有事三法案
  イラク先制攻撃で危険性明らかに
    民主党案との擦り合わせ許さず、今度こそ廃案へ

 昨年四月に国会に提出された有事法制三法案との長丁場の闘いが、いよいよ正念場に来た。米軍バグダッド侵攻のドサクサにまぎれて四月九日、衆院有事法制特別委員会で審議再開が強行され、三十日には民主党などが「対案」なるものを提出、五月六日から与党三党の修正案(四月三日提出)と民主党などの対案との擦り合わせが進められようとしている。六月下旬会期末の今国会で、成立か今度こそ廃案かの瀬戸際になっているのである。
 与党案は武力攻撃事態法案(修正案)、自衛隊法改正案、安保会議設置法改正案の有事法制三法案である。修正の内容は、昨年の国会で批判が強かった「おそれのある事態」というのを「武力攻撃予測事態」の言辞に一本化したというだけの話で、あいまいな有事認定で戦時体制に突入させられることに何の変わりもない。また実際考えられる非常事態対応とずれている、という批判に対して事態対処法制整備に「テロ、不審船」対応を明記し、また自衛隊出動ありきでで国民保護が後回しになっているという批判に対して「国民保護法制」整備本部を置くとする「修正」である。
 有事でのいわゆる「国民保護法制」は、昨年十一月に示された骨子によると基本的人権の保護ではなく、「市町村の役割」「国民の役割」を指示した国家総動員法と言うべきものあったが、法案提出としては次の段階となるようだ。
 民主党の対案は、武力攻撃事態法の修正案と、緊急事態対処基本法案の二本立てで、基本的人権の保障、国民保護、国会の関与・権限を強調したものとなっているが、事態対処のための強制力を確保するという有事法制の本質では何ら与党案と変わらない代物である。「テロ、不審船」対応という点では与党案より積極的ですらある。
 このかんの米英のイラク侵略戦争は、有事法案の危険性を一層明らかにした。日本とその周辺で起こりうる「有事」が、米軍の朝鮮民主主義人民共和国への先制攻撃であり、大量の米軍が日本・沖縄に殺到して全土が戦争基地となり、自衛隊が侵攻米軍の同盟軍として英軍に近い役割を果たす事態であることを明白に示している。
 有事に備えるということは現在具体的には、ブッシュ政権の先制攻撃戦略に応じるということでしかない。そこには、日本外交が超大国の戦争熱を冷まさせるとか、距離を置くといった姿勢すら微塵もない。有事法制など全く必要のない国際環境を創る努力が、はなから放棄されているのである。
 しかし、昨年九月の小泉訪朝と日朝ピョンヤン宣言は、一時、有事法制論議を後退させたし、ブッシュ政権の北朝鮮攻撃政策にブレーキをかけたとも言いうる。情勢はすぐに米日の反動勢力によって巻き返されたが、今度は我々が巻き返す番だ。東アジア諸国の人民が連帯を強め、危機の根源・アメリカ帝国主義の覇権主義を東アジアで制止することと、有事法案を廃案にすることは一体の関係にある。
 このかん四月十五日以降、陸海空・港湾二十労組などを先頭に有事法制阻止の国会行動が連日数百名規模で行なわれてきたが、急速に大きな闘いを実現する必要がある。二十労組など呼びかけの五月二十三日・明治公園での大集会を成功させよう。(A)