ピョンヤン宣言1周年
 9・17朝鮮半島の平和と日朝国交正常化をめざすめざす集い【東京】
   逆流許さず北東アジアの平和実現へ

 日朝ピョンヤン宣言が出されて一周年になる九月十七日、東京・文京区民センターで「日朝平壌宣言から一年 朝鮮半島の平和と日朝国交正常化をめざす集い」が行なわれ、二百人近くが参加した。主催は、日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)などが呼びかけの実行委員会で、ワールドピースナウが協力し実現した。
 最初に、主催者を代表して日韓ネットの渡辺健樹共同代表が、ピョンヤン宣言以降の情勢を報告。ブッシュ政権のイラク侵略戦争とこれを支援する小泉内閣のイラク特措法の制定、そして朝鮮民主主義人民共和国の核問題や拉致問題を口実としての朝鮮侵略のもくろみという危険な状況に対し、日朝日韓民衆の連帯した力でピョンヤン宣言からの逆行ではなく、それに基づく日朝国交正常化を実現することこそが北東アジアの平和に寄与するものであることが訴えられた。
 メイン報告では、松尾高志さん(大阪経済法科大学客員研究員)が「朝鮮半島『危機』の平和的解決と日朝正常化」のテーマで六者協議などを分析、「小泉のイラク派兵は朝鮮情勢をにらんでいる。六者協議の一方で、核不拡散を掲げた有志連合が動いている。戦うな!平和のための政策を」と訴えた。
 また、西野瑠美子さん(戦争と女性への暴力日本ネットワーク共同代表)が「戦後補償運動と日朝正常化」のテーマで報告。軍隊「慰安婦」問題に長らく取り組んできた立場から、「ピョンヤン宣言が戦後補償をあっさりと片付けてしまったことはショック。反北キャンペーンが高まる一方、戦争責任は何も解決していない。石原都知事は被害者に対する暴言を吐いてきたが、爆弾テロは日本国民の怒り、とまで言い出した。石原辞任こそ治安対策の第一です」と述べた。
 続いて、朝鮮学校の大学入学試験資格差別撤廃などを訴える在日青年、イラク反戦運動ではワールドピースナウ、反グローバリゼーションを訴える「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン、北朝鮮人道支援ネットワークジャパン、反天皇制運動健絡会、在日韓国民主統一連合がそれぞれの発言を行なった。
 採択された集会アピールでは、自衛隊イラク派兵について、「これは、日本の『戦争国家』化を画する決定的な節目であるばかりではない。日米共同の『第二次朝鮮戦争』に向けた、実戦による自衛隊の精鋭化のプロセスでもある。私たちは、自衛隊のイラク派兵も、朝鮮半島への派兵も断じて許さない」とし、朝鮮半島の平和とイラク派兵阻止を関連付けて闘う立場を明確にした。
 またアピールは、日本政府には早期の日朝正常化を求めるとともに、米国に対しては「北朝鮮に対し不可侵を保証し、休戦協定を平和協定に転換し、国交樹立を含む米朝関係の抜本的改善に向かうことを要求」し、共和国に対しては「核兵器開発を行なわないことを要求する」としている。
 日韓・日朝民衆連帯で日・米両帝国主義の侵略戦争策動と対決し、北東アジアの平和を実現しよう。(東京Ku通信員)


9・17日朝平和と友好の集い【大阪】
  差別と虐殺の過ち繰り返すな!

 九月十七日、昨年小泉首相がピョンヤンに飛び日朝ピョンヤン宣言を発表してからちょうど一年の日、大阪市・森ノ宮のアピオ大阪小ホールで約五〇〇名が集まり、「ピョンヤン宣言から一年 日朝平和と友好の集い」が開催された。主催は実行委員会。
 集いは、大阪朝鮮歌舞団の踊り、日朝音楽交流会による歌とピアノで始まった。
 記念講演では、吉田康彦氏(大阪経済法科大学)が「日朝国交正常化に向けて――小泉訪朝一周年の課題」とのタイトルで講演を行なった。
 吉田氏は次のように述べた。この一年、マスコミは異常なほどに拉致報道に明け暮れ、日本人の感情を煽り、憎しみだけを作り出した。それでは何も解決しない。根本には、朝鮮戦争がいまだに休戦状態のままであることがある。朝鮮戦争での国連軍は、ソ連が安保理をボイコットしている時を利用して米国が作ったもので、手続き上も矛盾がある。日朝ピョンヤン宣言は、こうした敵対状態を変え北東アジアの平和と安定を実現するための第一歩であり、国際的には高く評価された。吉田氏は最後に、日本政府はピョンヤン宣言を守り行動に移して、日朝正常化に真剣に取り組むべきであると強調した。
 友好の集いは最後に、全港湾大阪支部青年部、在日本朝鮮青年同盟大阪本部など四団体のアピールで終わった。
 先の九月一日は関東大震災八十周年であったが、私達日本人が歴史上忘れてはならないことは、国家権力のデマに誘導され日本の民衆が六六〇〇人以上の在日朝鮮人を、すなわち女性・子どもを含む当時の関東の在日朝鮮人の五人に一人を、自警団(関東一円に三六八九の自警団が組織された)などの手によって虐殺したことである。その事実をしっかりと覚えておくべきである。
 今日また、在日朝鮮人とりわけ在日の学生に対して、日本人は排外主義を煽り、暴力、嫌がらせ、差別を堂々と行なっている。同じ歴史を絶対に繰り返してはならない。
 いま日本帝国主義は、憲法改悪に向け、有事法制、テロ特措法、イラク新法など侵略の道を歩んでいる。私達は、朝鮮人大虐殺事件、植民地支配と強制連行、軍隊「慰安婦」、同化政策などこの史実を忘れず、大きく事実を伝えながら、日朝国交正常化を求めるべきである。朝鮮半島の自主的平和統一に向け、日本の戦争をする国家体制作りに反対し、アジア民衆との友好連帯を強く訴えよう。(大阪N通信員)
 

大阪9・25
  日朝日韓民衆連帯九月行動 在日諸団体も一堂に
    日韓労働者の連帯で平和を

 九月二五日、グローバリズム反対!朝鮮半島・東アジアの平和確立を!と題して「日朝日韓民衆連帯九月行動」の集会・デモが同行動実行委員会(五十七団体参加)の主催で行なわれ、大阪・中之島中央公会堂にて八〇〇名を超える参加であった。
 集会は、司会をヨンデネット大阪(日朝日韓連帯大阪連絡会議)の山口さんが行ない、おおさかユニオンネットワーク、ヨンデネット両代表の馬場徳夫さんが開会挨拶を以下のように行なった。
 「これまで交流を続けてきた韓国の民主労総全北本部の仲間六人を迎え、また在日団体とともに集会を持つことができた。米国は今もイラク占領と中東支配を行なっており、それに小泉が加担している。小泉は昨年の9・17日朝宣言を踏みにじり、民族排外思想をあおっている。十月中旬にはブッシュが訪日訪韓するが、小泉にイラクへの自衛隊派兵を求めるだろう。我々はイラク派兵に反対である。韓国の労働運動も多国籍資本のグローバリゼーションに反対し、弱肉強食社会の形成に反対して盛り上がっている。このグローバリズム・新自由主義反対は日韓とも欠かせない課題である。日韓労働者の連帯で東アジアの平和を実現させよう。」
 次いで韓国民主労総の六名の仲間が登壇し、以下のようにアピールしてくれた。
 「日本を訪れて美しい国だと思ったが、一方で民衆、労働者が苦しんでいるのを目にした。また韓国の民衆、労働者も苦しくなっている。これは米国をはじめとする超国家資本のためである。多国籍企業は民衆の地位も生活も向上させない。我々はそれでグローバリズムに反対してゆかねばならない。また米国は北朝鮮が脅威であるとして圧力をかけているが、北朝鮮はそれ程強くない。人口も日本の五分の一に過ぎず、軍事費も十分の一である。米軍のイラク攻撃はイラク民衆を解放するのではなく、被害を与えただけである。日本はその米軍に追従している。日本は北攻撃を止めるべきである。日本は弱い者イジメをしようとしている。私たち韓日の民衆は連帯して人間の平等を実現していこう。皆さん『に闘争』という言葉を送ります。」
 在日諸団体から以下のように次々とアピールがあった。
 朝鮮総連大阪府本部。「冷戦が終わって十年になるが、今、偏狭なナショナリズム、排外主義があおられ、人権がないがしろにされている。そのうちこれに反対する平和勢力に圧力がかけられる。私たちにも重い課題があるが、大局的にはグローバリズムに反対し、南北共同宣言、日朝ピョンヤン宣言をおしすすめ、北東アジアの平和を実現しよう。」
 在日韓国民主統一連合大阪府本部。「私たちは一九七三年結成以降、祖国の政権に反国家団体であるとされてきたが、今年九月、三十名が初めて韓国を訪問することができた。我々と支援者の運動の成果である。今後も朝鮮半島の統一のために運動していく。」
 在日韓国民主人権協議会。「日朝正常化、日韓市民連帯を市民のネットワークを作ってすすめ、私たちも平和のために闘う。」
 在日高麗労働者連盟。「米軍は情報操作により、大義名分もなくイラク人を殺した。日本も追従しているが、今こそピョンヤン宣言に沿って過去・現在・未来を考えていく機会である。過去日本は植民地支配を行なったが、とくに今日の在日児童攻撃は許すことができない。これに逆らう人は袋叩きにしようとしている。日朝正常化のために共にがんばろう。」
 次いで自治労大阪府青年部が、「昨年五月に青年が枠を越えて反戦に立ちあがったが、未来を担う青年が民族・人種を越えた友好の絆を作ってゆきたい。大阪、アジア、世界へ。」と発言した。
 最後に「南北共同宣言、日朝ピョンヤン宣言の意義を風化させることなく、民衆の声を大きく広げてつないでいこう。米英を中心としたイラク占領軍の即時撤退を求める。本行動が、9・27国際連帯行動に連動した取り組みであることを確認する」との集会宣言を採択した。
 集会後、米総領事館前で抗議しつつ大阪中郵までのデモ行進を力強く行なった。
 なお今後大阪では、10・21国際反戦デー大阪集会(中之島剣先公園、午後六時)をユニオンネット中心に行ない、続いて10・25の世界一斉行動においては米英のイラク占領反対・即時撤退・日本の派兵反対を掲げて国際統一行動(扇町公園、午後二時)を全力で闘って行く。(大阪H通信員)


韓統連 30年ぶりの故国訪問
  国家保安法の撤廃不可欠

 在日韓国民主統一連合(韓統連)は、九月十九日から二十二日まで「海外民主人士の名誉回復と帰国保障のための汎国民推進委員会」の招請と韓国政府の許可により、三十年ぶりに韓国帰国を果たすことができた。
 「海外民主人士の秋夕故国訪問・韓統連故国訪問団」として、ヨーロッパから四名、韓統連二十九名の三十二名であった。当初、郭東儀議長も団長として参加する予定であったが出発当日急病になり参加できなかった。病状は回復し早い時期の訪問を希望している。
 訪問団は、キム・デジュン前大統領(韓統連初代名誉会長)の自宅を訪ねることができ、また民主団体の歓迎を受けるなどの故国訪問ができたが、韓統連は依然として国家保安法の利敵団体規定からの解除はなされておらず、名誉回復には到っていない。
 南北統一の最後の障害とも言うべき国家保安法の改廃論議も、在野においては精力的に行なわれ、韓統連の故国訪問実現も果たすことができるまでになっているが、韓国国会においては少数与党の状況からは、今後も日韓民衆連帯の力で撤廃実現をかちとる闘いが不可欠となっている。(Ku)