4・23労基法・派遣法改悪に反対する緊急集会
  「解雇自由」阻止は山場へ

四月二十三日、東京の日本教育会館で、日本労働弁護団主催による「雇用ルールの破壊を許さない! 労基法・派遣法改悪に反対する緊急集会」が開催され、労働者など五〇〇余人が参加した。これは一月二十三日の同趣旨の集会に引き続くものである。
 集会は、労働弁護団の井上常任幹事の司会ですすめられた。最初に、同弁護団幹事長の鴨田哲郎氏から次のような主旨の基調報告がなされた。労働基準法に「解雇は自由」と明記することは、本来、労働者を保護する労基法の趣旨に、むしろ背反することであり(労基法には「使用者は〜できる」という条文は一つもない)、明記するとするならば“解雇には正当な理由が必要”とするべきとした。また、裁判過程での「解雇の正当事由」の立証責任を労働者側にすることも、本末転倒である。有期雇用・派遣労働の期間延長は、実質的に退職の自由を縛り(経営者側からの損害賠償要求やそれをテコとした脅しなどは既に行われている)、若年定年制を広げたり、さらに試用期間を三年も続ける恐れがある。企画型裁量労働制の本社以外への拡大は、前回立法時の約束を一方的に踏みにじるものであり、それは次の労基法改悪で狙われるホワイトカラーイグゼプション(労働時間規制そのものをなくす)への一里塚である。
集会は、このあと民主党、共産党、社民党の各議員、UIゼンセン同盟、全労連、全労協の各代表の報告と決意がなされ、さらに有期労働者ネット、派遣ネットなどの現場労働者の闘いの決意表明がなされた。
小泉首相は、労働法制を自由化すれば雇用が増えるなどと言っているが、これは全くのうそであり、ペテンである。それは人件費を削減するために労働者を首切りし、その一部を劣悪な賃金・労働条件の非正規労働者に置き替え、総じて労働力の流動化と称して資本家たちの使い勝手のいい環境をつくるためである。市民の一部にも、行政や資本活動一般の規制緩和と労働法制の自由化を同一視する傾向もあるが、これは誤りである。資本家と労働者の関係は、そもそも持つ者と持たざる者の間の関係であり、対等・平等な関係とはいえない。だからこそ、歴史的に労働者の闘いを背景に労働者保護法がつぎつぎと勝ち取られてきたものである。この歴史を覆し、資本の自由な活動のために一方的に労働者保護法を破壊するのが、新自由主義そのものである。
 派遣法の国会審議は、すでに二十二日に始まっている。派遣法改訂は、今回製造業にも拡大するとしている。現在すでに、工場現場ではパート労働者や製造請負サービス会社の社員が従事している。だが、製造請負サービスは、契約がラインや製品単位のため、請負元資本が、複数ラインで自由に派遣労働者を使うことができない。今回の改悪で、この制約も突破できるのである。
 労基法を首切り自由化法に改悪する労基法改正案も、五月連休明けに審議が開始されのは、必至である。五月の国会審議の山場に向け、さまざまな団体が労働法制改悪阻止を準備している。五月には、ナショナルセンターの枠をこえ、国会周辺を巨万のデモでうめつくし、なんとしても労基法・派遣法改悪阻止を実現しよう。 (H)