女子中学生ひき殺し事件一周年 世界的規模で追悼・抗議
  ―日本では、朝鮮半島に平和を!6・13反戦アクション

  朝鮮半島危機の根源は米軍


 米英軍によるイラク占領、有事法制の成立、そして自衛隊をイラクに派兵するイラク新法の制定が取りざたされている中、六月十三日、「在韓米軍装甲車による女子中学生ひき殺し事件一周年 朝鮮半島に平和を!6・13反戦アクション」の集会(東京・赤坂区民センター)とキャンドルデモが、約二五〇名の参加で行なわれた。
 集会は、女子中学生シン・ヒョスンさん、シム・ミソンさんの無念の思いと、在韓米軍への満腔の怒りを綴った、この一年間の韓国民衆の闘いの記録であるビデオの上映から始まった。
 主催の実行委員会を代表して渡辺健樹・日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表は、今日の集会は、ソウルを中心として全世界に発信された、ひき殺し一周年百万人デモの一環としての日本での取り組みであることを述べ、東アジアの米軍の九割が集中している韓国、沖縄では米軍犯罪も集中している、この五月にも沖縄でまた女性暴行事件が発生している、また朝鮮半島の危機の根源が米軍基地にある、と訴えた。
 次に韓国ゲスト、6・13一周忌追慕大会国民準備委員会のキム・ソンラン組織委員長からの講演が行なわれた。二人の女子中学生を米軍装甲車がひき殺すことによって、五十年間沈黙していた韓国民衆は反米自主、民族自主の声を高らかに上げることとなった。不平等な韓米地位協定の制度改革の要求も掲げて闘っている。また日本の有事法制が、朝鮮半島の有事を想定し、日本の戦争参加を可能とするものであり、国家総動員法に似ている。そして、韓米首脳会談によって北朝鮮との危機的な関係が作られている。この会談は、6・15南北共同宣言を度外視したものであり、韓国民衆が望んだものではない。朝鮮半島の危機は、米軍によってもたらされたものであり、北の核を問題視するのは朝鮮半島で戦争を起こそうとするアメリカによって持ち込まれたものである。と指摘し、朝鮮半島の平和は、北東アジアの平和となると訴えた。
 集会を韓国民衆と連帯して怒りをもって終えたのち、キャンドルデモは、アメリカ大使館脇を通り、女子中学生ひき殺し糾弾、韓国・沖縄・日本からの米軍撤退と有事法制、イラク新法反対の声を夜の東京に響き渡らせた。
 当日、ソウルにおいては十万人のキャンドルデモをはじめ、韓国七十箇所、全世界で五十万人の追悼一周年のデモが行なわれ、ソウルには日本から阿部知子衆議院議員(社民党)、渡辺一夫・韓国良心囚を支援する会全国会議代表など十二名の招待者のほか、数十名が自主的に参加して日韓連帯の絆を強めている。
 さて、この集会に先立ち五月には、十一日・韓米首脳会談、二十三日・日米首脳会談がアメリカで行なわれた。
 韓米首脳会談では、ノ・ムヒョン韓国大統領が共和国の核問題でブッシュに屈服したのではないかとの見方が、日韓民衆連帯運動内で強く見られた。ノ・ムヒョンは6・15共同声明を裏切ったのではないか、との声が高まったのである。事実、ノ・ムヒョン大統領自ら、政権担当者と在野とでは立場が違うとの発言もあり、小泉同様にブッシュのペットと化すのではとの声もあった。日米首脳会談においては「北の核問題」には「より強硬な措置」で一致し、小泉が「対話と圧力」を強調しつつ「圧力」に力点があることは、有事法制の強行採決(民主党を巻き込んだとはいえ)に見られるがごとく明らかなことである。
 しかしながら、ノ・ムヒョン大統領は、「対話」を事あるごとに強調し、「圧力」への消極的対応が目につくようになっている。六月十四日には、南北鉄道連結行事が行なわれた。
 このような事実関係からも、ノ・ムヒョン氏の大統領当選時に、また日朝ピョンヤン宣言発表時にも本紙が指摘してきたとおり、これらの出来事には可能性が秘められてはいるが、日韓・日朝民衆の闘いと監視によらなければ、そこからより積極的なものは生まれず、戦争への危険な局面さえ回避できないといえるのである。
 日韓・日朝民衆連帯の力で、日米帝による朝鮮半島への侵略戦争に反対し、東アジアの平和を実現しよう。(東京Ku通信員)