第二段階に入った「住基ネット」に反対を
  窮極的な人民管理だ

 住民基本台帳ネットワークシステムが、八月二五日から第二段階に入った。第二段階の特徴は、「住基カード」の交付が希望者に開始されることだ。住基カードを拒否し、住基ネットワークシステムの進行を阻止・解体することを呼びかけたい。
 昨年八月に多くの反対や疑問の声を無視して住基ネットが開始され、すべての住民登録者に十一桁の「住民票コード」が付けられた。筆者にも、「あなたの世帯の住民票に住民票コードを記載しましたので通知します」との郵便物が送られてきた。世帯の全員に、十一桁の番号、氏名、生年月日、性別が記されている。現在少なくともこの四情報が、中央コンピュータ(地方自治情報センター)に掌握されている。
 住基ネットの開始時、少なからぬ自治体が接続を拒否したり、住民の不参加の選択を認めるなど、住民の個人情報保護の立場から抵抗していた。しかし政府のシステム定着への姿勢は強く、いわゆる個人情報保護法案の成立以降はこれらの自治体も切りくずされ、現在は田中知事の長野県がネットへの侵入実験を独自に行なうなど、接続見直しの態度を取っているぐらいとなっている。しかし、このかん政府が行なってきた地方自治体に対する住基ネットへの一律参加の強要は、地方自治を保障する憲法九十二条に違反するおそれが強い。改めて、各自治体に住基ネットからの離脱を要求する闘いが問われている。
 市民個人のレベルでも、自治体交渉、番号通知の受け取り拒否、総務省への返納デモンストレーションなど多くの抵抗が行なわれてきた。個人情報を本人の同意なく一律にネットに取り込んでいることは、憲法十三条が保障する個人の尊重と権利に違反するおそれが強い。同十三条では個人の権利を制約するものとして「公共の福祉」が語られているが、住基ネットが「公共の福祉」に該当するものなのかどうか、広く論議されなければならない。東京地裁などで提訴されている「住基ネット差し止め」訴訟に、大きな関心が寄せられるべきである。
 住基ネットは、カードの普及と個人情報の大量化へ向かいつつある。今現在の「住基カード」に利便性は乏しいが、普及と情報大量化によって確かに色々なサービスが可能となるだろう。しかし、それは同時にあらゆる個人情報が国家権力に筒抜けとなり、カードを使う限り、誰がどこで何をしたということが逐次国家権力に掌握されることを意味している。個人の利便性よりも、政府による個人情報の利用可能性の方が飛躍的に拡大するだろう。
 住基ネットの問題点として、個人情報が第三者に漏れる恐れということが自治体サイドからは語られているが、最大の問題は国家が主権者人民を究極的に管理できるという問題である。(W)