派兵」で闘う。(北海道M通信員) 

 
愛知・小牧

自衛隊のイラク派兵を止めよう!12・7現地行動
  
空自輸送機を飛ばすな

十二月七日、フェンス越しにC130輸送機が見える名古屋空港南端の公園エア・フロント・オアシスで、「自衛隊のイラク派兵を止めよう!小牧基地からC130輸送機を飛ばすな!12・7小牧現地集会&デモ」が闘われた。名古屋空港東側が航空自衛隊小牧基地となっている。
 この日の行動は、とにかく集まって気持ちを伝えよう!と、愛知の「有事法制反対ピースアクション」が呼びかけたものであった。地元の愛知県内はもとより全国から駆けつけた仲間二〇〇人余が、冷たい雨の中、派兵反対の現地行動を行なった。
 集会では、主催者を代表して水田洋さんが、「ブッシュはベトナムの過ちを繰り返そうとしている。イラクに派兵された米兵が休暇中に脱走している。それは一千人を越えている。日本の自衛官も派兵されたら米兵と同じように逃げ出してほしい」とあいさつ。つづいて広島(ピースリンク広島・呉・岩国など)、大阪(しないさせない戦争協力ネット、関西共同行動)、京都(アジア共同行動)、浜松(NO!AWACSの会)、東京(新しい反安保実Z)など各地から共に闘う発言が行なわれ、また沖縄、北九州、神奈川、さらに韓国民主労総からのメッセージが紹介された。
 集会後は、それぞれが思い思いに作ってきた「ブッシュの言いなりになるな!」などのゼッケンやプラカードを掲げて、小牧自衛隊基地正門前までの約三キロをデモ行進し、小牧基地の溝口博伸司令と自衛隊員に宛てた申し入れ書を手渡した。この申し入れでは、「イラクへの派兵を中止するように上申して下さい」、「派兵は憲法違反であり、基地司令は自衛隊員の『志願辞退』の自由を尊重してほしい」と呼びかけた。
 参加者は、今後も自衛隊員とその家族に呼びかけながら、年末から新年にかけて反派兵闘争を強め広げていくことを申し合わせて、この日の行動を終えた。
 小牧基地は航空自衛隊で唯一、C130輸送機を保持している基地である。今回、対ミサイル防御装置が装備された三機が、一月中旬にイラクに派遣されることが予定されており、既に機体の色が空色に塗りかえられて派遣準備がすすめられている。
 「有事法制反対ピースアクション」が、十一月二十一〜二十二日開設した「自衛隊・家族ホットライン」には、今回派遣が予定されている自衛官の家族から電話がかかってきて、「アメリカが勝手に始めた戦争に大事な息子が行かされるのはたまらない」といった相談が寄せられている。
 アメリカ帝国主義の利害をむき出しにしたイラク侵略に加担すると公言している小泉政権に対して、派遣を止めさせるには、人民の反派兵のたたかいを盛り上げる以外にない。日本が再び戦争の道に進まないためにも、一人ひとりの思いを今こそ、声に出して行動に表さなければならない。(東海S通信員) 


12・7東京

もう犠牲者はいらない 派兵中止を!緊急行動
  外交官の死は小泉の責任

 小泉政権が自衛隊イラク派兵基本計画の閣議決定を強行(十二月九日)した前後には、東京では街頭、首相官邸前、国会前などで数多くの派兵反対行動が繰り広げられた。かってない政治的亀裂の中での閣議決定強行によって、世論一般にも、これは何か重大な誤まりではないのかという不安が広がっており、反戦平和勢力は派兵阻止の決意を一層高めて闘い続けている。
 これらの闘いの一つとして十二月七日、東京・銀座で「もう犠牲者はいらない・わたしたちはイラク派兵の中止をもとめます!12・7市民緊急アクション」が行なわれた。主催は、戦争反対・有事をつくるな!市民緊急行動などの市民団体と平和フォーラムなどによる実行委員会。
 その前の十一月二九日に、米英占領当局に出向していた日本政府外交官二名がイラクで殺害される事態が起き、日本社会に衝撃を与えた。この日の行動は、彼らの死を「ブッシュ大統領や小泉首相による戦争の犠牲者」として捉え、小泉が「テロに屈してはならない」などとして事件の教訓から学ばず、かえって「遺志を継げ」と叫んで派兵強行に走ろうとしていることに強く抗議する行動となった。
 水谷橋公園での短時間の集会中に、数百人しか入らない狭い公園は参加者であふれ出てきたが、日比谷公園までのピースパレード出発の時点では七〇〇名近い参加となった。
 集会では、実行委員会からは高田健さん、平和をつくり出す宗教者ネット、イラクで開戦反対の「人間の盾」を行なっていた神崎さん、納税者ネットワーク、ジャミーラ高橋さんらが、次々と不法なイラク占領に自衛隊を送ってはならない、殺すな殺されるなと訴えた。
 神崎さんは「人間の盾」をやっていた時期、殺された井ノ上書記官とは付き合いがあった。彼は帰国を促がす説得役であったが、「君らの気持ちは分かる」という人であったという。神崎さんは、「これはテロなのかテロでないのか、という論議もあるが、そんなことはどちらでもいい。死者をもう出すな、死者を増やす自衛隊派兵を絶対やめろ、ということだ」と述べた。
 集会の司会者は、バグダッドから日本のNGOに送られてきたメールに注目しようと呼びかけた。このメールは要旨、次ぎのように訴えている。
 「私はイラクのバグダッドで暮らす高校教師です。私は空手と日本語を学びました。米国の侵略を支援するためにイラクに日本の軍隊が来るというのは、私たちにとって恐ろしいニュースでした。今、ますます多くの人々が抵抗運動に参加しています。かれらは旧体制の残党でも、テロリストでもなく、普通の人たちです。イラク人は日本を尊敬していますが、今、日本の軍隊がイラクに来れば、日本はイラク人とイスラム教徒全体の敵になるでしょう。侵略者が去った後なら、私たちは日本を歓迎します。しかし断じて『今』ではないのです。私たちの敵にならないでください。私たちは、日本が独立した国として正しい決定をすることを願っています。」
 自衛隊イラク派兵が、きわめて重大な誤まりであることは明白である。(東京A通信員)


12・20大阪

日本の参戦を止めよう!
  伊丹基地包囲1・25行動へ

 小泉内閣は、戦争屋米国ブッシュと一体化しイラクへ自衛隊を派兵する道を、十二月九日の基本計画閣議決定によって踏み出した。十九日には防衛庁長官石破が、航空自衛隊先遣隊に「派遣命令」、陸・海自に「準備命令」を出した。二六日には小牧基地より、先遣隊をイラク周辺のクウェートやカタールに出兵させようとしている。
 「戦争をしない国」から「戦争をする国」への再転換に対し、関西の地でも緊急の派兵反対行動が取り組まれた。
 十二月九日には、大阪平和人権センター主催で、イラク派兵反対集会が大阪市北区の扇町公園に自治労を中心に四千名を結集して開かれた。
 十二月二十日には、「しないさせない戦争協力関西ネットワーク」と「おおさかユニオンネットワーク」の主催で、「日本の参戦を止めよう12・20怒りの市民行動」が取り組まれた。
 まず午前中に、「しないさせない」が中心に自民党大阪府支部連合への抗議行動が、同時刻にユニオンネットを中心に公明党大阪府本部への抗議申し入れが、各々三十名近くで取り組まれた。
 午後一時には、大阪市役所南側の中之島公園女神像前に、二百名が結集して緊急集会。午前中の抗議行動の報告の後、最後にユニオンネットの馬場徳夫さんが、「こうした行動と同時に、最後の闘いは一人ひとりの職場での闘いとなる。自分の出身である全港湾では、港湾役務で直ちに戦争遂行業務が『業務命令』として出される。拒否すれば解雇される可能性がある。また中小企業では、業務を受けなければ倒産や種々の矛盾した事態が労働者一人ひとりに起こる。真に戦争に反対し、派兵を許さない闘いに労働者が職場からストライキで闘える準備が問われている」とまとめた。
 参加者は公園を出発し、西天満周囲をデモ行進し、梅新東より在大阪神戸米総領事館への抗議行動を行なった。
 関西では派兵阻止行動が、京都で一月十七日に、また広範な共同行動として一月二五日には、二年ぶりに伊丹駐屯地に対する包囲抗議行動が準備されている。(十二月二十日、伊丹ホールにて1・25行動実行委の結成集会が行なわれた。)
 なお、十二月十九日より「イラク派兵・自衛隊員とその家族のための電話相談」が開設された。大阪社会文化法律センターの主催で、武村二三夫弁護士、丸山哲男弁護士等五名の呼びかけによるものである。(原則として毎週土曜午後一時〜三時、電話06−6367−1213)。(関西S通信員)


連合などが「自衛隊派遣反対12・14集会」
  民主党の「反対」姿勢に野次

 十二月十四日の日曜日・午後、中央労働団体・連合が中心となって「イラクへの自衛隊派遣反対12・14集会」が東京・日比谷野外音楽堂で開催され、労働組合や市民団体など五七〇〇名が参加した。参加した労働者・市民は、集会とその後の銀座方面へのデモで派兵阻止の気勢をおおいにあげた。主催は、連合、平和フォーラム、各市民団体、民主党、社民党など二十一団体による実行委員会。
 連合中央が民主党とともに今回、曲りなりにせよ自衛隊イラク派兵阻止の大衆行動に取り組むことになったことは、これまでの自衛隊派兵の場合には例が無かったことである。このことは、小泉政権のイラク特別措置法に基づく自衛隊派兵の方針がいかに政治的に孤立したものとなっているか、戦場への派兵方針がいかに広範な拒否にぶっかっているかを示している。
 集会は、最初に阿部道郎・連合総合組織局長の司会あいさつのあと、主催の実行委員会を代表して清水俊弘・日本国際ボランティアセンター事務局長が登壇、「米英の占領に大義がないことが明らかとなり、イラクの人々が占領軍を追い出す大義が生まれている状況となっている。このなかで自衛隊を出すことは絶対許されない」と訴えた。
 民主党からは岡田克也幹事長があいさつ。彼は、「今回の自衛隊派遣は、憲法違反の武力行使となるから反対だ」と述べたまでは良かったが、「将来も自衛隊を派遣するなとは言っていない。国連決議が成されイラク政府が確立されれば、そういう選択肢もある」などと述べるや、会場からは激しい野次が沸き起こり、これに対し、「民主党は一国平和主義ではありません!」などと岡田氏が応酬する一幕があった。
 つづいて登壇した社民党の福島瑞穂党首が、「いかなる場合にも自衛隊を出してはなりません!」と述べると、大きな拍手が寄せられた。
 連合からは笹森清会長があいさつ、「今月三日に政労会談を行なったが、連合はイラク派遣に明確に反対すると小泉首相に伝えた。彼は沈黙していたが、そのまま九日に閣議決定を強行したのは、説明責任の放棄で許されない。連合は徹底的に闘う」と表明した。
 最後に、松浦利明・日本青年団協議会会長があいさつしたあと、I女性会議(旧日本婦人会議)の津和慶子さんが集会アピール案を読み上げ、拍手採択された。
 しかし、このアピールは、主催者あいさつで清水氏が「イラクの人々のレジスタンス」と述べているにもかかわらず、「イラクで起きている卑劣なテロ」と「市民が犠牲となる米英軍の武力行使」を同列に並べて批判するというトンチンカンなものであった。国際法違反のブッシュ政権への追随と自衛隊の戦地派兵を非難しているのはよいが、自衛隊イラク派兵に反対する核心、侵略を許さない、イラク民衆に銃を向けてはならないということを曖昧にする内容となっている。
 連合が自衛隊イラク派兵に反対するのは重要なことだが、帝国主義労働運動のセンターとしての連合の路線には、いささかも幻想を持つことはできない。連合内外から、労働者のイラク侵略反対闘争を盛り上げていこう。(東京W通信員)


小泉政権 イラク派兵「基本計画」閣議決定を強行
  戦闘地域へ重武装で

 小泉自公連立政権は十二月九日、自衛隊イラク派兵基本計画(イラク特別措置法に基づく対応措置に関する基本計画)の閣議決定を強行し、つづく十八日その実施要項を承認した。
 この閣議決定は、米ブッシュ政権に日本の自衛隊イラク派兵の確定をアピールするとともに、日本国内の派兵反対の世論に屈服を強いてしまおうとするものである。しかし、今回の、殺し殺されるイラク戦地派兵に対する反対や疑問は、これまでの自衛隊PKO派兵や対テロ特措法での給油艦派遣の時と比べてもかってなく広範なものがあり、首相小泉が実際の部隊出動をすぐに強行することは容易でない情勢が続いている。
 またイラクでは、イラク民衆の占領軍撤退を求める闘いがいぜん発展しつつある。十二月十四日、米占領軍はサダム・フセインの身柄拘束を発表したが、このことは、占領軍に対する闘いがフセイン復活を狙う「テロ」ではなく、占領軍即時撤退を求めるイラク人民の正義の抵抗闘争であることをよりいっそう鮮明にしていくだろう。
 派兵基本計画の実施を阻止し、イラク特措法に基づく自衛隊派兵方針を粉砕しよう。
 基本計画では、派兵開始の時点を明記しないまま、「派遣期間」を、〇三年十二月十五日から〇四年十二月十四日の一年間としている。期間延長手続きは記されていない。「規模」では、陸上自衛隊六〇〇人以内、輸送機を始めとした軍用機八機以内、輸送艦など艦艇二隻と護衛艦二隻以内としている。(この陸海空三軍の人員は一千人を越え、これまでで最大規模となる)。「装備」では、陸上自衛隊が装輪装甲車、軽装甲機動車、機関銃などに加え、初めて「無反動砲および個人携帯対戦車弾」で武装し、戦闘に備えることになっている。
 これらの派兵部隊が行なう任務は、「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」とされている。基本計画では政治的配慮から、医療・給水・公共施設復旧などの「人道復興支援活動を中心とした対応措置を実施する」と前者の任務を強調しつつ、しかし、「安全確保支援活動」と称して、米英占領軍の「活動を支援するため、人道復興支援活動に支障を及ぼさない範囲で」輸送・保管・通信・補給などの軍事行動ができるとしている。
 「区域の範囲」としてイラク国内では、「バグダッドの連合軍司令部」や「バグダッド飛行場」等、「ムサンナ州を中心としたイラク南東部」と広範囲に指定しており(サマワという街だけではない)、イラク特措法や基本計画が前提とする「非戦闘地域」という限定などほとんど意味を成さない範囲となっている。
 関連して十二月十五日の衆院イラク特別委員会・閉会中審査において、防衛庁長官・石破は、「地域を明らかにすれば、隊員の安全確保、情報確保に障害を与える」と答弁し、活動区域は軍事機密であるとしている。
 また基本計画では、「関係行政機間の協力」として、「イラク復興支援職員の採用に当たり、関係行政機間もしくは地方公共団体または民間の団体の協力を得て、広く人材の確保に努める」としている。政府は当面、文民派遣は見送るとしているが、自衛隊員だけでなく地方公務員や民間労働者も戦場へ送るつもりであることを明記している。
 基本計画決定時の小泉の記者会見は、きわめて反動的なものであった。
 小泉はまず、「危険な任務に赴こうとしている自衛隊に、国民が敬意と感謝の念をもって送りだしてほしい」と述べた。まさに「兵隊さん、ありがとう」の時代が再びやってきてしまったのである。十一月二九日に殺害された外交官二名の六日の葬式でも、小泉は「お二人は日本国、日本国民の誇り」だ、「遺志を受け継」げと涙声で叫び、情緒的な扇動を行なった。占領当局に当初から二人を出向させ、占領当局の会議に行く途中において抵抗勢力の標的とさせた政府の責任、川口外相の職責を棚に上げて、二人を「英霊」化し、国民に後に続けと叫んでいるのである。自衛隊員がもし死んだら、「靖国」が全面復活する事態が予想される。小泉は、「戦争に行くのではない」と繰り返す一方で、「日本国民の精神が試されている」と異常な発言を行ない、血を流す覚悟を国民に迫っているのである。
 また小泉は、広範な反対世論を気にして、派兵は「憲法の理念に沿った活動」だとデタラメな発言を行なった。小泉は、憲法前文の「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」の部分を曲解した上で摘み食いし、日本帝国主義の飛躍を懸けて「一国平和主義」の反動的突破を号令しているのである。前文の「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」や、第九条はまったく無視されている。しかし小泉よ、現実の「国際社会」は、イラクへの派兵など求めてはいない。イラク復興支援を国連加盟国に求めている国連決議は何本もあるが、「加盟国に兵力を含む貢献を要請」した安保理決議1511は、その核心部分(多国籍軍の創設)が実行されないまま死文化しているのである。米英の連合軍に参加しているのは、国際社会の不名誉な少数派にすぎない。
 また小泉は、「戦争に行くんじゃない。しかし、テロリストに対して正当防衛はしなきゃいけない。そのための装備はしていく」と述べた。関連して石波は閉会中審査でも、「戦闘行為は、国または国に準ずる組織が主体だから、テロリストの場合は、戦闘行為にならない」との暴論を繰り返している。占領軍に対する国民の抵抗権の行使は「テロ」である、民間勢力に対してはせん滅しても法的に武力行使にはならない、などという国際法的にもデタラメなことを公言している。これがブッシュ直輸入の対テロ戦の「論理」だ。イラクで自衛隊が、殺し殺されても完全に居直るつもりなのである。
 不法な占領を排除せんとする抵抗権の軍事的行使が、なぜ「テロ」なのか。それは小泉が、占領の起点であるイラク攻撃が合法であり、「米英を支持した決断はいまでも正しい」としているからである。ブッシュは、フセイン政権が国際社会の安全を脅かし国連の安全保障措置の対象となっていたということをいぜん証明できていない。それで、なし崩し的に、「大量破壊兵器の除去」というより「政権打倒」そのものが必要であったと強弁するようになった。こんにち小泉も、「政権打倒」そのものが戦争目的であってもかまわないとし、この違法な先制攻撃論を擁護しているのである。
 自衛隊イラク派兵は、とてつもない誤まりである。一月中旬以降とされる輸送機の出動、二月以降とされる艦艇の出動と陸上自衛隊の派兵を全力で阻止しよう。(F)