「万景峰号」入港での排外主義反対!
  排外主義反対テロを
     誘発する小泉政権


 在日朝鮮人民と在日本朝鮮人総連合会に対する許しがたい脅迫とテロリズムが、朝米関係の緊張と日朝正常化交渉の後退を背景に極度に高まっている。極右排外主義の徒党によるテロを断固糾弾し、それを生み出す遠因としての日本政府とマスコミによる反「北朝鮮」キャンペーンを許さず、在日朝鮮人民の生命と尊厳を守る闘いに連帯しよう。
 昨年九月の日朝首脳会談で日本人拉致問題が明らかになり、お門違いにも朝鮮総連などへの脅迫、嫌がらせが続発していたが、十一月に朝鮮総連中央本部に銃弾入りの脅迫文が送られて以降は、明らかに殺人テロリズムにエスカレートしている。今年一月には、朝銀中部信用組合名古屋支店が銃撃され、「朝鮮征伐隊」を名乗る犯行声明があった。七月二九日には総連新潟県本部が銃撃され、またハナ信用組合新潟支店に爆弾が仕掛けられた。同三十一日には、神奈川県のハナ信組藤沢支店に火炎瓶が投げられた。八月二十三日には、総連福岡県本部と朝銀西信用組合福岡支店に爆弾が仕掛けられ、また岡山市の朝銀西信用組合本店が銃撃された。再び「朝鮮征伐隊」なる徒党が犯行を名乗っている。
 これら朝鮮総連関係へのテロと同時に、社民党本部にも銃弾入り脅迫文が送られ、また六月二七日には広島県教職員組合本部への銃撃が凶行され、「国賊征伐隊」を名乗る犯行声明があった。排外主義テロの高まりが、日本人の民主的勢力へのテロでもあることは明らかである。
 七月の新潟での事件はとくに、このかんの貨客船・万景峰(マンギョンボン)号の入港問題で日本政府が大騒ぎしたことが引きがねとなっていることは明らかである。万景峰号はこのかん何も問題なく新潟港へ入港していたが、今年五月にアメリカ側から、覆面姿の元北朝鮮工作員を名乗る人物による「証言」(万景峰号でミサイル部品を日本から入手した等)がセンセーショナルにもたらされて以降、「工作船=万景峰号の入港阻止」の一大キャンペーンが張られた。小泉内閣の対北朝鮮政策がたぶんに、米国の右派勢力からの工作に左右されていることは確かである。
 万景峰号は一旦入港の延期を余儀なくされたが、八月二五日新潟港に入港した。日本の官憲は、戦時の臨検のように船員室までガサ入れして敵対的雰囲気をあおった。安全運行装備は一つの口実である。その不備をすべての外国船に厳密に求めたら日本の各港はえらい事になるだろう。政府、マスコミ、排外主義勢力が、在日朝鮮人と北朝鮮の家族との生活を結ぶ貨客船を敵対的感情で描き出したことは、在日朝鮮人への直接の迫害であり、在日朝鮮人と日本人の友好に対する由々しき攻撃である。
 こうした総連へのテロを始めとする排外主義の跳梁は、九月一日に八十周年となる関東大震災・朝鮮人大虐殺事件を彷彿とさせるレベルとなっている。こんにち、朝鮮人大虐殺が官憲のデマの流布から始まったことが史実として明らかになっている。一九一九年の万歳独立蜂起を武力弾圧した官憲の警戒心がその背景となっているのである。日本弁護士連合会は八月二五日、大虐殺に日本国家としての法的責任があり公式謝罪すべきだ、とする人権勧告書を小泉内閣に提出した。
 現在の朝鮮総連などへのテロも、政府・マスコミが朝鮮民主主義人民共和国への敵意と偏見を流布していることが遠因となっている。それは理性的批判ではなく、南北の民族統一に対する敵意と冷笑を含む悪質なものとなっている。政府は日本人拉致問題での無能無策を棚に上げ、その解決に向かわない状態を自ら作って排外主義の火勢をあおっている。排外主義テロの再発を断固許さず、テロ発生についての小泉内閣の連帯責任を追及しなければならない。(F)