第二期二中総 反戦決議
反戦・反帝運動についての党の当面の政策

    
 このかん世界・日本でイラク反戦運動が繰り広げられ、米英のイラク侵略戦争がイラク占領に移行してその反戦運動が反占領運動として続けられていることをふまえ、また、ブッシュ政権の次の先制攻撃が朝鮮半島に向けられる危険性があることをふまえ、また、こうした「ブッシュ・ドクトリン」を実行するアメリカ帝国主義が世界の平和と解放にとって最大最悪の敵となっていることをふまえ、また、小泉連立政権がその米帝の忠実な同盟者として振舞い有事三法案が成立させられたことなどをふまえ、労働者共産党は当面の反戦・反帝運動を強力に支援し、日本と国際の階級闘争を前進させるために以下の態度・政策を決定する。

 @全世界でのイラク反戦運動の政治的意義
 米英のイラク攻撃に反対する今年一〜三月を頂点とする運動は、米国人民の闘いを含め世界的にはベトナム反戦運動を凌駕する参加規模を実現し、フランス、ドイツなどと米英との対立を引き出し、開戦を遅らせ、全世界人民とアメリカ帝国主義との対決が世界情勢を動かす基本的構図となっていることを如実に示した。9・11事件以降の反「テロ」世界連合の攻勢による困難な情勢は、イラク反戦運動の高揚によって短期間でかなり打破され、諸帝国主義の結束は深刻な打撃を受けた。
 この世界的運動は現在、米帝の新たな戦争策動に反対する闘い、またイラク占領に反対する運動として続いているが、その組織的性格としては、インターネットを活用し無数の運動主体がグローバルにネットワークするという、現代の「国際民衆運動」(二回大会決議)の特徴をいかんなく発揮した。その政治的性格としては、諸傾向つまり反帝国主義の明瞭な立場から、「国連決議なき武力攻撃反対」として帝国主義諸国の結束の回復に絡め取られる傾向をもった立場、あるいは民族主義的な反米の立場までを含んでおり、また、米欧日などでの反戦市民運動・労働運動の潮流とアラブ・イスラム諸国でのイスラム反米潮流に分断されているという現状を示している。
 諸帝国主義は五月のイラク制裁解除決議以降、利害調整をすすめ結束を回復しつつあり、イラク占領と新たな侵略に反対する新たな世界的闘いが必要になっている。
 世界の共産主義者と先進的労働者は引き続き、全世界の労働者と被抑圧民族人民団結せよ!の立場を堅持し、誤まった諸傾向に批判を加えながら、国際プロレタリア階級と国際民衆運動との戦略的共同を重視し、反戦反米の地球規模での連帯に尽力しなければならない。

 A日本におけるイラク反戦運動の政治的意義
 日本での運動においても、これまで大衆行動に参加したことのない人々、長らく行動から遠ざかっていた人々、団体動員でない個々人の人々、とくに高校生を始めとする青年・学生などが数多く反戦に立ちあがるという三十年ぶりの活況がある程度生まれた。ベトナム反戦の時代との一つの違いは、当時の学生自治会・全共闘や労組青年部・反戦青年委員会などの階層的組織を今日欠いている反面、環境運動や国際協力運動など現代的市民運動が反戦運動を広範なものにしている点である。
 また欧米と比べ、日本では労働組合の反戦運動が弱く、大衆動員で日本が一桁小さい要因もここにある。ベトナム反戦では総評が曲がりなりにも反戦勢力として存在していたが、現在では最大ナショナルセンターの連合が反戦行動をほとんど放棄しており、米英のイラク攻撃不支持の連合中央決定の中味も国連安保理決議を欠いていることを問題視しているに過ぎないものであった。しかし、陸海空・港湾二十労組などナショナルセンターを超えた有事法制反対などでの課題別共闘の枠組み、労組を主体とした地域共闘、個々の単産・労働組合などにおいて反戦の取り組みが前進をみたことも事実である。これらの成果をふまえ労働運動としての反戦運動を再建していくことは、我々労働者階級の政党にとって決定的重要事である。
 労働者人民のこのかんの政治的生活への活発な参加状況をできるだけ持続しつつ、イラク反戦と有事法案反対での諸共同を、米英のイラク占領反対、朝鮮半島・東アジアでの戦争阻止・平和と解放の闘い、有事法制の整備・発動の阻止へ更に発展させていく必要がある。

 Bイラク占領反対運動を支持・支援し、自衛隊イラク派兵を必ず阻止しよう。
 米英の対イラク戦争を合法化・正当化しようとする一切の策動に反対する。イラク戦争は、国際法とくに武力行使容認要件を規定する国連憲章に違反する明白な侵略戦争であった。その国際法違反の侵略戦争の延長としての米英のイラク占領は、何ら国際法的根拠のない暴力支配に過ぎず、占領軍と占領行政の一切が不法・不当なものである。この米英によるイラク侵略戦争は、覇権拡張とイラク石油利権再分割のための戦争であった。占領行政は、その略奪的本性を日々露にしつつある。われわれはイラク占領に断固反対し、米英のイラクからの即時全面撤退を要求する。
 五月二十二日のイラク制裁解除・国連安保理決議は、米英の占領を不当にも追認したものであり、国際社会はこれを容認せず断固糾弾しなければならない。
 米英の占領に反対するイラク人民とその諸組織の平和的・武力的抵抗闘争を、断固支持する。
 日本政府が、米英の不法なイラク占領機関に要員を派遣することに断固反対する。占領行政への加担は憲法九条違反であると同時に、不法な侵略戦争の追認である。占領中、以降のいかなる段階においても、自衛隊のイラク派兵に断固反対する。イラク派兵法案(イラク復興支援特別措置法)は、侵略戦争への追認にとどまらず、それへの自衛隊三軍をもってする参戦行為であり、絶対に許してはならない。
 イラクの復興はイラク人民自身の事業であり、イラク人民が決定権を持つ。イラクの復興支援は、イラク人民とその諸組織の要請にもとづき、米英の占領当局から独立した国際NGO、国連諸機関、各国政府によって行なわれなければならない。米英主導の「復興」に断固反対する。イラク占領反対運動は当面、イラク復興支援などをめぐる諸政府間の「米英主導」か「国連主導」かの対立を利用することができる。
 現在の米英主導によるイラク人諸組織の暫定政権準備会合は、「米英軍との協力」を基本政策としており、イラク人民の多数の支持を得ていない政権準備である。イラク人民の多数がこの暫定政権に反対しているかぎり、国際社会はこの政権を承認してはならない。イラク人民の反占領闘争とその多数の意思に基づいて、イラク人民自身の民主的な政権が形成されることを断固支持する。

 Cアメリカ帝国主義の「終わりの始まり」
 米帝はイラク侵略戦争を通じて、軍事的優勢を示しはしたが、その政治的劣勢を回復不能なまでに露呈した。米国の「自由と民主主義」の評判は、全世界で地に落ちた。またイラクにおいてもアフガニスタンにおいても、全く支配を安定させることができず、侵略者の撤退を求める闘争に包囲されつつある。パレスチナにおいても、イスラエルによる占領地撤退安保理決議の無視を容認した上での「和平ロードマップ」などでは、パレスチナ人民の反占領闘争をを解体することはできない。「中東民主化」を唱える米帝は、中東で反米闘争に包囲され泥沼に陥っていくだろう。
 米国式民主主義で世界を「変革」しようとする新保守主義(ネオコン)一派を抱え込んだ米国の支配層は、米帝を主柱とする国際反革命同盟体制の今後の運営について不統一をさらけ出していかざるを得ず、また米国人民との矛盾を強めていかざるを得ない。ブッシュ・ドクトリンの先制攻撃戦略・単独行動主義は、グローバル資本主義支配の不安定化を導くものである。米帝は政治的孤立とともに、再度の双子の赤字・基軸通貨ドルの動揺へと経済的破綻を深めている。ソ連崩壊後成立した米帝の一極的覇権主義の国際体制が、その崩壊へ向かう歴史的過程が始まった。

 D朝鮮半島での戦争を絶対阻止し、平和と解放の東アジアへ前進しよう。
 米帝の朝鮮民主主義人民共和国への軍事攻撃は阻止することができるし、必ず阻止しなければならない。朝鮮半島での戦争を阻止する主要な力は、2000年南北共同宣言で「統一問題を、その主人である我が民族同士で互いに力を合せ、自主的に解決していく」とした南北朝鮮人民の統一と平和のための闘いである。その戦争を阻止する副次的な力の一つは、朝鮮半島の自主的平和的統一を支持し、米帝の戦争基地であることを拒否し、有事体制に反対する日本人民の闘いである。韓国人民の戦争阻止・反戦反米闘争と日本・沖縄の反戦運動との連帯が、いつにも増して重要となっている。
 共和国は、米帝の核を含めた攻撃の脅威に対処するために、あらゆる手段で自衛権を行使する権利を持っているが、それは共和国人民が、韓国人民や日本人民の反戦・反米・反核兵器の闘いと連帯を強めることに適った手段であることが必要である。
 朝米交渉によって、九四年ジュネーブ合意の再構築あるいは新合意が達成されることを歓迎する。米政府が共和国政府との合意のための努力を放棄し、国連安保理で「核開発放棄要求」決議を挙げようとしていることに断固反対する。

 E日本政府は日朝正常化交渉をただちに再開せよ。
 日朝の国交正常化は、米帝の朝鮮半島での軍事冒険を制止する大きな力となると同時に、日本の有事体制作りの主要な口実を失わせ、それを阻止する大きな力となるものである。日朝両政府は、日朝ピョンヤン宣言の肯定的部分を誠実に履行しなければならない。その否定的部分である過去清算での「経済協力」方式などは、国交正常化の後に是正していく必要がある。日本政府によるブッシュ政権の共和国敵視政策への加担、軍事偵察衛星の打ち上げ、日本人拉致問題を利用した反共和国キャンペーンなどはピョンヤン宣言違反であり、是正されなければならない。
 拉致問題は共和国の国家公務員による重大人権侵害事件であり、全容解明と適切な全面解決が必要であるが、その方法は日朝正常化と日朝両国人民の友好を阻害するものであっては断じてならない。その根本的歴史的な解決は、朝鮮半島の南と北の、共和国と韓国・日本との長期の敵対関係に終止符を打つことにある。それに逆行し、拉致問題を共和国転覆運動に利用する策動に断固反対する。
 拉致問題や核問題を理由とした、正常化交渉の放棄さらには対北経済制裁策動に断固反対する。日朝国交交渉の無条件再開によって、これら諸問題の平和的解決を目指すべきである。
 朝鮮半島での戦争を阻止し、日朝の正常化を達成し、朝鮮半島の自主的平和統一へ歴史が動いていくことは、米帝の覇権主義が東アジアでは押しやられ、南北朝鮮と日本の労働者階級の団結の進展によって東アジアでの国際階級闘争の新しい前進が始まることを意味する。

 F有事法制の整備・発動を阻止しよう。
 米英のイラク侵略は、日本とその周辺で起こりうる「有事」が、米帝の共和国に対する先制攻撃であり、大量の米軍が日本に殺到して全土が戦争基地となり、自衛隊が侵攻米軍の同盟軍として英軍に近似的な役割を果たすことになる事態であることを明白に示した。また有事法案の成立によって朝鮮半島以外においても、海外での自衛隊が戦闘状態に入り、国内に有事体制が発動される危険が高まっている。
 米帝が共和国を先制攻撃することは、休戦協定と一切の国際法に違反することであり、この際、共和国が在日米軍基地や自衛隊に反撃を加えることは自衛権の行使である。朝鮮半島に未曾有の惨害をもたらし、日本領域も交戦地域となる危険性がある朝鮮半島「有事」を、労働者人民の闘いによって、またそれが関係諸政府を動かすことによって未然に防止しなければならない。朝鮮有事勃発の危険の根源は、米帝の現在の覇権的戦略にある。日本帝国主義はこの事実を覆い隠し、共和国が突然日本を攻撃してくるかのようなデマ宣伝を行ない、だから日米軍事同盟が必要だ、有事法制が必要だとわめいているが、こうした情報操作を打ち破らなければならない。
 有事法制の整備・発動を阻止し、日朝正常化交渉の再開、朝鮮半島の平和統一への支持・支援、北東アジアでの非核平和構築のための諸政策などを要求して闘おう。
                                   以上