共和国「核問題」
  朝鮮民主主義人民共和国には自衛権行使の権利がある
    米帝の核脅迫中止が先決

 米帝国主義によるイラク攻撃の次の侵略目標としてシリア、朝鮮民主主義人民共和国が取り沙汰されている。
 この情勢下、四月二十三〜二十五日に北京で朝米中協議がもたれた。おもな会談内容は、朝米間の懸案事項である共和国の「核開発」問題であった。共和国側は不可侵条約と核開発の一括妥結を提案したとみられるが、声明文などの合意には到らなかった。しかし、米国側が流した「北の核兵器の保有」という報道は、その真偽も明らかではないのに日本中を駆け巡った。
 日本の反戦平和勢力は、この朝鮮半島の核問題でしっかりした態度を取ることが必要だ。
 共和国は一月十日、核不拡散条約NPTからの脱退声明を行なった。その理由として、米国が九四年朝米ジュネーブ合意を破壊し、NPT体制が武装解除の道具として悪用されているからであるとした。ブッシュ政権が、前クリントン政権の合意履行の遅滞という次元を越えて、共和国を「悪の枢軸」と規定し核先制攻撃対象として公言する政策転換を行なったこと、また重油供給停止を行なったことによって、合意を破壊したことは明らかである。一方、昨秋ケリー訪朝で流された「北のウラン濃縮」は疑惑の次元にすぎない。
 共和国は脱退声明では、「核兵器を製造する意思はなく、現段階において我々の核活動は、電力生産」としていたが、朝米中協議後の五月一日の外務省報道官談話では、提案が蹴られたことを踏まえつつ、「我々は致し方なく必要な抑止力を備えることを決心して行動に移さざるを得なくなった」と表明するに到った。
 共和国は、核兵器の保有・未保有について今後も明らかにしない政策を取るとおもわれるが、米帝のイラク侵略戦争と朝米中協議での高圧的対応という情勢下、共和国には米帝の核を含む大量破壊兵器の脅威に対処するために、あらゆる手段で自衛権を行使する国際法的権利があることを認めなければならない。
 しかし共和国の自衛権行使は、共和国人民と韓国人民、日本・沖縄人民などの反戦・反米・反核兵器の闘いとが連帯することに適った手段であることが問われている。共和国の核保有は、南北非核合意や日朝ピョンヤン宣言に違反することであり、北東アジアの平和構築にとって不適切である。
 米帝の脅威に対し、これを阻止する最も有効な手段は、核武装ではなく、朝鮮半島南北民衆による自主的平和統一の実現である。それとともに有効な手段は、自主的平和統一を支持し、米帝の覇権主義と闘う日本・沖縄などアジアの民衆と朝鮮半島南北民衆とが連帯を発展させることである。
 朝米関係の緊張に対して、日本の反戦平和勢力がこれを喧嘩両成敗的に論じ、共和国の核開発放棄を要求することは正しいとは言えない。三月十日に、「核放棄、拉致問題解決が日朝正常化交渉再開の前提」とする声明を出した連合中央は論外である。また日共のように、共和国のNPT脱退を「平和への脅威」として糾弾したりすることはひどく誤まっている。超大国の核脅威をなくさなければNPTに正当性はなく、核兵器を世界からなくしていくこともできない。
 先決的に問われているのは、米国の対共和国政策の再転換である。日本では「北朝鮮の脅威」が大宣伝されているが、共和国は自衛措置を取っているにすぎず、ネオ・コンのアメリカこそ真の脅威である。
 反戦平和勢力は、今こそ毅然とした態度で運動をすすめるべきである。南北共同声明三周年、在韓米軍の女子中学生れき殺事件一周年に行なわれる六月十三日の「朝鮮半島に平和を!6・13反戦アクション」(午後六時半・赤坂区民センターホール)を成功させよう。(S)