編集部だより

▼日本共産党が「民主主義革命論の仕上げ」と称する綱領改定案の「社会主義・共産主義の社会をめざして」と題した章を読んでみた。なるほどこの章は、この党のすっかり干からびた共産主義観の陳列棚になっていた。▼「日本の社会発展の次の段階では、…社会主義的変革が、課題となる」。つまり「社会主義的変革」は、現在の課題ではないというこれまでの位置づけを再確認しているのである。資本主義に代わるもう一つの社会の在り方をめざした民衆の実際的諸活動が始まっているこの時代において。▼「社会主義的変革の中心は、…生産手段の社会化である」。いまや、人間の自由な発展を保障する「社会主義的変革」の方向が、環境、家族、育児、学習、生産と分配、医療、福祉、地域社会などの在り方の問題として実践的に問われてきている時に、それに応えない。「社会主義的変革」の条件を目的にしてしまっているのである。▼「生産手段の社会化は、…人間社会を支える物質的生産力の新たな飛躍的な発展の条件をつくりだす」。だが、物的豊かさを実現する能力という意味での物質的生産力は、既に発展の成熟段階に到達している。物的豊かさを実現する能力の発展を目的とする社会から人間の自由な発展を目的とする社会への移行、これが既に時代の課題になっているのである。▼この党は、とおの昔に共産主義の社会をめざす意志を捨てている。実践的意志のない者には、時代の変化は見えないものなのだろう。(深山)