全世界人民と共に 孤立する米英・小泉打倒しよう

   イラク侵略「三月開戦」阻止を

 ここ1ヵ月余の間に、対イラク戦争をめぐる世界情勢で特筆すべきことは、二月十五日とその前後のイラク攻撃阻止・世界一斉行動に、ベトナム反戦時代を上回る史上かってないほどの巨万の人民が世界各国で決起し(世界600都市、1300万人以上と言われている)、米英をはじめ各国の政府の態度を制約する力として世界人民の大衆闘争が登場してきたことである。そして、この反戦運動の発展に圧力を受けながら、国連安全保障理事会の常任・非常任理事国が、米・英などの開戦派と仏・独・ロ・中などの「査察の継続・強化」派とに分岐した。
 しかし、ブッシュは苦し紛れの開戦強行によって孤立の突破を図ろうとしている。危機は迫りつつある。このかんの世界的反戦運動の特長を急いで検討しつつ、今こそ日本でも三月の決定的な大衆闘争を実現していこう。

   2・15世界六百都市で千三百万余が決起

 イギリスの「ストップ戦争連合」が呼びかけた2・15は、アメリカのANSWERが呼びかけた1・18を更に上回って、ロンドンで200万、ニューヨークで50万、サンフランシスコで25万、マドリードで200万、シドニーで25万などの空前の反戦行動となった。二月二四日に安保理に開戦決議案を提出した米英スペインでこそ、自国政府に反対する行動が発展しているのである。米英支持派のオーストラリアでも史上最大規模であった。同じく米英支持派のわが日本でも、東京で3万など反戦運動は確実に上昇しつつあるが、しかし、世界的にみて立ち遅れていることは歴然としている。同志・読者の諸氏よ、今こそ奮闘しようではないか、在外米海軍・空軍最大拠点の日本・沖縄でこそ、ブッシュとその共犯・小泉に決定的打撃を与えようではないか。
 2・15の意義、特長の第一は、ANSWERが強調するように「イラク侵略を阻止できる唯一の道は、民衆自身が大衆行動を通して主要勢力になることである」という真理を示したことにあるだろう。ニューヨークタイムズ紙も、「この週末における世界中の巨大な反戦デモは、地球上にはまだ、合衆国と世界世論という二つの超大国(スーパーパワー)が存在することを思い知らされた」と書かざるを得なかった。査察継続をめぐる米・仏などの対立は、世界人民にとって利用できるものではあっても、戦争阻止で当てにできるものでは決してない。
 ANSWERは二十日の声明で、「ブッシュの戦争時刻表は、政権を驚愕させた政治的進展により、遅延を迫られている」として、ホワイトハウス緊急反戦集合を三月一日から三月十五日に設定し直した。アメリカの活動家たちは、大衆行動が暫時的にせよ戦争突入を断念させたと評価し、更なる闘いを準備しつつある。3・15には三たび全世界が起ち上がるだろう。日本でも、東京3・8(日比谷野音・午後二時〜)に総結集し、沖縄県民大会を始め全国各地で3・15に総決起しよう。

  労組も反戦へ

 第二の特長は、欧米での巨大な大衆行動には無数の市民的参加があるだけではなく、労働組合の組織的な取り組みに支えられているということである。
 アメリカでは、アフガン報復戦争をAFL−CIO指導部が支持するなど9・11事件以降の反動的流れに抗して、このかん全米サービス従業員組合SEIUなどを主力とする反戦の労働組合潮流が前進し、今年一月にはアメリカ反戦労働連合USLAWが結成されている。二月十九日、このアメリカ反戦労働連合は、53カ国・200労組が賛同署名した「イラク戦争反対国際労働宣言」を発表した。アメリカの運動で特長的なことは、反戦の要求と、教育・医療・住宅へ多額の戦費を回せという経済的要求が結合されている点である。イギリスでは、ナショナルセンターTUCの有力諸産別が反戦を闘っており、規約に規定されている「戦争の危機が迫った時の臨時大会開催」を要求している。ブレア政権は反戦ストライキに直面しつつある。ドイツでは、ベルリンの2・15に50万であるが、ナショナルセンターDGBが組織参加している。
 日本では、少数派の全労連、全労協が反戦を闘っているが、多数派の連合がイラク攻撃阻止の闘いを放棄している。今春闘において反戦を闘う労働組合潮流を連合内外で強化し、連合を揺り動かさねばならない。
 第三の特長は、世界的にこのかんの反グローバリズム運動が、イラク攻撃阻止の反戦運動につながって行ったことである。多国籍企業や国際資本投機、WTOなどに抗議してきた人々が、今さらに輪を広げて戦争の危機に立ち向っている。欧米に顕著なこの傾向は、規模が小さいとはいえ日本でもはっきりと示されている。国際的つながりを持ち、若い人々が多い民衆援助団体や環境団体が、戦争反対に合流し先頭に立つようになってきている。こうして、反戦市民運動を通じて青年層の大衆闘争への進出が、日本でもいよいよ始まってきたと言ってよいのである。

  米・仏の対立は当てにならない

 さて国連では二月二四日、米英とスペインが新しい安保理決議案、「イラクが決議1441で与えられた最後の機会を逃したと決定する」とする開戦決議案を提出した。これに対抗して仏独ロは査察の継続・強化案を覚書として提示し、仏ロは今のところ、米英決議案に対して拒否権行使もありうるとしている。中国は対米正面対決を避けつつ、仏独ロを支持するという姑息な対応を取っている。そして米ブッシュ政権は、三月上旬には決議案の採決に持ち込み、その可否に関わらず三月開戦を強行せんとしている。
 仏独ロも、決議1441に基づくイラクへの武力行使それ自体に反対しているのではない。今はまだ査察の継続・強化によってイラクの武装解除が可能であるとするものである。
つまり米英も仏独ロも、グローバル資本主義の国際支配秩序を守るために「無法者国家」や「テロリスト」を制圧するという戦略では何の違いもないのである。しかし、何をもって軍事攻撃を加えるべき「国際社会の脅威」とみなすかという具体論になると、各国家利害によって一致するとはかぎらない。米英による対イラク戦争の完遂は、中東と世界におけるEUの地位を、とくにフランスの中東権益を低下させるだろう。
 「米欧同盟の分裂」という見方は、アメリカ帝国主義を主柱とする諸帝国主義の戦略的一致を過小評価する見方であるが、しかしまた現在の情勢は、米帝の一極的支配が、グローバル資本主義の共通舞台における帝国主義間の争闘によって、決して安定的ではないことをも示している。
 米帝の一極的支配をいま決定的に揺るがしているのは、諸大国間のイラクに対する「武力的武装解除」か「平和的武装解除」かという対立ではなく、全世界人民の反戦・反米運動である。全世界人民の闘いは、その諸政府間の対立を利用することはできるが、「平和的武装解除」論の尻押しを進めるわけにはいかない。米帝が大量破壊兵器を独占しながら、二重基準の安保理決議と査察体制を道具として、米帝の意に沿わない中小国を圧迫していること自体が、世界の平和と公正を破壊しているのである。米帝が「先制攻撃論」などの横暴をつくしているかぎり、核・生物・化学兵器などの拡散防止は困難となる。そしてブッシュの本音、「武装解除」云々よりも「体制転覆」というのは論外である。

  戦争に敢然と反対する日本へ

 その論外のブッシュに追従し、地獄のそこまで日米同盟にしがみついて日本帝国主義の立て直しを図ろうというのが小泉である。小泉は十七日、2・15の高揚に対して「イラクに誤まったメッセージを送らないように」と敵対発言を行ない、また十九日の安保理公開討論会で原口大使は「安保理が結束して行動できなければ、イラクに間違ったメッセージを送ることになる。新決議の採択に努力すべきだ」と演説し、孤立する米英に最大級の激励を行なった。
 すでに小泉政権が、平和解決を求める日本国民を何ら代表していないことは明白である。日本人民の総決起で小泉を打倒し、戦争に敢然と反対する日本を実現しよう。