戦争か平和か!アメリカ帝国主義の終わりの始まり

  イラク侵略開戦阻止を


 戦争か平和か! アメリカ帝国主義の対イラク戦争突入の脅威はいよいよ緊迫の度を強め、全世界人民の戦争阻止の運動も日に日に高まってきている。
 一月二七日、つまり国連安保理決議1441に規定されていた査察再開後の六十日目に、国連イラク査察団は報告を安保理に提出した。この報告は全般的評価を、イラクが「九一年の安保理決議687(注・湾岸戦争停戦決議)が要求する大量破壊兵器の廃棄に応じているとは思われない」(監視検証査察委員会の報告)とするもので、きわめてブッシュ政権に迎合した内容となっている。しかし、核兵器開発計画については「結論として、計画を復活させたとの証拠を得ていない」(IAEAの報告)とし、おもに生物・化学兵器についての幾つかの疑惑を述べたてている。ブッシュを小躍りさせ、各国政府を納得させるような決定的証拠はなんら示されなかったのである。
 にも関わらず一月二八日、ブッシュは上下両院での大統領一般教書演説において、「フセインが十分に武装解除しないならば、米国は諸国家の連合を率いて武装解除に乗り出す」と述べ、世界の人民・諸政府の疑問を無視して開戦の決意をあらわにした。
 なぜそこまで、イラク攻撃を欲するのか、彼の演説によると「核・化学・生物兵器を手にすればフセインは、中東を支配しようという野望を再び抱き、この地域を大混乱に陥れるかもしれない」からだと述べている。このイラク非難は逆に、米帝のイラク攻撃のいくつかの動機の内の一つ、すなわちイラクに親米政権を樹立し、パレスチナ人民とアラブ諸国家に対して圧倒的優位を確保し、イスラエルの占領継続に有利な中東秩序の最終解決を強制したいという意図をバクロしている。野望を抱き、中東のみならず全世界を虐殺と憎しみの大混乱に陥れようとしているのは、フセインではなくブッシュ、お前だ!
 二月五日、米国の要請によって国連安保理が開かれ、そこでブッシュはイラク攻撃を開始すべき「証拠」を提出するという。ブッシュ政権は二月半ばには最終判断を行ない、査察に期限を付けた最後通牒の決議案を提出しつつ、その決議案の可否に関わらず、イラク侵略戦争に突入しようとしている。
 しかし、イラク攻撃に突入せんとしている米国の国際・国内環境が、9・11事件後のアフガニスタン攻撃の時の国際・国内環境よりもはるかに、ブッシュ政権にとって不利であることは明らかである。米国人民を始めとする全世界人民によって、イラク攻撃が阻止されれば、アメリカ・グローバリズムは政治的打撃を受け、逆に国際民衆運動は自信を強める。それは、アメリカ帝国主義を主柱とする国際反革命同盟体制に対する国際階級闘争の新たな前進の可能性を拓くだろう。また、イラク攻撃が強行されてしまったとしても、全世界の反米・反戦の一層の高まりの中で、帝国主義者に何ら歴史的解決能力が無いことが再び示されるだけである。
 国際民衆運動が戦争を阻止するのか、戦争が国際民衆運動の更なる発展を引き起こすのか、どちらにせよアメリカ帝国主義の終わりの始まりに他ならない。
 一月十八日、米国の反戦共同団体ANSWER(今こそ戦争を止め人種差別を終わりに)などの呼びかけによるイラク攻撃阻止の世界同時反戦行動が、日本から始まり地球を一周し、ベトナム反戦以降では最大の反戦デモンストレーションとなった。
 米国ではワシントン・五十万人、サンフランシスコ・二十万人と、自国の戦争政権に抗議する最大規模の行動となった。フランスでは全国で二十万、スペインのマドリードで二万、トルコやアラブ諸国をふくめ数千人規模以上の行動が世界三十数カ国で展開されている。次の世界同時反戦行動は欧州行動の二月十五日に合せられ、ロンドンなど世界各地でより緊迫した状況下の行動となるだろう。こうした世界的反戦運動によって、マスメディアが影響を受け、各国政府がイラク攻撃支持を明言しにくくなる状況が生まれている。
 日本の小泉連立政権は、イラク攻撃支持を明言してはいないが、すでにイージス艦を含む海上自衛隊の艦隊をインド洋(と言ってもアラビア海からペルシャ湾内を活動領域としている)に派遣している。そして米第七艦隊や米空軍に、日本・沖縄の基地をイラク侵略基地として存分に使わせている。小泉政権がこれ以上何もしなくても、ブッシュが開戦に踏み切れば事実上の参戦国である。最近政府は、インド洋で自衛艦から給油を受けた米艦がイラク攻撃に参加しても、集団的自衛権行使にはならないなどとデタラメを言っている。
 小泉は、一月三十一日の施政方針演説でもイラク攻撃支持とは言わなかったが、「イラクの大量破壊兵器問題は国際社会全体への脅威だ」としてブッシュの戦争演説の基調に同調し、「イラクが安保理決議を履行することが重要であり、わが国として主体的な外交努力を継続していく」などと厚顔無恥にも述べている。日本政府に、戦争回避への「主体的努力」がどこにあるというのか。戦争屋ブッシュの後塵を拝し、あわよくば大虐殺後の「イラク復興支援法」で利権を漁り、自衛隊を進出させたいという「主体的努力」があるのみである。
 アメリカ帝国主義のイラク侵略を挫折させ、日本帝国主義・小泉参戦内閣を即刻打倒しよう。