2・9「つぶせ!予防拘禁法」全国集会

  「保安処分に対案はないぞ」

 二月九日、「つぶせ!予防拘禁法2・9全国集会」が東京・飯田橋のシニアワーク東京で開かれ、全国から約二二〇名が参加、継続審議となっている「心神喪失者等医療観察法案」の廃案を求めて集会・デモを行なった。主催は、DPI(障害者インターナショナル)日本会議、こらーるたいとう、陽和病院労組を連絡先とする同集会実行委員会。
 「医療観察法案」すなわち、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の医療及び観察等に関する法律案に対しては、その予防拘禁法・保安処分としての本質に広範な批判が起きていたが、小泉連立政権は、批判が集中した「再犯のおそれ」という文言を他に言い換えるなどの小手先の「修正」を行ない、修正案を昨年十二月強行採決、衆院を通過させた。早ければ三月にも参議院で審議が始まろうとしている。
 2・9全国集会を担った諸団体は、廃案を求めてこのかん国会行動などを展開してきたいくつかの共同行動の内の一つであり、この日の行動は今通常国会対応の最初の行動となった。
 集会では最初に、予防拘禁法を廃案へ!共同行動事務局長の龍眼さんの経過報告、また前日の交流集会等の報告が行なわれた後、京都の弁護士・大杉光子さんが「医療観察法案、    絶対つくってはいけない理由!」と題して講演を行なった。
 大杉さんは、@「再犯のおそれ」要件は削除されていない(修正案でも「同様の行為を行なうことなく、社会に復帰することを促進するため」としており、「再犯のおそれ」の判定を前提としている)、A修正案での「社会復帰」の強調はまやかしであり、入院期間には上限がない等、再犯防止が主要な立法目的になっている、B法案によって精神障害者への差別・偏見が助長される、(「精神障害者は危険」という根拠はない。02年度刑法犯検挙人員中、精神障害者とその疑いのある者は0・64%だが精神障害者の人口比は1・7%と言われている。山上皓らの統計によっても、殺人を行なった精神障害者の再犯率は6・8%、殺人を行なった精神障害者でない者の再犯率は28・0%であり、重大犯罪再犯率も健常者より低いことになる。)C裁判所の処遇決定では、刑事裁判と異なり事実関係を争うことが非常に困難である等の手続き上の問題がある、と全面的な批判を展開した。
 続いて参院法務委員会の千葉景子さん、参院厚生労働委員会の朝日俊弘さん(両人とも民主党)など国会議員からのメッセージが紹介された。
 大阪の精神病者の演奏グループ・ハルシオンの歌の後、各団体からのアピールが行なわれ、大阪精神障害者連絡会、「心神喪失者法案」の廃案を求めるみやぎ実行委員会、精神保健従事者団体懇談会、自治労衛生医療評議会、DPI日本会議、監獄人権センター、以上の各代表から共に廃案をめざすアピールがあった。
 最後に、法案廃案まで闘い続けることを宣言する集会決議を採択し、「修正でごまかされないぞ!」「保安処分に対案はないぞ!」「精神医療を治安の道具にするな!」などのシュプレヒコールを確認して、集会を終了した後、錦華公園までデモ行進で訴えた。
(東京W通信員)