編集部だより
- 日が長くなり始め、少しだけ春めいて来た。不思議と体中にエネルギーがみなぎってくる。自然界との一体性を自己の内に感じる心地よい一瞬である。
- 「私は、完全失業率の許容はせいぜい六〜六・五%だと考える。この水準を越えると、ホームレスが地下や公園からあふれるだろう。見なくてすんだ現実が、いやが応でも目の前に展開することになるのだ。そうなった時、果たして社会秩序が保てるだろうか…二〇〇三年は戦後日本が経験したことのないクリティカルな年になる。政治家も、経済界もまなじりを決して事に当たらなければならない」(経団連会長奥田)。「私は、二・二六事件の起こった昭和十一年(一九三六年)頃の世情に似通ってきたような気がしてならない。…議院内閣制という政治制度は、政党抜きには語れない。政党に対する評価を改め、その本来の役割を発揮させる方向に持っていかなければ、民主主義は危うい」(元首相中曽根)。中央公論一月号での言である。
- 支配階級は混迷しつつも大変な危機感を持って事に当たろうとしている。これに対して左翼の側はどうか。毎年のごとく危機を語るのに疲れ、三〇年の分散と停滞の流れに身を任せているという状況にある。良く言えば、主として自己の質を問う内向きの時代を過ごしてきた。
- 時代の流れは変わろうとしている。戦略構想と大きな連帯の創造が問われる局面に入ったように思われる。あちこちの地中から新しい芽がふきだしている。冬ごもりを終える時だろう。(深山)