米英占領軍は即時全面撤退せよ
   イラク人民の反占領闘争を断固支持しよう
 


 米英帝国主義のイラク侵略戦争によって、フセイン政権が崩壊させられ、イラク情勢は戦争阻止の闘いから、イラク人民と世界人民が連帯して米英侵略軍のイラク占領に反対する闘いに移行した。
 日本の反戦運動の当面の課題は、第一にイラク人民の反占領闘争に連帯し、小泉連立政権の米軍占領当局への支援を一切許さないこと、第二に、アメリカ帝国主義の次の先制攻撃が朝鮮半島に向けられることを必ず阻止すること、第三に、その米帝の先制攻撃戦略に呼応するものとしての日本の有事法制案を、今国会で廃案に追い込むことである。
 このかんのイラク反戦運動の盛り上がりを、これらの一体の課題に活かしていくことが問われている。ブッシュは軍事技術の優勢によって、確かにサダムの軍隊を崩壊させたが、イラク人民を打ち負かしたわけではない。ブッシュは軍事的には勝ったが、侵略者の正体をさらけ出し、全世界で政治的・道義的には敗北者となった。われわれが闘いを有効に前進させることができるならば、アメリカ帝国主義は結局、イラクでは反占領闘争に包囲されて泥沼に陥り、北東アジアではその覇権主義を制止され、同盟国・日本の戦争遂行体制作りを仕上げることに失敗するだろう。
 ここでは第一の課題、イラク占領反対運動について若干検討してみよう。日本人民は、イラク人民の反占領闘争を全力で支持・支援しよう。ここで課題が「反戦」から「復興支援」に移行したとみるならば、それは不正確な言い方である。イラク人民が米英占領軍を追い出し、自主的な政権を樹立するならば、イラク人民は独力で国を復興させることができる。当面の復興支援をめぐる闘いは、あくまでイラク人民の反占領闘争を支持する一部分であることが必要だ。
 ブッシュは五月二日、「戦闘終結宣言」を行ない「イラク解放」を謳いあげたが、対イラク戦争はきわめて残虐な侵略戦争であった。この戦争を合法化・正当化しようとする一切の策動に反対しなければならない。戦争の開始自体が、米国の自衛権の発動でもなく、国連安全保障理事会の明示的な武力行使決議も存在しないという非合法な戦争であった。国際法違反の侵略戦争の延長としての米英の占領は、何ら国際法的根拠のない暴力支配にすぎず、占領軍と占領行政の一切が不法・不当なものである。米英はイラクから即時全面撤退せよ。
 戦争が非合法なだけでない。米軍はこの戦争で劣化ウラン弾、クラスター爆弾など国際人道法違反が指摘されている兵器を大量に使った。大量殺傷兵器廃棄を戦争目的の一つに掲げながら、自ら大量殺傷兵器を使いまくった。いわゆる「誤爆」で少なくとも数千人の一般市民を殺害した。通信社アルジャジーラが爆撃で両腕をなくした少年の写真を世界に配信したら、すぐにパレスチナホテルを砲撃し、ジャーナリストを殺害した。四月九日のバクダッドで、サダム像引き倒しを演出してみせた米軍は、サダムの財産を分け与える「解放者」気取りで略奪を奨励・放置し、また米兵自身が略奪者となった。ロケット弾のデタラメな処理で住民を殺害した。バクダッド近郊のファルージャでは四月二八日と三十日に、小学校を占拠する米軍に退去を求めるデモ隊に発砲し、多数を殺害している。これらはすべて戦争犯罪であり、大統領ブッシュ、司令官フランクスなどの徒党は遠からず戦争犯罪者として必ず裁かれなければならない。
 ブッシュが亡命イラク人などをかき集め、お膳立てした暫定政権準備会合が四月十五日に開始されたが、「米英軍との協力」を基本綱領に掲げており、イラク人民の多数の支持を得ていない政権準備である。南部シーア派住民をはじめイラク人民の多数が、米主導の政権作りに断固反対している。日本政府と国際社会は、この政権作りを承認してはならない。イラク人民の反占領闘争とその多数の意思に基ずいて、イラク国民自身の民主的な政権が形成されることを断固支持しよう。
 小泉連立政権が、米英の不法なイラク占領機関に要員を派遣することに強く反対しよう。それが文民派遣であっても、占領行政への加担は憲法九条が禁止する交戦権行使であり、同時に不法な侵略戦争を重ねて追認することである。また占領中、以降のいかなる段階においても、自衛隊のイラク派兵に断固反対しよう。
 イラクの復興支援は、イラク人民とその諸組織の要請にもとずき、米英の占領当局から独立したNGO、国連諸機関、各国政府によって行なわれるべきだ。米英主導の「復興」に断固反対しよう。ブッシュ政権は国連イラク経済制裁を解除させ、イラクの石油資源を強奪して不法な占領の費用に当てようとしている。制裁解除の前に、イラクの主権が回復されることが必要だ。イラク人民と世界人民のイラク占領反対運動は当面、復興支援などをめぐる諸政府間の「米英主導」か「国連主導」かの対立を利用することができるだろう。
 六月のフランスでのサミットは、こうした諸大国間の利害調整の場になろうとしている。米帝を主柱とした諸帝国主義の結束は、イラク侵略戦争によって深刻な打撃をうけた。これを引き出した力は、全世界人民のイラク反戦運動の高揚であった。全世界人民の圧力が弱まれば、帝国主義者どもはグローバル資本主義の共通の利益のために手を打ち、再び結束しようとするだろう。
 イラク人民の反占領闘争に連帯し、全世界でアメリカ帝国主義とその追随者を孤立させ、戦争犯罪者への懲罰を与えよう。